クロホエザルの基本情報
英名:Black Howler Monkey
学名:Alouatta caraya
分類:クモザル科 ホエザル属
生息地:アルゼンチン, ボリビア, ブラジル, パラグアイ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
圧倒的声量
このサルは、名前にある通り、ものすごい声量で吠えます。
その大きさは動物界随一。
一匹の声は2㎞以上先に届き、群れで吠えようものなら5㎞先にまで届くらしいです。
仮に人間が歩くなら、5キロは1時間以上かかる距離です。
とんでもないですね。
この大きな声量は、ホエザルの体の構造が可能にしています。
ホエザルの喉は非常に大きく、声を溜めるのど袋を持っています。
また、喉には特殊な舌骨を持ちます。
これらにより、ホエザルはとんでもない大きさの声を出しているのです。
ホエザルは、群れで一斉に吠えることが多いのですが、吠えることで自分たちはここにいるということを他の群れに示しています。
そうすることで、群れ同士が対面し、無駄な争いが起こるのを避けているのです。
賢いですね。
では、このクロホエザルはどのような声で鳴くのでしょうか。
我々がサルの鳴き声ときいてよくイメージする、キーキーという甲高い声で鳴くのかと思いきや、その声はとても不快です。
言うなれば、ビールを飲んだ後のゲップを大きくしたみたいな感じです。
すごい嫌です。
気になる方は下の動画でご確認ください。
ちなみに、英名の“howler”という単語は、「わめく人」とか、「ほえる獣」という意味です。
まさに、ですね。
クロホエザルの生態
生息地
クロホエザルは、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビアの乾燥林や落葉林などに広く生息しています。
食性
主に果実や葉、花を食べます。
ホエザルは、新世界ザルで唯一成熟した葉っぱを主食とする珍しいサルです。
繊維の多い葉っぱを消化するために、発達した腸を持ち、長い時間をかけて消化します。
そのため、日中の7割もの時間を消化のための休息に使っています。
形態
体長は50~70㎝、体重はオスが約7㎏、メスが約4.5㎏でオスの方が大きくなります。
しっぽは体長と同じくらいの長さで、裏には毛が生えておらず、尾紋を持ちます。
クロホエザルは、外見における性差が大きいサルです。
オスは名前の通り黒く、メスは茶色や金色をしています。
ちなみに、赤ちゃんの時はみんな金色の毛をしているようです。
行動
クロホエザルは通常5~8頭から成る単雄複雌ないし複雄複雌の小さな群れで生活します。
クロホエザルの社会は母系社会で、メスが一生産まれた群れに留まる一方、オスは成長すると群れを離れます。
しかし、群れを離れないオスも見られるようです。
繁殖
クロホエザルは年に一度の間隔で繁殖を行います。
メスは約半年の妊娠期間の後、約120gの1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは母親だけでなく群れのメスにも世話されます。
性成熟には約3年で達し、寿命は飼育下で約20年です。
人間とクロホエザル
絶滅リスク・保全
クロホエザルは多様な環境に広く分布しており、絶滅の危機は高くはありません。
レッドリストにおいても、絶滅の危機に関しては軽度懸念にとどまりますが、主に人間による森林破壊の影響で個体数は減り続けているようです。
動物園
そんなクロホエザルですが、実は日本の動物園で会うことができません。
クロホエザルだけでなく、日本ではホエザルが飼育されていません。
声が大きすぎて近所迷惑になるからでしょうか。
それにしても、クロホエザルの大合唱が聞けないのはちょっと残念ですね。