アルナーチャルマカクの基本情報
英名:Arunachal Macaque
学名:Macaca munzala
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:インド
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
アルナーチャル
アルナーチャルマカクのアルナーチャルは、ヒマラヤ山脈東部に位置するインド北東部の州、アルナーチャル・プラデーシュ州に由来しています。
アルナーチャル・プラデーシュとは「太陽が昇る土地」の意で、実際、インドの最も東にあり、ブータンや中国、ミャンマーと接しています。
アルナーチャル・プラデーシュ州はインドの中心地から遠く離れているため、文化も全く違います。
ここにはいくつもの部族が生活しており、多くのインド人が信仰するヒンドゥー教も主流ではありません。
下の動画では、ここに住む人々の暮らしを見ることができるので、サルには関係ありませんが興味のある方はご覧ください。
アルナーチャル・プラデーシュ州は中国とインドの係争地でもあります。
中国はここ周辺を蔵南地区と呼んでいるようです。
現在はこの問題は棚上げされているようで、観光客も訪れることができるようになっています。
このように特殊な場所の名前を冠するアルナーチャルマカクですが、彼らが新種として登録されたのは21世紀に入ってからです。
そのため、彼らの生態については分かっていないことがほとんどです。
ちなみに、種小名の“munzala”は、チベット仏教を信仰するモンパ族の言葉で「深い森のサル」という意味らしいです。
アルナーチャルマカクの生態
生息地
アルナーチャルマカクは、ヒマラヤ山脈東部の標高2,000~3,500mの森林に生息します。
地上性が強く、人間が住むところにも現れるようです。
食性
昼行性で、葉や髄、花、樹皮などを食べます。
形態
体長は55㎝前後、体重はオスが15㎏、しっぽの長さは25㎝前後で、他のマカク同様、メスの方が小さいと思われます。
行動
アルナーチャルマカクは、5~60頭から成る複雄複雌の群れを作ります。
この群れには序列がありますが、比較的に平和なようです。
群れは広い行動域を持ち、エサを探して日々歩き回ります。
しかし、冬のえさが少ない時期になると、エネルギーの節約のために動く範囲も狭まります。
繁殖
繁殖に関しても、ほとんど分かっていませんが、他のマカクから推測して考えられます。
メスは、150~190日の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。
そして次また妊娠できるようになるには、約2年必要だと言われています。
赤ちゃんは基本的に母親によって育てられますが、他のメスから世話される可能性も指摘されています。
人間とアルナーチャルマカク
絶滅リスク・保全
アルナーチャルマカクは、畑荒らしのために現地の人から殺されることがあるようです。
しかし、現地の人たちはこのサルを食べるわけではありません。
その一方、現地の人以外による肉目的の狩猟も行われているようです。
これらの影響で、彼らは数を減らし続け、レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。
未だ研究は進んでいないものの、現段階での生存数は数百頭と言われています。
動物園
そんなアルナーチャルマカクには、残念ながら日本では会うことができません。
どうしても会いたいという方は、是非現地を訪れてみてください。
観光も楽しめるはずです。