メリアムカンガルーネズミの基本情報
英名:Merriam’s Kangaroo Rat
学名:Dipodomys merriami
分類:齧歯目 ビーバー形亜目 ポケットマウス科 カンガルーネズミ属
生息地:メキシコ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

乾燥に強いカンガルーのようなネズミ
メリアムカンガルーネズミは、いろいろと名前に付いていますが、カンガルーネズミと言う齧歯類の一種です。
名前のうち「メリアム」は、アメリカの動物学者、クリントン・ハート・メリアムに由来します。
一方の「カンガルー」はその姿から。
彼らはまるでカンガルーのように長い後肢でぴょんぴょん跳ねながら移動します。
後肢の長さは、体長が10㎝前後なのに対し約4㎝もあります。
また、頭からお尻までの長さ(体長、頭胴長)よりも長い尻尾はジャンプする際バランスをとるのに役立ちます。
彼らの脚力は、特に捕食者に出会ったときに活かされます。
その足で相手に砂をかけたり、ジャンプで攻撃をかわしたりするのです。
そのジャンプは2.5mを超えるというので驚きです。
ちなみに彼らの属名”Dipodomys”はギリシャ語の組み合わせで、「2本の足で動くネズミ」と言う意味で、こちらも彼らの姿を表しています。

そんなメリアムカンガルーネズミは、乾燥地帯に生息する乾燥に強い生き物です。
約20種が知られるカンガルーネズミの中でも、彼らは比較的様々な環境に耐えることができますが、常に付きまとうのが乾燥です。
そのため、彼らの体は水分をあまり使わなくていいようにできています。
例えば、彼らは汗をかきません。
また、汗腺が少ないイヌなどが暑いときによく見せるあえぎ呼吸(パンティング)もしません。
これらはすべて水分を失わないためです。
また、水を飲む必要はなく、水分はすべてエサから摂取します。
彼らは夜行性であり、日中は地中に掘った巣で休息するという生態も、水分を失わないための対策でしょう。
【参考】あえぎ呼吸について

彼らの頬袋も乾燥対策になっていることでしょう。
メリアムカンガルーネズミは頬に大きな頬袋を持っています。
彼らはここに主食である種子などを蓄え、巣に持ち帰ります。
持ち帰った種子は巣の部屋で吐き出し、一部は食べますが残りは取っておきます。
このように頬袋があることで、一度の外出でその日食べる以上のエサを彼らは手にすることができます。
このような効率的な採餌は地上での行動を減らします。
実際、彼らが地上で採餌するのは2, 3時間とされています。
これには捕食者に見つかるリスクを減らすなどの効果もあるでしょうが、水分を節約する効果も期待できるでしょう。
メリアムカンガルーネズミはヒトから見れば非常に小さい動物ですが、その小さい体には生き抜くための秘密が沢山隠されています。
Animal Fact Sheet: Merriam’s Kangaroo Rat | Arizona-Sonora Desert Museum
メリアムカンガルーネズミの生態
生息地
アメリカ合衆国南西部からメキシコ北西部にかけて、ソノラ砂漠やモハーヴェ砂漠などを含む地域に分布します。
砂や砂利、泥、岩などがある低木地などに生息します。
他のカンガルーネズミと比べると、彼らは硬い土壌がある環境にも寛容です。
形態
体長は8~14㎝、体重は40~50g、尾長は14~16㎝です。
後肢には4本ずつの指が生えており、足の裏には毛が生えています。
これは沈みやすい砂の上での移動を楽にする効果があるとされています。

食性
主食はメスキートやオコチョロなどの種子です。
ただ、夏には葉っぱなどの植物の緑の部分、冬には昆虫などが占める割合が大きくなります。
捕食者にはコヨーテやイタチ類、キツネ、アナグマ、ボブキャット、オオミミカコミスル、ヘビ類、猛禽類などが知られています。





行動・社会
夜行性ですが、夜明け前や日没後の比較的湿度が高い時間帯に活動します。
また、明るい満月の夜はあまり地上で活動しません。
単独性の彼らは、雌雄ともになわばりを持ちます。
なわばりの中心には巣があります。
巣は地中に自ら掘り、低木の根元などに出入口がいくつかあります。
繁殖
繁殖期は2月初旬~5月です。
メスは年に最大3回出産することができます。
妊娠期間は28~32日で、一度に3~4匹、最大6匹の赤ちゃんが生まれます。
育児はもっぱら母親の役割です。
子は生後2~4週で離乳し、生後2~3ヵ月で性成熟に達します。
寿命は野生で2~5年です。

人間とメリアムカンガルーネズミ
絶滅リスク・保全
分布域が広く、大きな脅威もない彼らには、現在のところ絶滅の心配はありません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
ただ、カリフォルニアの亜種、サンバーナーディノカンガルーネズミ(Dipodomys merriami parvus)は、1998年以来、合衆国の「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(Endangered Species Act:ESA)」において「絶滅危惧種”endangered”」に指定されています。
都市化などによる生息地の破壊や状態悪化、分断化が脅威とされています。
Dipodomys merriami | The IUCN Red List of Threatened Species
San Bernardino Kangaroo Rat (Dipodomys merriami parvus) | U.S. Fish & Wildlife Service
【参考】ESAについて

動物園
日本でメリアムカンガルーネズミ含め、カンガルーネズミに会える動物園はありません。


