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カッショクハイエナ

2026 5/02
ハイエナ科
2026年5月2日
長い喉毛と黒顔のカッショクハイエナ
©Bernard DUPONT: clipped from the original
目次

カッショクハイエナの基本情報

英名:Brown Hyaena
学名:Parahyaena brunnea
分類:ハイエナ科 カッショクハイエナ属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

森の小道を歩くチャイロハイエナ
Photo credit: flowcomm

においの重要性

首や背中に生える長い毛が特徴的なカッショクハイエナ。

彼らにとって、においは非常に重要です。

カッショクハイエナは、スカベンジャーです。

つまり、死肉を主食とした肉食動物です。

彼らは、ライオンやヒョウなどが食べ残した、スプリングボックやシマウマなどの死肉を食べます。

カッショクハイエナは、この死肉のありかを、数km先からでも鋭い嗅覚で嗅ぎつけます。

においはまず一つ、彼らのお腹を満たすために、重要なのです。

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カッショクハイエナは、通常4~6頭から成るクランと呼ばれる群れで暮らします。

この群れは広い時には500㎢近い行動圏を持ち、その中をエサを探して移動します。

エサ探しは基本的に単独で行われ、たまに行う狩りも単独で行われます。

行動圏は、糞や肛門などにある臭腺から出る分泌物によってマーキングされます。

特に肛門腺から出る分泌物は、重要な役割を果たしています。

肛門腺からの分泌物は、黒いペースト状のものと、白いペースト状のものに分けることができます。

黒い方の分泌物のにおいは、すぐに消えてしまいます。

これは、クランのメンバーに、自分がすでにこの場所でエサ探しをしたことを伝える役割を果たしています。

エサ探しは単独で行われるため、自分がすでにエサ探した場所で他のなかまが再度エサ探しをするかもしれません。

このような無駄をなくすため、近くにいないなかまに、においを通して情報を伝えるのです。

もう一方の白っぽい分泌物は、すぐには消えず、長くて1カ月もにおいを発します。

こちらは、仲間にではなく、他のクランに自分たちの存在を知らせる役割を果たしています。

クランとクランが遭遇すれば、資源をめぐって闘争が起きます。

そのような闘争を回避するため、においを岩や草などに付けてマーキングしているのです。

においはカッショクハイエナにとって、コミュニケーションにおいても重要なものなのです。

カッショクハイエナの生態

生息地

カッショクハイエナは、アフリカ南部に位置する、標高1,500mまでのサバンナやナミブ砂漠、カラハリ砂漠のような乾燥地帯に生息します。

彼らは、年間降雨量が100㎜以下の環境でも生息することができ、ブチハイエナよりも乾燥した環境に適応しています。

食性

主食は死肉ですが、小型哺乳類や鳥類、昆虫などを自分で捕食することもあります。

ナミブ砂漠のスケルトンコースト(骸骨海岸)では、クジラなどの死骸を漁ったり、ミナミアフリカオットセイの赤ちゃんを捕食したりします。

ちなみに、骸骨海岸と言う名前は、動物の死骸や座礁した船が多数漂着することから付けられたそうです。

水分は基本的にエサから摂取し、特にメロンは重要な水分補給源となっています。

また、食べきれなかったエサは茂みなどに隠すことが知られています。

一方、彼らを食べる捕食者にはライオンがいます。

形態

体長は130㎝前後、肩高は70~80㎝、体重はオスが40~44㎏、メスが37~40㎏、尾長は25~30㎝で、ハイエナの中ではブチハイエナに次ぐ大きさになります。

首や背中の毛は30㎝にもなり、この手を逆立てることで相手を威嚇します。

他のハイエナと同様、前肢が後肢より長く、裂肉歯は骨を砕くために非常に大きいです。

行動

カッショクハイエナは、主に夜行性です。

多くはクランに所属しますが、オスの3分の1は新たなクランを探しながら放浪します。

オスメスともに序列があります。

ただ、ブチハイエナのようにメスが常にオスより優位というわけではありません。

また、クランのメンバーは血縁者が多いですが、αオスは非血縁者である場合もあります。

この時、αオスは群れのメス全員と交尾します。

カッショクハイエナは、通常20~35km、長くて50㎞以上と1日に非常に長い距離を移動します。

歩行スピードは3.2~6.4㎞/hですが、走ると40~50㎞/hになります。

繁殖

繁殖は主に5月~8月に行われます。

メスは、αオスが血縁者である場合、αオスとの交尾は避け、放浪しているオスと交尾します。

出産は12~41カ月に一度行われ、妊娠期間は約100日です。

一度に0.7~1㎏の赤ちゃんが1~5頭産まれます。

出産は群れの巣とは別に、そのメスだけの巣で行われます。

そして、赤ちゃんが育つと共通の巣の方に再び戻ります。

育児は母親以外のメスが授乳したり、エサを持って帰ったりすることで、群れのメンバー全員で行われます。

赤ちゃんは生後8日で目を開き、約1歳で完全離乳します。

生後15カ月ごろから一人でエサを探すようになり、生後30日には大人と同じサイズになります。

性成熟にはメスで24カ月、オスで40カ月かかります。

寿命は飼育下で12~15年です。

獲物を巡ってチーターと対峙するチャイロハイエナ
Photo credit: Derek Keats

人間とカッショクハイエナ

絶滅リスク・保全

カッショクハイエナは、体の一部が伝統薬になることから狩猟されたり、他の動物を標的にした罠などにかかったりすることで、個体数を減らし続けています。

そんな中、大きな脅威となっているのが、人間による迫害です。

一般的に、カッショクハイエナは家畜を襲うことはほとんどないとされていますが、現地の人たちは、カッショクハイエナが家畜を襲うということで、彼らを迫害しています。

ナミビアでは、家畜を所有する人の内、約70%が、カッショクハイエナは家畜を襲うと信じていました。

このような迷信に基づく迫害により、ナミビアでは局所的にカッショクハイエナが絶滅しています。

ただ現在、このような人たちに対する教育が浸透し、状況は改善されているようです。

とはいえ、カッショクハイエナの成熟個体数が約1万頭と推定されていることから、絶滅は幾らか危ぶまれており、レッドリストでは準絶滅危惧種として位置づけられています。

 Brown Hyaena | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

そんなカッショクハイエナですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。

しかし、同じハイエナ科のなかまであるシマハイエナは、東京都の羽村市動物公園や、静岡県の富士サファリパークで見ることができます。

同じスカベンジャーとして似ているところも多々あると思うので、是非彼らを観察しに行ってみてください。

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ハイエナ科
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