キイロマングースの基本情報
英名:Yellow Mongoose
学名:Cynictis penicillata
分類:マングース科 キイロマングース属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
シェアハウス
キイロマングースは、他のマングース科の動物たちと同様、巣穴を家として生活します。
巣穴はほとんど永続的で、巣穴をしょっちゅう変える転勤族のようなマングースがいる中、キイロマングースは巣穴の引っ越しをあまりしません。
巣穴の間取りはと言うと、いくつかの部屋がトンネルでつながれており、出入り口は複数個あるのが普通です。
また、部屋は非常に簡素で、草などで敷き詰められたベッドのような場所はありません。
この巣穴、キイロマングースだけが使ういわば持ち家かと思いきや、実は他の種と共同で使うシェアハウスになることもあります。
齧歯類(げっしるい)のジリスや、同じマングース科のミーアキャットなどがそのメンバーです。
海外の動物園でキイロマングースとミーアキャットを同じ部屋で飼育、展示しているところがあることからも、彼らがシェアハウスメンバーたりえることが分かります。
巣穴をシェアするメリットとしては、巣穴のメンテナンスや新たなトンネル、部屋の掘削を共同で行えることなどがあります。
このように巣穴をシェアするキイロマングースたちですが、とはいえ、彼らは巣穴やなわばりをめぐって争うこともあります。
人間の世界にもシェアハウスは絶対無理という人がいますが、動物たちもこのような性格を持っているのでしょうか。
キイロマングースの生態
生息地
キイロマングースは、アフリカ南部のナミビアやボツワナ、南アフリカの、サバンナなど乾燥して開けた場所に生息します。
砂漠や森林、岩場などには生息しません。
食性
主に昆虫食ですが、小型齧歯類や鳥類、爬虫類、種子などの植物質も食べます。
一方、彼らの捕食者にはジャッカルや猛禽類、ヘビやコブラなどがいます。
巣穴の周辺では捕食者がいないか確認するために、ミーアキャットのように両足で立ってあたりを見渡します。
下の動画ではキイロマングースがコブラと戦う様子を見ることができます。
どちらも互いの捕食者になり得る両者、今回はどんな結果になるのでしょう。
形態
体長は約30㎝、体重は0.6~1㎏、しっぽの長さは約20㎝で、見た目上の性差は全くありません。
肛門付近には臭腺を持ち、危険が見に迫った時や、マーキングの際にここから分泌物を出します。
行動
キイロマングースは昼行性で、約20頭から成る家族を中心とした群れを作ります。
行動圏は約2㎢で、オスの方がより広い行動圏を持ちます。
個体数密度は1㎢に4~200頭です。マングースは比較的静かな動物ですが、危険が迫った時などは甲高い鳴き声をあげます。
繁殖
キイロマングースの繁殖には季節性があり、交尾は7月から始まり、出産は主に8月~11月に見られます。
1回の交尾は30~60秒と非常に短いです。
下の動画では彼らの交尾を見ることができます。
妊娠期間は42~57日で、一度に通常2頭の赤ちゃんが産まれます。
赤ちゃんは母親の3対ある乳首を吸って育ち、約2カ月で離乳します。
1歳の時には群れを離れ、1~2年で性成熟に達します。
出産間隔は約1年、寿命は飼育下で約15年です。
人間とキイロマングース
絶滅リスク・保全
キイロマングースは、その密度の大きさ、分布域の広さから絶滅は懸念されておらず、レッドリストには軽度懸念として記載されています。
ただ、交通事故や地域的な狩猟は彼らの生存において脅威になり得ます。
また、キイロマングースは狂犬病のホストであることから、家畜や人などへの影響を懸念して駆除されることもあります。
現在のところ、これらの脅威が彼らの個体数に及ぼす影響は限定的で、キイロマングースの個体数は安定しています。
動物園
そんなキイロマングースですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。
ベルギーやスイスの動物園では、ミーアキャットと一緒に見ることができるようなので、機会がある方は是非訪れてみてください。