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ニュージーランドアシカ

ニュージーランドアシカ
©2006 Amaury Laporte : clipped from the original
目次

ニュージーランドアシカの基本情報

英名:New Zealand Sea Lion
学名:Phocarctos hookeri
分類:食肉目 アシカ科 ニュージーランドアシカ属
生息地:オーストラリア、ニュージーランド
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

ニュージーランドアシカ
Photo credit: Thomas CUELHO

参考文献

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最も絶滅に近いアシカ

ニュージーランドの固有種であるニュージーランドアシカ。

ニュージーランドオットセイと生息地を重複させていますが、オットセイが岩場を好むのに対し、ニュージーランドアシカは砂のビーチを好みます。

また、他のアシカ科動物の頭部の長さと幅の比が3:1であるのに対し、彼らの場合は2:1。

アシカ類は見分けが非常に難しいですが、彼らはこの幅広い顔で他のアシカと識別することができます。

大きさでも他と見分けられるでしょう。

ニュージーランドアシカは、アシカ科の中ではトドに次いで大きくなります。

特にオスは体重400㎏を超え、他のアシカの子供を捕食することがあるほどです。

彼らは潜水能力にも長けており、アシカ科の中では最も長い時間、最も深く潜水することができます。

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そんなニュージーランドアシカですが、アシカ科の中では最も絶滅の危機に瀕しています。

生存している大人の個体数は約3,000頭と推測されており、全体でも約1万頭しかいないとされています。

19世紀から20世紀半ばまでの商業的な狩猟によって、彼らは個体数を減らします。

その後、商業的な狩猟は終焉しますが、1978年の海生哺乳類保護法の施行をもってしてもなお、個体数はそれほど回復せず、さらに近年では減少傾向にすらあります。


特に繁殖期には全個体の約7割が集まるオークランド諸島では、減少傾向が顕著です。

毎年4%ずつ生まれる子供の数が減っており、特に2013/2014期に生まれた子供は2012/2013期より18%も少なく、これは1997/1998期よりも48%も少ない値となります。

この傾向が続けば、2029/2030期に生まれる子供の数は840頭ほどと見積もられています。

当然生まれた子がすべて大人になれるわけではありません。

オークランド諸島の1年目の子供の死亡率は30~55%。

外傷や感染症、飢えなどにより約半分の子供が1歳の誕生日を迎えることができないのです。


こうした出生子数の減少は、大人のメスの減少に関連しています。

そして大人のメスの減少には様々な脅威が関係していると思われます。

中でも懸念すべきなのが混獲です。

特にイカのトロール漁(底引き網漁の一種)に使われる網に、アシカが意図せず捕らえられてしまう混獲は、ニュージーランドアシカの個体数に少なくない影響を与えています。

1995年から2007年にかけて、毎年平均92頭がこのトロール漁の混獲の被害にあったことがわかっています。


このほかにも病気の蔓延も脅威です。

オークランド諸島では、1998年、2002年、2003年にアウトブレイクが起きており、それによりそれぞれ50%、33%、21%の赤ちゃんが死んでいます。

このうち2002年と2003年のアウトブレイクの原因菌はクレブシエラ・ニューモニエと同定されています。

繁殖期に一か所で多数が集まるアシカ科にとって病気の蔓延は最も大きな脅威の一つですが、ことニュージーランドアシカにとっては、致命的な被害をもたらす可能性があり、懸念されています。

ニュージーランドアシカ
Photo credit: Mendeztegi
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ニュージーランドアシカの生態

生息地

繁殖期以外では、オーストラリアのマッコーリー島からニュージーランドの南島まで見られます。

繁殖期は全個体数の68%がオークランド諸島に、30%がキャンベル島に集中します。

かつては北島含めニュージーランド全域に生息していましたが、今では南島以南の範囲に限られています。

形態

体長はオスが2.1~2.7m、メスが1.8~2m、体重はオスが300~450㎏、メスが90~165㎏で性的二型が顕著です。

ひげが比較的短く、大人のオスはタテガミが特徴的です。

赤ちゃんは生後2ヵ月頃に換毛し始め、次第に大人の被毛になっていきます。

ニュージーランドアシカ
Photo credit: Rosino

食性

底生や遠洋で暮らす魚類、甲殻類、タコなどを食べます。

特に大人のオスは、ナンキョクオットセイアナンキョクオットセイニュージーランドアシカの子供やペンギンを捕食することがあります。

捕食者にはホホジロザメが知られています。

行動・社会

回遊性はありませんが、特にオスは繁殖期を終えると広い範囲を泳ぎます。

ただ、中には繁殖場(ルッカリー)休息場(ホールアウト)周辺に定住する者もいます。

約130m、3.9分の潜水が一般的ですが、最深約600m、最長14.5分もの潜水をすることができます。

オスは11月下旬に繁殖場に上陸し、なわばりを築きます。

なわばりを築けたオスは、12月初めに上陸してくるメス最大25頭と交尾することができます。

オスは交尾期を終える1月中旬に繁殖場を離れ、海に旅立ちます。

繁殖

メスは上陸後2日ほどで出産します。

妊娠期間は約10ヵ月で、0.7~1m、8~10㎏の赤ちゃんが一頭生まれます。

この時点でメスの方が軽いです。

母親は出産から7~10日間赤ちゃんに終始付き添ったのち、オスと交尾して3日程度の採食トリップに出かけます。

そして繁殖場に戻り1.5日前後育児したのち、再び採餌に出かけます。

このサイクルを子供が離乳する10ヵ月の間続けます。

妊娠するメスは毎年大人メスのうち65%ほどです。

性成熟にはオスが5歳、メスが3~4歳で達しますが、オスが実際に繁殖できるのは、なわばりを持てる8~9歳ごろです。

オスは23年、メスは26年生きることが知られています。

人間とニュージーランドアシカ

絶滅リスク・保全

ニュージーランドアシカは、商業的な狩猟が始まる以前から、マオリの人々によって狩猟されていました。

いまでは狩猟は行われていませんが、混獲や病気、環境の変化によるストレスなどが脅威となっています。

IUCNのレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

ワシントン条約(CITES)の附属書には記載がありません。

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動物園

日本でニュージーランドアシカを見ることはできません。

ニュージーランドアシカ
Photo credit: amaderson2
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