ビントロング

ビントロング©2012 Tim Strater
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ビントロングの基本情報

ビントロング


英名:Binturong
学名:Arctictis binturong
分類:ジャコウネコ科 ビントロング属
生息地:バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

ビントロングPhoto credit: Mark van Seeters

Photo credit: Mark van Seeters

ポップコーンのにおい

クマネコという別名を持つほど、クマのようなネコのようなビントロングですが、彼らはジャコウネコのなかまです

ジャコウネコと言えば、臭腺からの分泌物が香水に使われることでも有名です。

他のジャコウネコと同様、ビントロングも陰部に臭腺を持ち、そこから出すにおいでマーキングします。

 

ところで、ビントロングはポップコーンの匂いをしているとよく言われます。

なるほど、臭腺から出る分泌物のにおいかと思ってしまいますが、最近の研究によると、これは尿に含まれる2-アセチル-1-ピロリン(2-AP)という物質によるものだということが分かりました

この物質は、実際ポップコーンの香りの物質そのものです。

ポップコーンの粒が熱せられると、メイラード反応によりアミノ化合物と糖が2-APに変化します。

これがあの香ばしい匂いの元になっており、ポップコーンのにおいの理由です。

 

メイラード反応は過熱により進行が促進されますが、常温でも時間をかければ進行します。

ただ、ビントロングの場合は、尿が腸や毛皮にいる細菌などと反応することで、この2-APが作られていると推測されています。

 

ちなみに、メイラード反応とは、タンパク質やアミノ酸などのアミノ化合物と、糖が化学反応を起こして褐色物質を作る反応のことです。

この時、同時に香気成分も生成され、その一種が先ほどの2-APです。

この反応は、酵素なしで化合物を茶色に変えるために、非酵素的褐変反応(カルメラ化反応は同じく非酵素的褐変反応だが、アミノ化合物を必要としない点で異なる)と呼ばれており、その最終生成物であるメラノイジンには、食物繊維に似た機能や、強い抗酸化作用が認められています。

メイラード反応は、私たちの身の回りでたくさん見ることができます。

例えば、パンやクッキー、ステーキ肉のおいしそうな色、香りはメイラード反応によるものです。

あらあら、ビントロングの話とはかけ離れてしまいました。

ビントロング

ビントロングの生態

生息地

ビントロングは、東南アジア常緑林低木林二次林などの森林地帯に生息します。

樹上性が強いですが、地上を移動することもあります。

えさを獲るために泳ぐこともあるようです。

 

食性

ビントロングは雑食性で、特に果実を好みます。

その他には、昆虫鳥類齧歯類植物質も食べます。

生態系において彼らは種子散布者としての役割を果たしており、特に観葉植物としても知られるフィカス・アルティッシマという植物の、唯一の種子散布者として知られています。

ビントロングは体が大きいため、捕食されたという報告は少ないですが、捕食者にはトラヒョウなどがいます。

 

形態

体長は61~96㎝、体重は9~20㎏、しっぽの長さは56~89㎝で、ジャコウネコ科の中では最大になります

また、メスの方がオスよりも2割ほど大きく、しっぽは強靭で肉食動物にはかなり珍しく、木の枝をつかむことができます

 

行動

ビントロングは夜行性ないし薄明性ですが、日中活動することもあるようです。

また、彼らは単独性だと考えられていますが、繁殖期や子どもが独立するまではオスとメスが連れ立って行動することもあります。

行動圏は1~6㎢で、繁殖状態などの情報を持っていると考えられる、臭腺からの分泌物や尿でマーキングします。

縄張り性は強くなく、行動圏は30~70%の重複が見られます。

 

繁殖

ビントロングは、一年中繁殖を行いますが、出産のピークは1月~3月に見られます。

出産間隔は約1年で、メスは90~92日の妊娠期間の後、通常2~3頭(最大6頭)の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは父親からの世話を受けることもありますが、主に母親によって育てられます。

赤ちゃんは生後約3日で目を開き、6~8週で離乳します。

性成熟には生後28~30カ月で達し、寿命は野生で約18年まで、飼育下では最長25年です。

ビントロングに会える動物園

ビントロングは、生息地の減少や狩猟などの影響で個体数を減らし続けています。

特に生息地である森林の減少や分断は深刻で、中国などでは地域的な絶滅が危惧されています。

個体数はここ3世代、18年で3割減ったと言われており、レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 

そんなビントロングですが、日本の動物園でも見ることができます

栃木県の那須どうぶつ王国、長野県の茶臼山動物園、兵庫県の王子動物園、高知県立のいち動物公園、山口県の徳山動物園、鹿児島県の平川動物公園などがビントロングを飼育しています。

彼らの前では是非、全神経を鼻に集中してみてください。

もしかしたらポップコーンの匂いがするかもしれません。





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