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クロキツネザル

2026 5/15
キツネザル科
2026年5月15日
オレンジの目が光るクロキツネザル
©2018 Bernard DUPONT: clipped from the original
目次

クロキツネザルの基本情報

英名:Black Lemur
学名:Eulemur macaco
分類:キツネザル科 キツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

椰子の葉間で子を抱く雌クロキツネザル
Photo credit: Bernard DUPONT

麻薬をたのしむサル!?

何とも穏やかじゃないタイトルですが、まずは下の動画を見てみてください。

この動画では、クロキツネザルの特徴をいくつも見ることができますが、ひとまず1分30秒付近から見てみてください。

木に座るオスのクロキツネザルが、なにやらヤスデを捕まえて、ヤスデを噛んでは分泌される物質を体に塗りたくっています。

ちょっと気持ち悪いですが、このヤスデの分泌物が虫よけの役割を果たすために、このような行動をとると考えられています。

しかし、その一方でこの分泌物には副作用があるようです。

動画を最後の方まで見てください。

ものすごく気持ちよさそうですね。

どうやらこの分泌物には、麻薬に似た効果があるみたいです。

これがサルにどのような影響を及ぼしているか具体的には分かりませんが、これを読んでいる人間の皆さんは絶対にマネしてはいけませんよ。

森の友だち

上の動画の、今度は1分付近をご覧ください。

クロキツネザルが鼻に顔を突っ込んで、蜜を舐めています。

ここで、花からだした顔にご注目ください。

何かいろいろついていますよね。

これは花粉です。

このあと、クロキツネザルが別の場所にある花の蜜を食べに行く可能性は十分あります。

その時に、この顔に付いた花粉によって花は受粉します。

そして新たに種が実り、種は成長してまた同じように花を咲かせることでしょう。

このようにクロキツネザルは、森の維持には欠かせない動物です。

また、クロキツネザルは果実をよく食べますが、そこに含まれる種子が消化されずにうんちと一緒に体外に排出されることもあります。

この種子の散布も森の維持に役立っています。

クロキツネザルは森にとっては友達のような存在なのです。

木の幹に黄目を光らせる雄クロキツネザル
Photo credit: vil.sandi

クロキツネザルの生態

生息地

クロキツネザルはマダガスカル北西部の熱帯湿潤林に生息します。

ほとんどを木の上で過ごし、四足やジャンプで移動します。

彼らは昼夜を問わず活動し、とくに朝方と夕方に活発になります。

夜行性の原猿とは違い、タペータムを持たないので夜は月の光がある日の方が活発に活動するようです。

食性

主に果実を食べ、他には若葉や花、蜜、きのこなども食べます。

形態

体長は30~50㎝、体重は1.5~3㎏、そして体長よりも長い40~60㎝のしっぽを持ちます。

拇指対向性(ぼしたいこうせい)を持つ手には平爪を持ちますが、後肢の人差し指には毛づくろいのためのかぎ爪を持ちます。

また、キツネザルのなかまは上顎、下顎の片側にそれぞれ2本の切歯、1本の犬歯、3本の小臼歯、3本の大臼歯を持ちますが、このうち下顎の切歯と犬歯はくしのようになっており、その名もくし歯を形成しています。

キツネザル属の特徴の一つに、オスとメスの色の違いが挙げられます。

クロキツネザルも、オスが名前の通り真っ黒であるのに対し、メスは茶色や白の毛で覆われています。

行動

クロキツネザルは4~15頭から成る複雄複雌の群れを作ります。

オスとメスの比率は同じで、他のキツネザルのなかまのように、メスが優位にあります。

上の動画でもメスの方が優位であることが分かるシーンが最初の方で見られます。

群れは他の群れと重複するなわばりを持ち、臭腺から出る分泌物でなわばりをマーキングします。

繁殖

クロキツネザルの繁殖には季節性があり、4月~5月にかけて行われます。

この間、オスは攻撃的になり、群れを一時的に離れ他のメスについて行くという行動が見られますが、メスの方が優位でオスの選択権を持つので、拒絶されてしまうことも少なくないようです。

メスは、120~130日の妊娠期間の後、約70gの1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは母親にのみ世話され、3~7カ月で離乳します。

そして1~2年で独立し、性的に成熟します。

出産間隔は約1年で、寿命は飼育下で20~30年です。

枝に座る赤茶毛の雌のクロキツネザル
Photo credit: tatogra

人間とクロキツネザル

絶滅リスク・保全

クロキツネザルは、特に焼畑農業による生息地の破壊の影響で個体数を減らし続けています。

肉やペットにすることを目的とした狩猟も個体数の減少の原因の一つです。

罠を用いた狩猟では、優位にあるメスが群れを先導することから、メスの方がよく捕らえられる傾向にあるようです。

ある研究では、2025年のクロキツネザルの個体数は、2009年比で50%以上減少する可能性があることが示唆されています。

現在も彼らは危機的状況にあり、2020年には、レッドリストにおいて絶滅危惧Ⅱ類から絶滅危惧ⅠB類に格上げされてしまいました。

 Black Lemur | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

そんな絶滅危惧種・クロキツネザルですが、なんと日本国内でも会うことができます。

千葉県の市川市動物園、神奈川県の夢見ヶ崎動物公園、愛知県の日本モンキーセンター、福岡県の到津の森公園、長崎バイオパークなどがクロキツネザルを飼育しています。

是非メスとオスの力関係に注目して、観察してみてください。

市川市公式Webサイト
動物一覧 - 市川市動植物園サイト - 市川市公式Webサイト(動植物園課) 動物一覧をご覧いただけます。
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