ケープジェネットの基本情報
英名:Cape Genet
学名:Genetta tigrina
分類:ジャコウネコ科 ジェネット属
生息地:レソト、南アフリカ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
ジェネット
ジェネットとは、ジャコウネコのなかまの1グループのことです。
ジェネットの体型はネコに近く、体を覆う斑点が特徴的です。
ケープジェネットは、英名で“Large-spotted Genet(大きな斑点のジェネット)”と呼ばれることもあるように、比較的大きな黒い斑点が目を引きます。
ちなみに、ジェネットには“Small-spotted Genet(小さい斑点のジェネット)”と呼ばれるジェネットもいます。
これは、ジェネットの中で最も分布域が広いヨーロッパジェネットのことを指します。
名前で区別されるように、斑点以外においては、見た目の上で、ケープジェネットとヨーロッパジェネットは非常によく似ています。
しかし、よく見てみると違う所もあります。
例えば、ケープジェネットの方が、ヨーロッパジェネットよりも毛が短く、柔らかいです。
また、ケープジェネットの顎の方がより淡い色をしており、顔の模様もヨーロッパジェネットほどはっきりはしていません。
そして、これが最も分かりやすいのですが、ケープジェネットのしっぽの先は黒いのに対し、ヨーロッパジェネットのしっぽの先は白いです。
本サイトにはヨーロッパジェネットも掲載されているので、彼らの姿をぜひ見比べてみてください。
さて、ジェネットの概論に戻りましょう。
ジェネットには見た目の他にもいくつか共通点があります。
例えば、ジェネットは森林地帯に生息します。
また、単独性で、木登りが上手です。
そして、ネコのように出し入れできる爪を持っており、動物や昆虫、果実など、何でも食べる雑食性です。
さらに、これはジャコウネコに属する動物全体に言える特徴ですが、ジェネットは肛門に臭腺を持っており、ここからの分泌物を重要なコミュニケーションツールとして利用しています。
この分泌物(ムスク)は、独特なにおいを持ち、人間界では香水にも使われることがあります。
ケープジェネットの生態
生息地
ケープジェネットは、その名の通り(ケープは南アフリカのケープ州のこと)南アフリカの森林地帯に生息します。
特に十分な水があり植生で覆われている環境を好み、ヨーロッパジェネットのように乾燥した地域には生息しません。
ただ、人が住むところや、プランテーションでも目撃されることがあります。
食性
雑食性で、その時々に応じてえさをスイッチできるジェネラリストです。
特に齧歯類を好みますがその他には、昆虫や鳥類、爬虫類、クモ、両生類、果実、草本植物なども食べます。
ケープジェネットは木登りが得意ですが、採食はほとんどが地上で行われます。
形態
体長は46~58㎝、体重は2㎏前後、尾長は40~45㎝で、オスもメスも大きさの上ではほとんど変わりません。
行動
ケープジェネットは、単独性で夜行性です。地上でも樹上でも生活し、木から木へ3~4mもジャンプして移動できるほどのジャンプ力を持っています。
ちなみに、彼らはヨーロッパジェネットよりも樹上性が強いようです。
他のジャコウネコのなかま同様、彼らも肛門腺を持っており、特にオスは前肢だけで体を支えながら分泌物や尿を木などにスプレーします。
繁殖
繁殖に関してはあまり分かっておらず、情報の多くが飼育下のものです。
繁殖は9月~3月の温かく湿った季節に行われます。
妊娠期間は70~77日で、岩陰や木の洞、人家の屋根などに体重60~80g、体長約15㎝の赤ちゃんが一度に1~5頭産まれます。
子育ては母親によって行われます。
赤ちゃんは5~18日で目を開き、生後8~11週で離乳します。
生後1年で大人の大きさになり、それ以後、性成熟に達していきます。
寿命は飼育下で約10年です。
人間とケープジェネット
絶滅リスク・保全
ケープジェネットは、絶滅に関しては幸い危惧されていません。
IUCNのレッドリストでも、軽度懸念とされています。
ただ、小さな家畜や家禽を襲うとの認識から、農夫などに迫害されたり、イヌやネコに殺されたりすることがあるようです。
また、殺鼠剤を摂取した齧歯類を食べることにより死んでしまうこともあるようです。
ただ、これらの脅威は今のところ大きくなく、ケープジェネットの個体数は安定していると考えられています。
動物園
そんなケープジェネットですが、日本では愛知県の東山動物園で見ることができるようです。
ジェネットを見ることができる動物園は、日本ではここだけなので是非行ってみてください。