インドオオリスの基本情報
英名:Indian Giant Squirrel
学名:Ratufa indica
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 オオリス属
生息地:インド
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
世界最大の樹上性リス
哺乳類には約6,000種が知られていますが、その中で最も多いのが齧歯類、つまり齧歯目に分類される種です。
齧歯目は現在、哺乳類全体の約4割、なんと2,300種程度が知られています。
そんな齧歯目は、咀嚼に関する筋肉である咬筋の構造によって、リスの仲間、ネズミの仲間、ヤマアラシの仲間に大きく分けることができます。
齧歯類と言えば小さい動物のイメージであり、実際、特にネズミの仲間には体重10gにも満たない種をはじめ、小型の種が沢山いますが、体重50㎏を超える場合もある世界最大の齧歯類(ヤマアラシの仲間)・カピバラが有名なように、決して小さいとは言えない種も齧歯目には存在します。
ただ、「リス」と聞いたとき、私たちの頭をよぎるのは、すばしっこく樹上をかける小さい姿です。
約280種いるリスの仲間(リス科)には、モモンガやムササビなどの滑空性の種や半地上性、地上性で冬眠をする場合が多いシマリス、ジリスと呼ばれる種も含まれます。
そんな中、リス科の種の約半分を占めるのが、私たちが思い描くリスである、いわゆるリス、つまり樹上性のリスです。
重力の影響を強く受ける樹上では、地上の種と比べると小さい種が多く、それはリス科においても言えます。
例えば、ジリスの仲間であるマーモットは大きいと10㎏近くにもなりますが、日本に生息するニホンリスは、しっぽを含めてもせいぜい40㎝、体重は300g程度です。
そんな小さいイメージの樹上性リスの中で、最大級となるのが4種いるオオリス属の1種、インドオオリスです。
カラフルな体色や丸っこい耳が特徴的なインドの固有種、インドオオリスは体こそ多きけれど、やはり樹上性リス。
木々の間をすばしっこく移動したり枝にぶら下がったりする姿はリスと形容せざるを得ません。
ただ、スケールは小さなリスとは異なり、時に6mもの大ジャンプで移動する様子は、一般的な樹上性リスのイメージからはかけ離れています。
こうした彼らの素早くかつダイナミックな動きは、枝や幹を握る大きな手足や、バランスをとるための長い尻尾によって可能となっています。
しっぽを含めた体長は最大1m近くにもなり、体重は2㎏にも達するインドオオリスは、「世界最大のリス」としてギネス世界記録にも登録されています。

インドオオリスの生態
生息地
標高180~2,300mの、熱帯常緑林や湿潤落葉林などに生息します。
プランテーションには存在しません。
形態
体長は25~47㎝、体重は1.5~2㎏、尾長は体長と同じくらいあり、体サイズにおける性差はあまりありません。
手の肉球や爪が発達しています。
他のリス同様、犬歯はなく、前歯は一生伸び続けます。
メスの乳頭は3対存在します。

食性
果実や花、ナッツ、樹皮などを食べますが、鳥類の卵や昆虫類を食べる場合もあります。
大きな体の彼らは種子散布者としての役割を果たしていると考えられています。
捕食者にはヒョウや猛禽類が知られています。

行動・社会
昼行性のインドオオリスは、樹上でほとんどの時間を過ごします。
樹上では枝や葉っぱを集めて巣を作り、休息などをします。
単独性ですが、繁殖期には複数で見られます。
繁殖
繁殖についてはよくわかっていませんが、年中繁殖するようです。
一度の出産で通常1~2頭生まれます。
オスは4歳、メスは3歳ごろ性成熟に達します。
寿命は飼育下で最大20年です。

人間とインドオオリス
絶滅リスク・保全
インドオオリスはIUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価ですが、個体数は減少傾向にあるとされています。
体が比較的大きく、森林に依存する彼らにとって、肉目的の狩猟や農地拡大などによる生息地の破壊は大きな脅威です。
インドオオリス | IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でインドオオリスを見ることはできません。


