ダイアナモンキーの基本情報
英名:Diana Monkey
学名:Cercopithecus diana
分類:オナガザル科 オナガザル属
生息地:コートジボワール, ギニア, リベリア, シエラレオネ
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
月の女神
学名にも英名にも和名にもついている「ダイアナ(Diana)」は、ローマ神話に登場する月の女神ディアナ(英名ではダイアナ)に由来しています。
これは、おでこの白い毛が三日月のようだということで、分類学の父カール・フォン・リンネによってつけられたものです。
名前に負けず「世界一美しい」とも言われる容貌をしたダイアナモンキーですが、他の種類のサルと群れを作ることがあります。
ダイアナモンキーは主に林冠部(木のてっぺん付近)に住んでいる一方で、他のサルは木の別の部分に住んでおり競合しないため、このように違う種のサルが群れを作ることができます。
その群れの中で、ダイアナモンキーはリーダー的な役割を果たします。
さすが神の名を冠しているだけはあります。
例えば、移動の時は他のサルの先頭に立ち、群れを率います。
また、林冠部から捕食者である猛禽類を確認すれば、他のサルに警告音をもって知らせます。
驚くことに、この群れのサルたちは種が違うので当然それぞれ違う鳴き声を発しますが、彼らはそれが何を意味するかを、違う種類のサルの鳴き声であっても理解することができます。
さらに、捕食者を見つけたときの警告音は、サルだけでなく牛や鳥のなかまにも通じるようです。
種類は違っても共存は可能なのですね。
ダイアナモンキーの生態
生息地
ダイアナモンキーは、ギニア南部、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール南西部の湿潤林などに生息します。
食性
主に果実を食べ、他には花や葉っぱ、昆虫なども食べます。
形態
体長は40~55㎝、体重は4~7㎏、しっぽの長さは50~75㎝です。
月の女神の名前が付けられている割には、太陽が出ている間活発に動く昼行性です。
行動
ダイアナモンキーは、15~30頭から成る単雄複雌の群れを作り、1匹のオスが群れで最も優位になります。
オスは成長すると自分が生まれた群れを出ていきます。
群れの中では様々なコミュニケーションが行われます。
このサルによくみられるグルーミングやボディータッチ、表情によるコミュニケーションは、群れのきずなを深めるためには欠かせません。
繁殖
ダイアナモンキーの繁殖には季節性が見られ、赤ちゃんは食料が豊富な時期に生まれます。
メスの月経周期は約31日で、約5ヶ月の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは母親や群れのメスによって育てられ、生後約6カ月で離乳します。
性成熟には約3歳で達し、オスは群れを離れていきます。
出産間隔は約1年、寿命は飼育下で20~35年です。
人間とダイアナモンキー
絶滅リスク・保全
ダイアナモンキーは、肉、毛皮目的の違法な狩猟や人間による生息地の破壊などの影響で個体数を減らしています。
その結果、レッドリストでは2019年、絶滅危惧Ⅱ類から絶滅危惧ⅠB類に格上げされてしまいました。
ダイアナモンキーの個体数は3世代で半分以上減ったと言われています。
今後もこのペースだと、彼らが地球からいなくなるのも遅くないかもしれません。
動物園
そんなダイアナモンキーですが、日本でもいくつかの動物園で見ることができます。
北海道の円山動物園、愛知県ののんほいパーク、愛媛県のとべ動物園、福岡県の福岡市動物園がダイアナモンキーを飼育しています。
月の女神のようなサル、一目見たいという方は今紹介した動物園に行ってみてください。