世界のいきものを動画でチェック!YouTube

キボシイワハイラックス

キボシイワハイラックス
©2015 Amaury Laporte: clipped from the original
目次

キボシイワハイラックスの基本情報

英名:Bush Hyrax
学名:Heterohyrax brucei
分類:イワダヌキ目 ハイラックス科 イワハイラックス属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、モザンビーク、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈経度懸念〉

キボシイワハイラックス
Photo credit: Kebin Walsh

他の種との共生関係

その見た目に反し、最も近縁なのがゾウとされる、アフリカの小型哺乳類ハイラックス。

その一種であるキボシイワハイラックスは、崖や岩場の隙間で暮らします。

そんな彼らには、地上から狙うヒョウブラックマンバ、そして空から狙うコシジロイヌワシなど様々な捕食者が存在します。

彼らは捕食者に対してどのような対策を持っているのでしょうか。

あわせて読みたい
サバンナゾウ サバンナゾウの基本情報 英名:African Savanna Elephant学名:Loxodonta africana分類:長鼻目 ゾウ科 アフリカゾウ属生息地: アンゴラ、ボツワナ、カメルーン、中央...
あわせて読みたい
ヒョウ ヒョウの基本情報 英名:Leopard学名:Panthera pardus分類:ネコ科 ヒョウ属生息地:アフガニスタン、アンゴラ、アルメニア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ベナ...

まず、彼らは住処である岩場から離れて行動しません。

そうすることで危険時にはすぐに岩の隙間に隠れることができます。

そして、彼らは群れを形成します。

これにより、捕食者に対する目が増え、危険をすぐに察知することができます。

ハイラックスはよく鳴く生き物です。危険が迫ったときには鳴いて仲間に知らせるのです。

また、ハイラックスの目には特殊な膜が存在し、これが眩しさを和らげることで、眩しい太陽に紛れる猛禽類の姿を察知することができます。


そんな捕食者対策の中でも特に興味深いのは、彼らが他の種とともに行動することです。

他の種とは、同じハイラックスであるケープハイラックス

彼らと日光浴や採餌などの行動を共にすることで、群れの形成と同じ効果、つまり捕食者に対する目が増える効果が高まります。

このような他の種との群れは混群と呼ばれ、ともに利益を得るような共生関係の一種とされています。

あわせて読みたい
ケープハイラックス ケープハイラックスの基本情報 英名:Rock Hyrax学名:Procavia capensis分類:イワダヌキ目 ハイラックス科 ハイラックス属生息地:アルジェリア、アンゴラ、ベナン、...
あわせて読みたい
ブルーモンキー ブルーモンキーの基本情報 英名:Blue Monkey学名:Cercopithecus mitis分類:オナガザル科 オナガザル属生息地:アンゴラ, エチオピア, ケニア, コンゴ民主共和国, ザ...

共生関係と言えば、キボシイワハイラックスは霊長類のヒヒとの関係も知られています。

ヒヒが樹上で食べた果実の残りを、ハイラックスが食べるのです。

ハイラックスは木を登ることができるので、直接この実にありつけるかもしれませんが、無傷の状態でこの実を食べることができません。

しかし、ヒヒの食べかけであれば食べることができます。

さきほどのケープハイラックスとの共生関係は食べられることに対するものでしたが、今度は食べることに対する共生関係です。

このような関係は、鯨類など他の哺乳類にも見ることができます。

種を超えた共存関係は、人間が動物たちから学ばなければならないことの一つです。

あわせて読みたい
キイロヒヒ キイロヒヒの基本情報 英名:Yellow Baboon学名:Papio cynocephalus分類:オナガザル科 ヒヒ属生息地:タンザニア, マラウィ, ザンビア, モザンビーク, ソマリア, ケニ...
あわせて読みたい
ザトウクジラ ザトウクジラの基本情報 英名:Humpback Whale学名:Megaptera novaeangliae分類:鯨偶蹄目 ナガスクジラ科 ザトウクジラ属生息地:全世界の海保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB...

霊長類と他の動物の混群現象についての研究の現状 | 辻大和 (2008)

キボシイワハイラックス
Photo credit: Amaury Laporte

キボシイワハイラックスの生態

生息地

キボシイワハイラックスは主に東アフリカ一帯に、標高3,800mまでのアカシア林などが近接する岩場や急峻な崖などで暮らします。

ケープハイラックスと一部で同所的に生息していますが、交雑は確認されていません。

形態

体長は30~38㎝、体重は2~3㎏でオスがやや大きくなります。

指には蹄のような爪が生えており、足の裏は毛がなく、分泌物で湿らせることで岩に滑らず歩くことができます。

キボシイワハイラックス
Photo credit: Cassie Foens

食性

植物食性の彼らは葉っぱや果実、茎、樹皮、草などを食べます。

彼らの胃や腸などの消化管には微生物が共生しており、これにより植物を消化することができます。

子は微生物を親から譲り受けるため、親の糞を食べます。

行動・社会

数十頭からなる、単雄複雌を基としたコロニーを作ります。

昼行性の彼らは体温調節が苦手で、よく日光浴をします。

自分で穴を掘ることはできませんが、ツチブタなどが捨てた穴を利用することがあります。

繁殖

繁殖期は雨季の終わりである4~6月です。メスは7.5ヵ月の妊娠期間ののち、1~4匹の赤ちゃんを毛が敷かれた岩陰の巣に産みます。

赤ちゃんは毛で覆われ、目も開いており、生後数時間ほどで母親について歩くことができます。

性成熟には生後約16ヶ月で達し、寿命は野生で長いと10年以上です。

人間とキボシイワハイラックス

絶滅リスク・保全

キボシイワハイラックスは一部地域で毛皮などを目的とした狩猟が行われている可能性がありますが、広範囲に生息しており、個体数も十分と考えられているため、絶滅は懸念されていません。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

IUCN Red List of Threatened Spec...
The IUCN Red List of Threatened Species Established in 1964, the IUCN Red List of Threatened Species has evolved to become the world’s most comprehensive information source on the global conservation ...

動物園

キボシイワハイラックスは埼玉県こども動物自然公園で見ることができます。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次