キタシマヤシリスの基本情報
英名:Five-striped Palm Squirrel
学名:Funambulus pennantii
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 シマヤシリス属
生息地:バングラデシュ、インド、イラン、ネパール、パキスタン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
オーストラリアのリス
首からお尻まで伸びる3本と、体側の2本、合わせて5本の白い縞模様が特徴的なキタシマヤシリスは非常に適応力のあるリスです。
標高4,000mまでの森林や草原、時にはプランテーションや畑にも現れ、地上でも樹上でも暮らす彼らは、種子や果実から昆虫、鳥のひなまで様々なものを食べます。
時には畑の作物すら食べてしまうため、住民との間に軋轢が生じる場合もあります。
そんなキタシマヤシリスの本来の生息地はインド周辺ですが、彼らはかつてオーストラリアにも生息していました。
リス科には現在300種近くが知られていますが、オーストラリアと南極大陸には本来一種も分布しません。
しかしキタシマヤシリスは人為的な理由により、一時的にオーストラリアに生息していた珍しいリスとして知られています。
彼らは19世紀末、オーストラリア西部のパース動物園に放たれ、その後その近郊にも定着しました。
このパースに加え、東部のシドニーにあるタロンガ動物園周辺にも後に定着個体群が出現します。
リスがオーストラリアという新天地まで分布域を拡大させた一方、彼らの定着はオーストラリアの生態系に大きな影響を与えました。
キタシマヤシリスは地上と樹上で生活でき、様々なものを食べる生態的に柔軟な動物です。
そのため、彼らはオーストラリアでパイナップルやマンゴーやピーナッツなど様々な作物を食い荒らしました。
また、彼らは在来種である鳥類の卵やひなを食べたり、営巣地の取り合いをしたりなどで、もともとあった生態系の多様性を著しく乱しました。
さらには、ケーブルなどを齧るなどして人間の生活に直接的なダメージを与える場合もあったようです。
中にはランチを奪われるなど可愛らしい被害もありましたが、オーストラリアは事態を深刻視し、彼らをよそから来た害獣として駆除に乗り出します。
結果として、オーストラリアの定着個体群は撲滅されましたが、残存個体が再び集団となり定着することがないよう、引き続き国民に警戒を呼び掛けています。
勝手に連れてこられたキタシマヤシリスは何も悪くないですが、適応力がありすぎたせいで、オーストラリアからは追い出されてしまいました。
ちなみにオーストラリアでは、彼ら以外にもトウブハイイロリスが定着していた歴史がありますが、こちらも撲滅されています。
リスの本来の生息地ではないオーストラリア。
有袋類の宝庫であるこの地でもしリスの姿を見かけたら、自治体に報告しましょう。

Pest Risk Assessment: Northern Palm Squirrel (Funambulus pennantii) | Department of Primary Industries, Parks, Water and Environment 2011
Biosecurity alert: Northern palm squirrel | State of Western Australia (Department of Primary Industries and Regional Development), 2023.

キタシマヤシリスの生態
生息地
熱帯から亜熱帯にかけて、標高0~4,000mまでの乾燥落葉樹林、山地林、草原、雑木林、プランテーションや農作地に生息します。
本来の生息地ではないフランス領西インド諸島やアンダマン・ニコバル諸島に導入され定着しています。
形態
体長は15㎝ほど、体重は135g程度ですが200gまで見られます。
尾長は11~12㎝で、体サイズに性差はありません。

食性
種子や果実、ナッツ、蕾、花、樹皮、昆虫、鳥の卵やひななど、様々なものを食べます。
捕食者には主に猛禽類が知られています。
行動・社会
昼行性で半樹上性のキタシマヤシリスには社会性があり、1本の木に多いと10匹が見られます。
枝の上や木の洞を利用して営巣します。
繁殖期になると、複数のオスがメスを追いかけますが、交尾できるのは少数の優位なオスだけです。
オスもメスも複数の異性と交尾します。
繁殖
年中繁殖が見られ、メスは年に最大3回繁殖できます。
妊娠期間は40~45日で、通常2~3匹、最大5匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは7g程度で目は見えず、無毛の未熟な状態で生まれますが、生後2ヵ月頃には大人の見た目になり、その頃独立していきます。
性成熟にはオスが生後約10ヵ月、メスが7~8ヵ月で達します。
寿命は5年程度です。

人間とキタシマヤシリス
絶滅リスク・保全
キタシマヤシリスは食用、展示用として狩猟、捕獲されますが、彼らの生存を脅かす大きな脅威は知られていません。
むしろ、農作物を荒らすなどして、人間の生活を脅かし害獣扱いされることがあります。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Five-striped Palm Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
キタシマヤシリスを日本で見ることはできません。

