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ヤマネ

2026 5/01
ヤマネ科
2026年5月1日
ヤマネ
©2014 Yamaneseisokubunpuiki : clipped from the original
目次

ヤマネの基本情報

英名:Japanese Dormouse
学名:Glirulus japonicus
分類:齧歯目 リス型亜目 ヤマネ科 ヤマネ属
生息地:日本
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ヤマネ
Photo credit: Yamaneseisokubunpuiki

参考文献

リスの生態学 / 田村典子 【本】
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眠るネズミ

漢字で「山鼠」と書くヤマネは、日本にしか生息していない日本の固有種です。

英名の”dormouse”とは、「眠るネズミ」という意味。

その名の通り、ヤマネは1年の大半を眠って過ごします。

特に10月から4月にかけて、彼らはずっと眠っています。

そう、冬眠です。

そのため、ヤマネは「冬眠鼠」とも書きます。

ヤマネはリスなどと比べると噛む力が弱く、ドングリなど保存のきくエサを食べることができません。

そのため、北海道に住むエゾシマリス(シベリアシマリスの亜種)のように冬眠する際、エサを巣にあらかじめ貯めておくような行動は見られません。

その代わり、彼らは冬までに脂肪を付けて、それだけで冬眠を乗り切ります。

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普段の彼らの体温は約36℃ですが、冬眠中の体温は環境の温度と連動し、その平均最低体温は約1℃になります。

あまりエネルギーを消費しなさそうですが、彼らは冬眠中、約2週間おきに体温を上昇させる必要があり、この時貯めておいた脂肪が必要になります。

体温は20~50分をかけて活動期の体温に戻ります。

震えたりもぞもぞしたりしながら、頭、背、腰、臀の順に温まっていきます。

体温上昇後は、エサを食べたり排泄したりといった活動はせず、眠ったまま。

1~2日後に再び冬眠状態になります。

こうした冬眠途中の体温上昇の理由は不明ですが、細胞の活性化や血流の促進などの目的がある可能性があります。


活動期、ヤマネは特定の休み場所を作らず、転々として朽ち木などで休息します。

しかし、冬眠中、彼らは常に同じところで眠ります。

ただ、あまりにも寒すぎると途中で起きて冬眠場所を移動します。

休息場や繁殖の巣は樹上に作られることが多いですが、冬眠の巣は、朽ち木や樹洞も利用されるものの、地面のくぼみなど温度変化が小さい地上であることが多いです。

冬眠の巣はヤマネが入るくらいの小ささで、主に樹皮を巣材として作られます。

繁殖の巣が乾燥しているのに対し、冬眠の巣は湿っています。

ヤマネが冬眠に入る10月にはまだ雪は見られませんが、積雪は温度変化をマイルドにするため、彼らの冬眠を安定させます。



ヤマネが冬眠に入るきっかけはさまざま考えられます。

飼育下ではエサがあっても寒ければ冬眠に入ることや、温暖地域では冬眠期間が短かったり冬眠しなかったりすることから、一つは気温が重要と思われます。

ヤマネは平均気温8.8℃ほどで冬眠に入るとされています。

このほか、体重や繁殖も関係しているでしょう。

ついている脂肪が少なければ冬眠中のエネルギーを賄えませんし、子供を育てている状況では冬眠に入れません。


このように「眠るネズミ」の名に恥じない冬眠を見せるヤマネですが、冬眠から明けてもよく眠ります。

冬眠は一定期間体温を低下させ活動を停止する休眠の一種で、季節性休眠と呼ばれます。

一方、24時間未満の休眠は日内休眠(デイリートーパー)と呼ばれます。

ヤマネは冬眠だけでなく、この日内休眠も見せます。

特に冬眠に入る前や、エサがまだ豊富でない冬眠明けに彼らはよく日内休眠を行います。

日内休眠中の体温は、周囲の温度に合わせて約11℃まで下がります。

この日内休眠は亜成獣でも見られ、エネルギー節約に役立っています。


このように1年のほとんどを眠って過ごすヤマネ。

彼らが夜行性であることもあり、もし彼らに会えたとしても、それは丸まってじっとしている姿でしょう。

そんな時はぜひ優しく見守ってあげてください。

彼らはぐっすり眠っているのだから。

ヤマネ
Photo credit: Yamaneseisokubunpuiki

ヤマネの生態

分類

ヤマネ科はリス科と5,500万~5,000万年前に分岐したとされています。

ニホンヤマネの祖先はフランスあたりで滑空していたとされますが、ヤマネも枝の間をジャンプして移動することがあります。

分子系統学では約510万年前、大陸から日本にやってきたとされます。

秋田では「コダマネズミ(小玉鼠)」、和歌山では「コオリネズミ」など様々な名称で呼ばれています。

その丸まった姿から、マリネズミとも呼ばれます。

生息地

本州、四国、九州に分布し、島嶼部では隠岐諸島でも見られます。

ヤマネという名の通り、山で暮らし、標高2,600mまで分布します。

低地や平野部では見られません。

自然林だけでなく人工林にも生息します。

人家の押し入れなどでも冬眠することがあります。

形態

体長は約8㎝、体重は18g前後、尾長は約5㎝で、冬眠前は体重20g以上になります。

背中の黒い正中線が特徴的で、これはヤマネ科唯一のものです。

また、背中と腹の色が同一なのもヤマネ科唯一です。

前足に4本ずつ、後足に5本ずつの指を持ち、指先はかぎ爪で覆われます。

粘り気のある肉球を持ち、さかさまになって枝を渡ったり、後足だけで枝にぶら下がったりすることができます。

ネズミ科の3本ずつとは異なり、ヤマネ科は上下左右に4本ずつの臼歯を持ちます。

毛は短毛と長毛からなり、鼻と足首あたりに感覚毛を有します。

ヤマネには盲腸がありません。

食性

雑食性のヤマネは、花蜜や花粉、芽、果実、樹皮、ガやアブラムシ、ハチの子、トンボ、クモ、バッタなどの昆虫、キノコ類、シジュウカラなどの鳥、鳥の卵などを食べます。

噛む力が弱いヤマネはクルミやドングリなどの硬いエサは食べられません。

捕食者にはフクロウなどの猛禽類、テン、アオダイショウなどのヘビ類が知られています。

行動

夜行性のヤマネは樹上性の齧歯類です。

活動期、休息場としてヒメネズミの巣に同居する場合もあります。

繁殖の巣はヤマツツジなどの樹上に一晩で作られます。

この巣は高さ約1mのところに、コケや樹皮などを巣材として作られることが多いです。

繁殖の巣は定期的に変わり、母親は子どもを咥えて移動します。

行動圏は数haで、特にオスは繁殖期に行動圏が拡大します。

メス同士で行動圏が重なることはありません。

普段は鳴きませんが、繁殖時や幼獣は鳴きます。

特に幼獣は超音波で盛んに鳴きます。

社会

単独性ですが、巣を共有することもまれにあります。

飼育下では冬眠の巣の共有も観察されます。

メスは1年に1~2回発情しますが、この時、複数のオスがメスに群がります。

優位なオスが劣位のオスを追い払いますが、劣位オスも隙を見て交尾し、メスは結局複数のオスと交尾することとなります。

ヤマネ
Photo credit: Yamaneseisokubunpuiki

繁殖

地域によりますが、繁殖は活動期に行われ、出産は秋に見られることが多いです。

エサがあれば出産は12月まで見られますが、冬に生まれた子は、体重を増やし次第冬眠に入ります。

出産は年に最大2回まで可能です。

メスの妊娠期間は30~39日で、一度に2~3gの赤ちゃんが2~10匹、繁殖巣に生まれます。

赤ちゃんは毎日0.3gずつ体重を増やしていき、生後2週の目が開くころには体重は6~8.5gになります。

生後3週ごろ、巣から出始め、離乳が進行し、自分でエサを食べ始めます。

自ら食べられるようになるまで、親は口移しでエサを与えることもします。

その後、生後4~6週で独立し、生後11~14ヵ月で性成熟に達します。

繁殖可能なのはオスで5歳まで、メスで7歳までです。

寿命は野生で長くて6年です。

人間とヤマネ

絶滅リスク・保全

分布域が広く、人間の手が入った森にも住める彼らは、個体数については知られていないものの、現在のところ絶滅はあまり心配されていません。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

ただ、道路はヤマネの生息地を分断し、移動を妨げるため、それを解消するヤマネを含む動物用の橋「アニマルパスウェイ」の敷設などが実施されています。

 Glirulus japonicus | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

日本では岩手県の盛岡市動物公園ZOOMOがヤマネを飼育しています。

また、山梨県の清泉寮やまねミュージアムは日本で唯一のヤマネの博物館で、ヤマネと彼らが暮らす森について、体験や展示を通じて学ぶことができます。

ヤマネは野生でも見られますが、彼らは1975年以来、国の特別天然記念物に指定されているため、勝手に捕獲などすると刑事罰の対象となるので注意しましょう。

 ニホンヤマネ | 盛岡市動物公園 ZOOMO

 清泉寮 やまねミュージアム

ヤマネ科
ヤマネ属 ヤマネ科 リス型亜目 齧歯目 軽度懸念 アジア 日本 盛岡市動物公園
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