スクレイターグエノンの基本情報
英名:Sclater’s guenon
学名:Cercopithecus sclateri
分類:オナガザル科 オナガザル属
生息地:ナイジェリア
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
グエノン
グエノンと名のつくサルは、スクレイターグエノンの他にも沢山いますが、グエノンとは何なのでしょう。
オナガザル科はオナガザル亜科とコロブス亜科に分かれ、オナガザル亜科はさらにオナガザル族とヒヒ族に分かれますが、グエノンとは伝統的にこのオナガザル族のサルのことを言います。
しかし、近年ではオナガザル族をさらに分けたうちの一つである、オナガザル属を狭義のグエノンとする傾向もあるようです。
まあどちらにしろ、スクレイターグエノンはどちらの定義にも当てはまります。
グエノンは様々な特徴を持ちます。
最も顕著なのが、容姿の派手さです。
ウォルフグエノンやアカオザル、クチヒゲグエノンなど、グエノンにはカラフルなものが多いです。
次に、狭義のグエノンには、果実食のサルが多いです。
種子は消化されずに排出されることもあるので、グエノンたちは種子散布者として森の維持に役立っています。
また、同じオナガザル亜科のヒヒ族と比べれば小さいですが、グエノンは頬袋を持ちます。
さらに、長いしっぽやバイロフォドント(大臼歯に見られる2本の平行する稜線)など、オナガザル科のサルが持つ特徴も持っています。
スクレイターグエノンの生態
生息地
スクレイターグエノンは、ナイジェリアの熱帯雨林に生息します。
食性
昼行性で、主に果実を食べます。
その他には、葉や花、昆虫なども食べます。
形態
体長は30~40センチ程度、体重はメスが2.5㎏前後、オスが4㎏前後で、体長よりも長いしっぽを持ちます。
行動
スクレイターグエノンの生態に関してはあまり研究が進んでいませんが、複雄複雌の群れを作ると考えられています。
また、この群れは他のサルと混群を作ることもあるようです。
スクレイターグエノンは特徴的な顔をしていますが、これは特に繁殖におけるコミュニケーションに使われているのではないかと言われています。
実際、特にオスは交尾時、頭を振ることが知られています。
スクレイターグエノンの顔をもっと見たいという方には、下のリンク先を訪問することをオススメします。
写真がいくつか見られるはずです。
繁殖
繁殖に関してもほとんど分かっていませんが、出産は12~2月にピークを迎えるようです。
メスは5~6カ月の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
育児は主に母親によって担われます。
性成熟には5~6歳で達し、メスの性的休止期間は1~5年と言われています。
人間とスクレイターグエノン
絶滅リスク・保全
スクレイターグエノンは、主に生息地の縮小や分断の影響を大きく受けています。
生息地であるナイジェリアでは、人口が急速に増えています。
その一方でスクレイターグエノンの生息地は減り、個体数も減少し続けています。
彼らの個体数はここ30年で50%以上減ったと言われています。
その結果レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されてしまっています。
動物園
そんな厳しい状況にあるスクレイターグエノンですが、日本では会うことができません。
かなり特徴的な姿をしているだけに、彼らを見られないとは残念です。