ゲルディモンキーの基本情報
英名:Goeldi’s Monkey
学名:Callimico goeldi
分類:オマキザル科ゲルディモンキー属
生息地:コロンビア、ブラジル、ペルー、ボリビア
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉
参考文献
ヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーパー
まず英語の解説をしましょう。
ヴァーティカル(vertical)は「垂直の」、クリンギング(cling+ing)は「しがみつく」、リーパー(leap+er)は「跳ぶ」という意味になります。
いったいこの言葉は何なのでしょうか。
サルの移動方法には、様々あります。
例えば、私たちヒトだけが行う直立二足歩行。
ゴリラがよくするナックルウォークは四足歩行の例です。
テナガザルなどは、腕と体を使って枝から枝を渡り継ぐブラキエーションという移動方法を用います。
そう。このヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングという長ったらしい名前は、その移動方法の中の一つなのです。
どういう移動方法かというと名前の通り。
垂直に木にしがみつき、ジャンプして近くの木に移るというものです。
この移動方法は、キツネザルなどの原猿類やメガネザルによく見られます。
下の動画では、シファカがこの移動方法で木々をジャンプする様子を見ることができるので是非ご覧ください。
一方それ以外の真猿類はというと、ブラキエーションや四足歩行が移動方法として一般的です。
しかしそんな中で、このゲルディマーモセット含め、マーモセット亜科のサルはヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングを駆使しています。
ゲルディモンキーは一度のジャンプで4mも水平方向にジャンプすることができるそうです。
動物の見た目を比べるのももちろん面白いですが、移動方法のような別の視点をもって観察するともっと動物が面白くなりますよ。
特にサルは色々な移動方法を持つので興味深いです。
ゲルディモンキーの生態
生息地
ゲルディモンキーは、アマゾン川上流域の下生えがある竹林などに生息しています。
このサルは人の手が入った二次林でも生きることができるようです。
食性
地上から数メートルという比較的低い所で、果実や樹脂、小動物、キノコなどを探して食べます。
中でもキノコには採食時間の6割以上が当てられ、年間摂取量は約7キロにも及ぶと言います。
ちなみに人間の場合は約2キロというのでその量に驚きです。
形態
体長は20~24㎝、体重は400~600g、しっぽは約30㎝になります。
行動・社会
ゲルディモンキーは10頭前後から成る単雄複雌の群れを作ります。
マーモセット亜科のサルの中には、繁殖できるメスが1匹に限られるものがいますが、このサルの場合、それが複数いることもあるようです。
このサルは、クチヒゲタマリン、セマダラタマリンという他の種類のサルと混群を作ることが報告されています。
混群についてはよくわかっていないことが多く、一層の研究が俟たれます。
繁殖
ゲルディモンキーは多くのマーモセット亜科のサルとは違い、子どもは双子ではなく1匹で生まれます。
その一方で、年に2回出産が可能であることは、多くのマーモセット亜科のサルとの共通点です。
メスは約150日の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
驚くことに、メスは赤ちゃんを産んだ10日後には交尾を再開します。
赤ちゃんは群れの他のメンバーによっても育てられ、生後12週で離乳します。
性成熟には約1年で達し、寿命は飼育下で約15年です。
ゲルディモンキーに会える動物園
絶滅リスク・保全
ゲルディモンキーは、人間活動による森林破壊の影響で個体数を減らし続けています。
レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定され、更なる数の減少が懸念されています。
動物園
そんなゲルディモンキーですが、残念ながら日本でお目にかかることはできません。
別にこのサルじゃなくて、真猿には珍しいヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングをするサルであればなんでもいいやという方は、ピグミーマーモセットなどほかのマーモセット亜科のサルに会いに行くといいでしょう。
最後に豆知識。
このゲルディという名前は、初めてこのサルを記載したドイツの動物学者に由来しています。