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クロオオリス

クロオオリス
©2011 Rohit Naniwadekar : clipped from the original
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クロオオリスの基本情報

英名:Black Giant Squirrel
学名:Ratufa bicolor
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 オオリス属
生息地:バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナム
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

クロオオリス
Photo credit: Kandukuru Nagarajun

参考文献

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樹冠の大きなリス

一般的に、熱帯は他の気候帯よりも生物多様性が高いとされています。

これはリス類にも当てはまり、特にアフリカや東南アジアの熱帯林では温帯林よりも多様なリスが生息しています

このように熱帯林でリスの多様性が高い理由としては、温帯林では必ず冬が訪れ果実のない季節があるのに対し、熱帯林では一年中果実が実ることが挙げられます

また、熱帯林では植物や昆虫の多様性も高いため、様々な大きさ、様々な種類のリスのエサが存在することも関係していると考えられます。

これに伴い、熱帯林のリスは体サイズの変異が大きく、種によってエサを食べ分けています。


東南アジアの熱帯林では、小型のリスは樹上の低いところで樹皮を剥いで昆虫や菌類を食べたり、樹液を食べたりします。

そして中型のリスは果実や節足動物を食べ、大型のリスは樹上の高いところで主に果実を食べて暮らします。

これに加え、地上で生活するリスも存在します。

このようなすみ分け、食べ分けは動物界では広く見られ、ジェントルキツネザルなどの霊長類にも見られます。

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さて、東南アジアに広く分布し、マレー半島に多くいることからマレーオオリス(Malayan Giant Squirrel)とも呼ばれるクロオオリスは、体重1㎏を超える最大級のリスですが、彼らはやはり樹高30m以上の樹冠部で主に果実を食べて暮らします

リス類は足を両側に180度ずつ回転させることができるため、樹上でもすばしっこく移動することができます。

樹上でバランスをとるため、クロオオリスのしっぽは体長以上にもなります。

ただ他のリスに見られるような、しっぽを上にカールすることはできません。


最もいい場所で最もいいエサを食べ、最もいい暮らしをしているかに見える最大級のリス・クロオオリスですが、それゆえのリスクもあります。

まず樹冠部で暮らすため、猛禽類の餌食になりがちです。

また、その大きい体のために、人間による狩猟の対象となっています。

食べることを目的とした人間による狩猟は、クロオオリスの生存を脅かす理由の一つです。

さらに、クロオオリスは森林の改変に非常に脆弱です。

自然的、人為的攪乱が起きて再生した二次林では、攪乱前の一次林に比べると、背の高い大きな木が少なく、果実の産生量も少ないことが知られています。

こうした森林ではクロオオリスのような大型リスは繁栄できません。

クロオオリスの生活、生存はともすれば非常に脆いものなのかもしれません。

クロオオリス
Photo credit: Santulan Mahanta

クロオオリスの生態

生息地

クロオオリスは、標高2,500mまでの熱帯、亜熱帯にある常緑樹林や落葉樹林などに生息します。

樹高30m以上の樹冠部で主に生活します。

形態

体長は34~37㎝、体重は1~1.25㎏、尾長は約40㎝でリス類では最大級です

他の樹上性リス同様、体サイズに性差はありません。

黒とクリーム色の体色が特徴的ですが、ミャンマーやマレーシアの一部ではクリーム色ではなくオレンジ色をしています。

クロオオリス
Photo credit: Liu Dyson

食性

主に果実やナッツ類を食べます。

捕食者にはウォーレスクマタカなどの猛禽類やヘビ類がいます。

ウォーレスクマタカ
ウォーレスクマタカ | Photo credit: Bernard DUPONT

行動・社会

主に昼行性です。

樹上性ですが地上で採食する場合もあります。

樹上では巣を作り、音声やにおいによってコミュニケーションをします。

単独性ですが、繁殖期にはペアや複数で見られることがあります。

オスメスともに複数の異性と交尾しているとされます。

繁殖

メスは年に2回、4, 5月と8, 9月に出産します。

妊娠期間は28~35日で、一度の出産で1~2匹の未熟な赤ちゃんが生まれます。

子は生後約5週で離乳し、その後分散していくとされています。

寿命は飼育下で18年ほどです。

クロオオリス
Photo credit: Sourensarkar

人間とクロオオリス

絶滅リスク・保全

クロオオリスは、この約20年の間で個体数を30%ほど減少させたとされており、個体数は現在も減少傾向にあると考えられています。

脅威としては肉目的の狩猟や生息地の破壊が挙げられます。

IUCNのレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、ワシントン条約(CITES)では附属書Ⅱに記載されています。

Black Giant Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

クロオオリスを日本で見ることはできません。

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