ヒメアリクイの基本情報
英名:Silky Anteater
学名:Cyclopes didactylus
分類:有毛目 ヒメアリクイ科 ヒメアリクイ
生息地:アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、フランス領ギアナ、ガイアナ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、スリナム、ベネズエラ
保全状況:LC〈経度懸念〉
真のアリクイ
アリクイの中で最小のヒメアリクイ。
小さな彼らは樹上で暮らし、ほとんど地上に降りてくることはありません。
樹上に適応した彼らのしっぽは体長よりも長く、裏側は無毛で体を支える重要なパーツとなっています。
このように樹上性が他よりも強いヒメアリクイのその姿は、他のアリクイとは大きく異なりますが、よく見ると似たところもあります。
例えば他のアリクイ同様、彼らは立派なかぎ爪を持ちます。
前足に2本ずつ生えた爪は、木に登るときやエサを求めて木をはがすときに使われます。
威嚇のポーズも他のアリクイとよく似ています。
ヒメアリクイは危険を感じるとしっぽと後肢で体を支えつつ前足をあげて、万歳のポーズをとります。
そして体を曲げてかぎ爪をおなかに向かって振り下ろすように攻撃するのです。
普段はゆっくり動くのと比べると、この時のスピードはなかなかのものです。
こうした爪を使った威嚇と攻撃は、広くアリクイの仲間に見られる特徴です。
歯がなく舌が長いのもアリクイの共通点です。
アリやシロアリを食べるアリクイは、粘着質の唾液をまとった長い舌を持っており、この舌を使って獲物をなめとります。
ヒメアリクイも他のアリクイと同様、長い舌を持っています。
しかし、ヒメアリクイは食性において他のアリクイと異なる部分があります。
他のアリクイはアリとシロアリを主食としますが、ヒメアリクイが主食とするのはアリのみ。
彼らが日常的にシロアリを食べるという証拠はいまだに見つかっていません。
ヒメアリクイは爪と舌を使って、このアリを1日に5,000匹近く食べると言われています。
また、子供は親が食べて胃から吐き戻したアリを食べて成長します。
アリはハチ目に分類される一方、シロアリはゴキブリ目に分類され、両者は系統的には全く異なる生物です。
アリクイという名前を真に体現しているのは、アリを専門に食べるヒメアリクイだけかもしれません。
むろん、ヒメアリクイは小さく、しかも木の高いところで暮らし夜行性であるため、その生態はあまりよくわかっていません。
近年の研究では今までヒメアリクイだと考えられていた種は、実は7種に分けられることが示唆されおり、もしかしたら今後シロアリ食いのヒメアリクイも見つかるかもしれません。
ヒメアリクイの生態
生息地
ヒメアリクイは標高1,500mまでの低地の半落葉林、常緑林、熱帯湿潤林、マングローブ林などに生息します。
ブラジル北東部には他と孤立して分布しています。
形態
体長は約20㎝、体重は約300g、尾長は16~30㎝になります。
手足は枝を掴めるよう特殊な構造をしています。
食性
主にアリを食べます。
甲虫を食べることもあるようです。
捕食者にはオウギワシやメガネフクロウなどの猛禽類が知られています。
行動・社会
繁殖期を除いて単独性です。
夜行性で、日中は枝に体を巻き付けて休息します。
オスの行動圏は3匹ほどのメスの行動圏と重複しています。
繁殖
9月~11月にかけて出産します。
メスは120~150日の妊娠期間ののち、1匹の赤ちゃんを樹洞にはっぱを敷いて作った巣に産みます。
育児には父親も加わるようで、主に運搬を担います。
人間とヒメアリクイ
絶滅リスク・保全
潜在的な脅威として生息地の破壊がありますが、今のところ大きな脅威は知られていません。
飼育目的で捕獲されることがあるようですが、飼育は難しいとされています。
IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
動物園
日本ではヒメアリクイに会えません。