アンゴラコロブスの基本情報
英名:Angolan Colobus
学名:Colobus angolensis
分類:オナガザル科 コロブス属
生息地:アンゴラ, ブルンジ, コンゴ民主共和国, ケニア, マラウィ, モザンビーク, ルワンダ, タンザニア, ウガンダ, ザンビア
保全状況:LC〈軽度懸念〉
ベジタリアン
アンゴラコロブスを含め、コロブスのなかまは葉をたくさん食べるベジタリアンです。
しかし、葉というのは動物にとって厄介な食べ物です。
というのも、動物はほとんど葉のセルロース(食物繊維)を分解するセルラーゼという酵素を持っていないからです。
では、このコロブスはなぜ大量の葉を食べて暮らすことができるのでしょうか。
その理由は彼らの胃に生息するバクテリアにあります。
コロブスのなかまはくびれた大きな胃(アンゴラコロブスは3つにくびれている)を持っています。
そこに共生する大量のバクテリア(嫌気性細菌)がセルロースを発酵し、脂肪酸ガスに変えることで、彼らが吸収しやすくしているのです。
バクテリア様様です。
ちなみに、コロブスのなかまはこれを前胃で行うため、全胃発酵動物と呼ばれます。
こういうわけでコロブスたちは葉をたくさん食べることができるのですが、その代わり、葉の消化のために休息の時間が長くなります。
食べものがそこら中にあり、長時間休息できる、私たち人間にとってはユートピアですね。
アンゴラコロブスの生態
生息地
アンゴラコロブスは、コンゴ民主共和国などの熱帯雨林や山地林に生息します。
昼行性で、樹上性が高く、樹冠付近を好むようです。
食性
主に若葉を食べ、他に新芽や種子、花、地衣類なども食べます。
形態
体長は49-68㎝、体重は平均で9㎏ほど、しっぽの長さは約80㎝と体長よりずいぶん長くなります。
また、オスの方がメスよりやや大きくなります。
ところで、「コロブス」という名前は、ギリシャ語で「欠落した」とか「切断された」という意味です。
その名の通り、アンゴラコロブスも親指が非常に短くなっています。
行動
アンゴラコロブスは、10頭ほどの単雄複雌の群れで暮らすことが多いです。
しかし、場合によっては群れに複数のオスがいることもあり、群れの数も100頭を超える時もあるようです。
また、アンゴラコロブスの群れは、オスが成長すると群れを離れ、メスが群れに留まる母系の群れです。
繁殖
出産は2年に1度。
繁殖には季節性はなく、メスは排卵時期の前後にお尻の性皮が腫脹します。
そして受精が成功すれば、5-6カ月の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんの体は白く、顔はピンク色ですが、3-4カ月で大人と同じ毛色になります。
人間とアンゴラコロブス
絶滅リスク・保全
アンゴラコロブスは、絶滅の危機に関しては軽度懸念とされていますが、生息地の破壊や肉目的の狩猟などが個体数に影響を与えている可能性が指摘されています。
動物園
そんなアンゴラコロブスですが、愛知県犬山市の日本モンキーセンターでのみ会うことができます。
彼らの胃の中は見ることができませんが、葉をもりもり食べる姿は見られるかもしれないので、是非モンキーセンターに足を運んでみてください。