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ハダカデバネズミ

ハダカデバネズミ
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ハダカデバネズミの基本情報

英名:Naked Mole Rat
学名:Heterocephalus glaber
分類: 齧歯目 デバネズミ科 ハダカデバネズミ属
生息地: ジブチ, エチオピア, ケニア, ソマリア
保全状況: LC〈軽度懸念〉

ハダカデバネズミ
Photo credit: Rawpixel Ltd

真社会性哺乳類

地下に穴を掘って生活するハダカデバネズミは、哺乳類では他にダマラランドデバネズミしか該当しない、真社会性の哺乳類です。

真社会性とは、ハチやアリに見られるような社会で、繁殖個体が限定されていること、彼らを手伝う多数の非繁殖個体が存在すること、二世代以上が同居することなどを特徴としています。


ハダカデバネズミの社会の頂点には、女王が君臨します。

女王は唯一繁殖できるメスで、他のメスよりも活動的で攻撃的です。

仕事をさぼる個体がいたら叱咤して働かせます。

女王の次に位置するのは、1~3匹の王です。

オスで繁殖できるのは彼らだけで、他個体より大きく、年齢が高い傾向にあります。

その下にヘビなどの捕食者や他コロニーの侵入者を攻撃し自分のコロニーを守る兵隊、トンネル造りや食料調達、清掃、女王の子育てのサポート、優位個体の布団となる「肉ぶとん」役などを担う雑用係が続きます。


ところで、ハダカデバネズミの社会において、この役割は成長や状況により変化することが知られています。

例えば、兵隊と雑用係の役割は生まれつき決まっているわけではなく、皆雑用係からスタートします。

また、女王や王の座は永遠ではありません。

彼らの次に座する個体に奪われることもあります。

そして、彼らの社会の中には他の個体の労働を邪魔する者や、コロニーを離れて他のコロニーに移る者など異端の存在もあります。

ハダカデバネズミはその見た目だけでなく、社会もユニークなのです。

ちなみに、女王が病気などで死ぬと、女王候補となる1~複数の個体は体重を増加させ、血みどろの争いをします。

そして新女王になった個体は、椎骨が伸長し体が大きくなります。

ハダカデバネズミ
Photo credit: BFS Man

がんへの耐性と長寿

ハダカデバネズミの寿命は長いもので30年以上と、実験用マウスの10倍以上もあります。

彼らがこれほどまでに長く生きられるのはなぜでしょうか。


ハダカデバネズミは自ら掘ったトンネルの中で暮らしますが、そこは酸素濃度が約7%と、非常に低酸素な環境です。

そんな環境で生活する彼らの代謝は低く、また、心拍数はマウスの3分の1程度。

それに加え、彼らは環境に合わせて体温を変化させます。

トンネルの中は1年を通して28~32度に保たれており、彼らの体温もそれくらいです。

そのため、体温を維持するエネルギーを生み出す必要がありません。

このような彼らの省エネな性質は長寿に貢献していると考えられます。


また、彼らはがんへの耐性が非常に高いことも知られています。

これまでの研究から、彼らは細胞レベルでも生体レベルでもがんへの耐性があることが分かってきました。

熊本大学の研究では、ハダカデバネズミには人為的な発がん誘導にも強い耐性があること、そして発がんが促進される炎症反応が起こりにくいということが判明しました。

また、別の研究では、ハダカデバネズミのiPS細胞において、がんを抑制する遺伝子を抑えてもなお、別のメカニズムでがんの促進が防がれていることが分かりました。

この仕組みはマウスやヒトにはないものです。

さらに、ハダカデバネズミが細胞の増殖を抑制する密度の高いヒアルロン酸を多く持っていることも、彼らのがん耐性を説明してくれます。


このような彼らのがん耐性は、彼らの長寿に貢献しているだけでなく、今後の更なる研究により人間社会へも大きな希望を与えることになるかもしれません。

ハダカデバネズミ
photo credit: Tim Evanson
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ハダカデバネズミの生態

名前

学名のHeterocephalus glaberは、前半の属名が「変わった頭部」、後半の種小名が「毛のない」を意味します。

英名のNaked Mole Ratは直訳すると「裸のモグラネズミ」。

和名が一番容赦ないですね。

生息地

ハダカデバネズミは東アフリカの熱帯乾燥地域に生息します。

気温は高く、雨量は年間200~400㎜と少ないです。

形態

体長は80~92㎝、体重は30~80g、尾長は28~40㎝で性的二型は見られません。

また、15種いるデバネズミ科の中では最小となります

穴を掘るための特徴的な門歯(前歯)は唇の外側にあるため、穴を掘る最中でも土が口の中に入ることはありません。

また、下顎の門歯は左右それぞれ動かすことができます。

また、彼らは裸のように見えますが、感覚毛と呼ばれる短い毛が生えています。

視力がほとんどないため、この毛と嗅覚を頼りに生活します。

ハダカデバネズミ
Photo credit: John Bringhenti

食性

ハダカデバネズミの主食は地下性植物です。

根や球根、イモを食べます。

大きなイモは、中央を食べ、そこに土を埋めることで再生させ再利用します。

また、特に女王やその赤ちゃんは、栄養が多く消化に必要な微生物を多く含んだ特別な糞を食べます

捕食者にはサビイロクチバシヘビなどのヘビが知られています。

行動

ハダカデバネズミは自ら掘ったトンネルの中で生活します。

トンネルは大きなもので深さ3m、長さ3㎞にもなります。

地表の出入り口付近には土が火山のように積もります。

トンネルの中は低酸素で、彼らはその環境に適応しています。

ハダカデバネズミは無酸素状態でも18分間ダメージなく耐えることができます。

社会

ハダカデバネズミは平均75~80匹、最大300匹から成るコロニーと呼ばれる群れで生活します。

ハダカデバネズミの音声は約20種知られており、これは齧歯類で最多クラスになります。

音声の他、彼らはにおいで仲間であるかを判別します。

共同トイレで尿などを体に付けることでにおいをまといます。

繁殖

ハダカデバネズミは野生下では雨季に出産するようです。

繁殖できるのは女王と王だけで、妊娠期間は66~74日と同サイズのネズミと比べて長いです。

女王は一度に10~20匹の2gしかない赤ちゃんを産みます。

出産は1年で最大4回行われます。

赤ちゃんは約1カ月で離乳し、1歳を迎えるころには成熟します。

寿命は長いものだと35年以上にもなります。

人間とハダカデバネズミ

絶滅リスク・保全

ハダカデバネズミには現在、大きな脅威は存在しません。

個体数は安定していると考えられており、IUCNのレッドリストでも軽度懸念の評価です。

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動物園

長寿のハダカデバネズミですが、感染症などの脅威には弱く、飼育は難しいようです。

そんな中、日本では北海道の円山動物園、埼玉県の埼玉こども自然動物公園、東京都の上野動物園がハダカデバネズミを飼育・展示しています。

彼らの特殊な社会を覗きに、是非足を運んでみてください。

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