コモンリスザルの基本情報
英名:Common Squirrel Monkey(Guianan Squirrel Monkey)
学名:Saimiri sciureus
分類:オマキザル科 リスザル属
生息地:ブラジル, コロンビア, エクアドル, フランス領ギアナ, ガイアナ, スリナム, ベネズエラ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
孤独は嫌いなの
コモンリスザルは、数十匹から成る複雄複雌の群れを作ります。
食事の時などはいくつかの群れが集まることで、その数、数百匹にもなると言います。
このコモンリスザルの群れには序列があり、メスがオスよりも優位にあるボリビアリスザルとは違い、オスの方が優位にあります。
群れの中では様々なコミュニケーションが行われます。
特に聴覚と嗅覚によるコミュニケーションは発達しており、音声によるやりとりや尿によるにおいづけ行動が見られます。
また、グルーミングやじゃれ合う姿は簡単に観察することができ、これらを通して社会的なきずなが深められます。
現在、日本ではペットとしてコモンリスザル含め、リスザルを買う人が増えてきています。
個人で複数匹飼育するのは難しいので、やはり1匹で飼う方が多いと思われます。
しかし、以上からわかるように、リスザルは集団的、社会的な動物です。
かわいいからと言って自分で買うのではなく、お近くの動物園で、群れと楽しく暮らすリスザルちゃんたちを見てあげてください。
幸いなことに、リスザルを飼育する動物園は多いので、皆さんのお近くの動物園にもきっといるはずです。
コモンリスザルの生態
生息地
コモンリスザルは、南米北部のアマゾン川流域に広く分布しています。
食性
昼行性のこのサルは、起きている時間の7割以上を昆虫採集に充てます。
もちろん食べるための採集です。
昆虫以外には、果実やトカゲなどの小動物も食べます。
リスザルは食物を探して数kmも移動することがあるそうです。
形態
体長は約30㎝、体重はオスが約750g、メスが約650gになります。
しっぽの長さは約40㎝ととても長く、バランスを取る際に使われます。
このしっぽは物をつかむことができない、つまり把握力(纏綿性、てんめんせい)がありません。
ところが、赤ちゃんのしっぽは把握力を持ちます。
人間の赤ちゃんも、生まれたばかりの時は両腕だけでぶら下がることができますが、あれと同じなのでしょうか。
リスザルは、想像のとおり、その姿がリスに似ていることからその名がつけられました。
学名に注目してみましょう。
コモンリスザルの種小名(学名のうち2つ目の単語)は、リス科の属名(学名のうち最初の単語)“Sciuridae”に由来しています。
一方の属名は現地のトゥピ語で小さいサルを意味します。
リスザル属のサルはどれもよく似ていますが、コモンリスザルは灰色の頭とはっきりしたМ字のオデコが特徴的です。
繁殖
コモンリスザルの繁殖には季節性が見られ、交尾は9月~12月、出産は2月~4月の雨季にかけて行われます。
メスの妊娠期間は160~170日で、通常1匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは母親や他のメスによって世話され、メスは約2.5歳、オスは約4歳で性成熟に達します。
コモンリスザルの寿命は飼育下で約25年です。
人間とコモンリスザル
絶滅リスク・保全
コモンリスザルは、広範囲に分布しており、二次林や人の居住地近くにも生息しています。
そのためか、絶滅の危機に関しては軽度懸念にとどまりますが、ペット目的の捕獲や人間による生息地への侵入などにより個体数は減り続けているようです。
動物園
そんなコモンリスザルですが、日本各地で見ることができます。
北海道の円山動物園、宮城県の八木山動物公園、埼玉県の東武動物公園、石川県のいしかわ動物園、兵庫県の王子動物園、広島県の福山市立動物園、沖縄県のネオパークオキナワなどがコモンリスザルを飼育しています。
皆さん、リスザルちゃんたちのためにも、家で飼育するのではなく動物園に見に行きましょう。
ちなみに、リスザルはヒトよりも先に宇宙に行った霊長類として知られています。
1959年5月28日、リスザルのミス・ベイカーがジュピターロケットに乗り、宇宙を飛行しています。
彼女は27歳まで生き、合衆国宇宙ロケットセンターの地に埋葬されました。
彼女が宇宙に出たその2年後、1961年4月12日、ようやく人類も宇宙を飛行することになります。