スミスヤブリスの基本情報
英名:Smith’s Bush Squirrel
学名:Paraxerus cepapi
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 アフリカヤブリス属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、コンゴ民主共和国、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
社会的な樹上性リス
アフリカ南部のサバンナや林に生息するスミスヤブリス。
彼らは乾燥した環境に適応するマメ科植物モパネが生えるウッドランドによくいることから、モパネリス(Mopane Squirrel)と呼ばれることもあります。
また、特に黄色がかった手足を指して、キアシリス(Yellow-footed Squirrel)と呼ばれる場合もあります。
そんなスミスヤブリスは樹上性のリスです。
時々地面に落ちたエサを食べるために地上に降りることもありますが、普段は樹上で採餌したり、木の洞などに作られた巣で過ごしたりします。
葉や草が敷き詰められた巣は樹上で作られることが多いですが、岩の裂け目や人家の屋根に作られることもあります。
この巣には複数が暮らします。
単独性のイメージがある樹上性リスですが、スミスヤブリスには社会性があるのです。
彼らの群れは1~2匹の大人と彼らの子供である若齢個体で構成されます。
大人のメスだけでなく、オスもグルーミングや外敵への攻撃などの形で育児に参加します。
群れの絆を保つためにはコミュニケーションが必要です。
彼らは霊長類のように互いをグルーミングし、メンバーの繋がりを維持します。
グルーミングにはコミュニケーションという側面以外にも寄生虫の除去という実用的な側面もあります。
特に彼らは巣という閉じられた家で暮らすため、寄生虫には敏感になる必要があります。
巣に敷き詰められた草や葉も定期的に交換し、寄生虫の侵入を予防します。
コミュニケーションはグルーミング以外にも、音声やにおいによるものが使われます。
群れはなわばりを持ちますが、なわばりは尿などのにおいや音声によってアピールされます。
また、繁殖時には音声が重要なシグナルとなります。
危険が迫ったときにも音声が多用されます。
見通しの悪い木の上では、特に音声によるコミュニケーションが有用となるのです。
ちなみに、繁殖期になるとなわばりは解除され、他個体の侵入が許されます。
アフリカでは大型の動物が注目されがちですが、そこにはスミスヤブリスのような小さな動物たちの知られざる生活があるのです。
Paraxerus cepapi (Rodentia: Sciuridae) | Oxford University Press
Paraxerus cepapi (A.Smith, 1836) | the Global Biodiversity Information Facility

スミスヤブリスの生態
生息地
モパネやアカシアが生えたサバンナウッドランドに生息します。
巣となる洞を提供できる木の存在が重要となります。
形態
体長は16~23㎝、体重は150~230g、尾長は16~20㎝で、体サイズに性差はあまりありません。
犬歯はなく、門歯は一生伸び続けます。
春と秋に換毛します。

食性
種子や果実、葉、ベリー、花、シロアリなどの昆虫、樹液、鳥の卵などを食べます。
マルーラの貯食行動が知られています。
捕食者にはアカトビやサンショウウミワシなどの猛禽類が知られています。

行動・社会
スミスヤブリスは、単独ないし2~12匹の群れで暮らします。
群れ内には序列が見られます。
父親も育児をしますが、一方で子殺しが観察されています。
昼行性ですが、気温が暑すぎると巣の中で過ごします。

繁殖
繁殖は年中見られますが、地域によっては季節性があります。
通常メスは1年に1度繁殖しますが、飼育下では年に最大3回繁殖できます。
メスの妊娠期間は50~60日で、一度の1~4匹の赤ちゃんが生まれます。
体重10g程度の未熟な赤ちゃんは生後7~9日で目を開き、生後20日ごろには巣から出て固形物を食べるようになります。
生後5~6週で離乳し、生後6~8ヵ月で性成熟に達します。
寿命は飼育下で長いと10年近くになります。
人間とスミスヤブリス
絶滅リスク・保全
スミスヤブリスの個体数は安定していると推測されており、その分布域の広さからも絶滅は心配されていません。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Smith’s Bush Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
スミスヤブリスを日本で見ることはできません。


