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クロザル

2026 5/15
オナガザル科
2026年5月15日
橙色の目が光る黒い顔のクロザル
©2010 Sandra van del Wel: clipped from the original
目次

クロザルの基本情報

英名:Crested Macaque
学名:Macaca nigra
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:インドネシア
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

水辺の椰子実に立つ仔クロザルの全身
Photo credit: Jason Thompson

自撮りする黒いサル

2011年、あるカメラマンのカメラを使って自撮りをしたサルが、世界的に話題になりました。

その写真が下の画像です。

歯を見せ自撮りするクロザルの顔のアップ
Photo credit: J Unrau

素晴らしい自撮りですね。

この写真はそれ自体有名になっただけでなく、動物がとった写真の著作権についてもその後議論を呼びました。

経緯を少し見てみましょう。

2011年、インドネシアのスラウェシ島にて、イギリスの写真家、デイビッド・スレイターのカメラをひったくり、ナルトという名のサルが奇跡的に自身の写真を撮影します。

スレイター氏はこの写真を自身の写真集に掲載し、さらにインターネット上に公開したのですが、間もなくこの写真は、ウィキメディア財団が運営するウィキメディア・コモンズに著作権が発生しないパブリックドメイン(弊サイトでもよく使わされて頂いております)として、アップロードされます。

スレイター氏は、著作権は自身にあるとして写真の削除を求めますが、ウィキメディア財団はこれを拒否。

その後、米著作権局は「人間以外の動物による作品は著作権の対象とはならない」と明言したことにより、この戦いではウィキメディア財団に軍配が上がります。

しかしサルの自撮り論争は終わりません。

今度は動物愛護団体であるPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)が、サルにも著作権があり、ナルトの著作権を代わりに行使して写真から得られる収益をサルの保護に使うと主張し、スレイター氏を提訴しました。

一審では、動物は著作権保護の対象ではないとの判断が下り、被告のスレイター氏が勝利。

PETAは控訴しますが、後に両者はスレイター氏が写真で得た収益の25%をこのサルの保護のために寄付することに合意する形で和解します。

このように、一枚のサルの自撮りの写真は著作権に関して世界的な議論を巻き起こしたのでした。

さて、前置きが長くなりましたが、この写真サル、その名もクロザルと言います。

名前にふさわしく、全身も真っ黒な毛でびっしり覆われています。

ただ一つ、色が違うところがあります。

それが「しりだこ」と呼ばれる部分です。

これは、お尻の皮膚が分厚くなったもので、オナガザル科のサルが持っています。

地面などに腰を下ろすとき、体を安定させたりお尻を守ったりするのに役立っています。

このしりだこが、クロザルの場合、きれいなピンク色をしています。

黒い体にとても目立つしりだこです。

日本語ではクロザルと言いますが、英名を見てみると“black”ではなく、“crested”という単語がつけられています。

これは、「冠毛のある」という意味です。

実際、クロザルの頭にはふさふさした毛が生えており、モヒカンのようで特徴的です。

また、オナガザル科のサルはその名の通り長いしっぽを持っていることが多いのですが、その中では珍しく、クロザルのしっぽは2センチととても短いです。

ところで、クロザルと同じオナガザル科マカク属に、クロザルの他にしっぽの短いサルがいます。

それは私たちにとって最も身近なサルなのですがなんだと思いますか?

是非タグ一覧からマカク属を押して、調べてみてください。

クロザルの生態

生息地

野生のクロザルは、インドネシアのスラウェシ島北東部にのみ生息しています。

導入個体は約10万頭がモルッカ諸島のバカン島に生息しています。

標高200~1,200mの熱帯雨林で暮らし、地上性が強く、1日の60%以上を地上で過ごします。

これは暑さへの適応だと考えられています。

食性

主に果実を食べます。

果実が少ない時には、昆虫や若葉、爬虫類なども食べます。

また、農園に進入し、ココナッツやトウモロコシといった作物を食べることもあります。

形態

体長は45~60㎝、体重はオスが10㎏前後、メスが5.5㎏前後でオスの方が大きくなります。

クロザルの体は名前の通り真っ黒ですが、お尻だけはピンク色をしています。

メスのお尻は、発情すると腫れあがり、オスに準備が出てきていることのアピールになります。

行動

クロザルは、50~100頭から成る、複雄複雌の群れを作ります。

クロザルの社会は、メスが生まれた群れに一生留まる一方、成長したオスが群れを離れる母系社会です。

メス同士は平等な関係にありますが、オスには明確な順位があります。

メスは優位のオスを好みますが、繁殖の機会は劣位のオスにもあります。

クロザルは、社会性のとても高いサルです。

音声やグルーミング、リップスマッキングなどによるコミュニケーションを頻繁に行い、互いに仲を深めます。

下の動画でもその様子が確認できるのでご覧ください。

繁殖

クロザルの繁殖に明確な季節性はありませんが、多くの交尾は6月と8月に行われるようです。

メスの排卵周期は約40日と比較的長く、メスは発情すると性皮を腫脹させます。

オスもメスも複数と交尾し、メスは5~6カ月の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。

下の動画からも確認出来ることですが、クロザルの赤ちゃんは真っ黒ではありません。

顔は白く、これからあの容貌になっていくとは思えないくらいかわいらしいです。

あまりよく分かっていませんが、赤ちゃんは主に母親、群れのメスよって育てられていると思われます。

赤ちゃんは約1歳で離乳し、4~6年で性成熟に達します。

性的に成熟するのはメスの方がオスよりも早いです。

メスの性的休止期間は約22カ月で、寿命は飼育下で約30年です。

人間とクロザル

保全状況

クロザルは、食料目的の狩猟や生息地の破壊により、数が激減しています。

ここ約30年で80%以上減少したとも言われています。

特にスラウェシ島北部では狩猟圧が強く、クロザル減少の最大要因となっています。

現在彼らはレッドリストにおいて、絶滅の危機が極めて高い絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

これは、絶滅の危険度を示す指標としては、絶滅していない種に与えられるものの中で最も高いものになります。

 Crested Macaque | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

そんな絶滅危惧種のクロザルですが、なんと日本の動物園で会うことができます。

札幌の円山動物園、千葉県の千葉市動物公園、静岡県の浜松市動物園、愛媛県のとべ動物園で、クロザルに会うことができます。

絶滅に瀕している彼らを見に、是非これらの動物園に足を運んでみてください。

もしかしたら、そこのクロザルも自撮りをしてくれるかもしれません。

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