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フェネックギツネ

2026 5/15
イヌ科
2026年5月15日
大きな耳の横顔のフェネックギツネ
©2013 Kitty Terwolbeck: clipped from the original
目次

フェネックギツネの基本情報

英名:Fennec Fox
学名:Vulpes zerda
分類:イヌ科 キツネ属
生息地:アルジェリア、チャド、エジプト、リビア、マリ、モーリタニア、モロッコ、ニジェール、スーダン、チュニジア、西サハラ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

岩棚で寝るフェネックギツネの正面
Photo credit: Martin Fisch

あえぎ呼吸

砂漠のような暑くて乾燥した地に最も適応したネコ科動物がスナネコであるならば、イヌ科動物の場合はこれにフェネックギツネが当てはまります。

フェネックギツネは、砂漠での生活に特化した特徴を持っており、例えば砂が入るのを防ぐために長い毛が生えた大きな耳は、音の少ない砂漠で獲物の音をキャッチする能力の他にも、放熱の機能も持っています。

また、足をびっしりと覆う毛は、熱い砂から足の裏を守ります。

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ところで、人間が砂漠に行けば、きっと汗を大量にかくことでしょう。

汗は体温調節機能をもっており、人間にとって欠かせない生理機構です。

しかし、フェネックギツネを含めイヌ科動物は汗をかくことがほとんどできません。

では、彼らはどのようにして体温を調節しているのでしょうか。

イヌ科動物のように汗をかけない哺乳類や鳥類は、呼吸で体温を調節します。

浅く速く呼吸をすることで、気道などから水分をたくさん蒸発させ、体温を下げているのです。

水が蒸発するには熱が必要ですが、この気化熱が水の触れている部分から奪われることで体温が下がるという仕組みです。

この水分の蒸発を促す浅く速い呼吸は、あえぎ呼吸と呼ばれます。

あえぎ呼吸を人間がやると、二酸化炭素が体から大量に出ていくことで血液がアルカリ性に傾き、昏睡状態になったり、最悪の場合死んだりします。

あえぎ呼吸とはいわゆる過呼吸と呼ばれるもので、軽度の場合でも頭痛や吐き気、動悸などの症状が現れます。

しかし、あえぎ呼吸を使いこなせる動物たちは、このような状態に陥ることなく、呼吸で体温を調節しています。

ちなみにフェネックギツネの場合は、気温35度を超えると呼吸回数が急激に速くなり、あえぎ呼吸で体温を下げようとします。

呼吸で砂漠という過酷な環境を生き延びるフェネックギツネ。

砂漠の呼吸、ここに極めたり。

砂地で目を閉じて熟睡するフェネックギツネ
Photo credit: Benjamin Balazs

フェネックギツネの生態

生息地

フェネックギツネは、砂砂漠や半砂漠などの乾燥地帯に生息します。

年間降水量は分布域の北の方で約100㎜、南のサヘル地帯でも約300㎜です。

生息地の一部では、オジロスナギツネやキンイロジャッカルと同所的に生息しています。

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食性

機会的捕食者のフェネックギツネは、齧歯類やトカゲ、卵、昆虫などを食べます。

また、果実や葉、根などの植物質も食べ、水分はほとんど100%ここから摂取します。

食物は未来の利用のために隠すこともあります。

群れは作るものの、採餌は1頭で行います。

形態

体長は30~40㎝、肩高は18~22㎝、体重は0.8~1.5㎏、尾長は18~30㎝で、オスの方がわずかに大きくなります。

フェネックギツネは、イヌ科動物の中では最小になります。

小さいことは、体積に対する表面積が大きな動物より大きくなるため、放熱という点でメリットになっています。

行動

フェネックギツネは主に夜行性です。

日中は地面に掘った穴で過ごします。

穴は複数の出口があることもあり、奥行きは最大10mもあります。

複雑な巣には複数の群れが同居することもあります。

最大10頭から成る群れを作り、繁殖ペアとその子供たちが基本構成員となります。

よく鳴き、複数の音声を持ちます。

行動圏は糞尿でマーキングされ、防衛は攻撃的です。

フェネックギツネは、上に0.8m、横に1m以上ジャンプすることができます。

繁殖

繁殖は1月~2月に行われます。交尾結合が見られ、交尾は1時間以上にも及びます。

フェネックギツネはほとんど生涯同じ相手と繁殖します。

発情期間は数日で、妊娠期間は約50日。

出産は1年間隔で行われ、一度の出産で約50gの赤ちゃんが通常2~4頭産まれます。

育児には父親も参加し、子供を守ったり、エサを運んだりします。

赤ちゃんは約2週で目を開き、生後5週で巣穴から出始めます。

離乳時期はキツネの中でも遅い方で生後約3カ月の時になります。

9カ月齢で大人の大きさになり、11カ月齢で性成熟に達します。

寿命は飼育下で約12年です。

暗がりで佇むフェネックギツネの仔の顔
Photo credit: Charles Barilleaux

人間とフェネックギツネ

絶滅リスク・保全

フェネックギツネは、ペット、肉、毛皮目的の狩猟、イエイヌによる攻撃、道路の建設、定住など人間による活動といった脅威にさらされています。

ただ、分布域の広さや、人間の影響が小さい砂漠で生活していることなどから絶滅は危惧されておらず、IUCNのレッドリストでも軽度懸念の評価です。

 Fennec Fox | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

そんなフェネックギツネですが、日本の動物園でも見ることができます。

埼玉県の埼玉県こども動物自然公園、愛知県豊橋市ののんほいパーク、兵庫県の神戸どうぶつ王国、長崎県の長崎バイオパークなどがフェネックギツネを飼育・展示しています。

日本でも暑い夏には彼らのあえぎ呼吸を見ることができると思うので、是非これらの動物園に足を運んでみてください。

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