フィンレイソンリスの基本情報
英名:Finlayson’s Squirrel
学名:Callosciurus finlaysonii
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 タイワンリス属
生息地:カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
カラフルなリス
スコットランドのナチュラリストのジョージ・フィンレイソンに因んで名づけられたフィンレイソンリスは、日本では外来種として知られています。
彼らは遺伝的にクリハラリスに非常に近縁ですが、その雑種もしくは本種の存在は静岡県浜松市で確認されています。
クリハラリスは2013年、外来生物法により特定外来生物に指定されており、飼育だけでなく運搬や輸入、野外への放出などが禁止されています。
ちなみに、リス科では彼らの他、クリハラリス、タイリクモモンガ、トウブハイイロリス、キタリス(エゾリスを除く)が特定外来生物に指定されています。



さて、16亜種ほどが知られているこのフィンレイソンリスですが、リスの中では最もカラフルと言えるほど様々な体色が知られています。
真っ白、真っ黒、赤褐色、灰褐色、そしてそれらの色の組み合わせを考えると本当に多様で、同じ地域ですら色の変異が見られるほどです。
彼らの属名である“Callosciurus”はラテン語で「カラフルなリス」という意味ですが、彼らはまさにその名前を体現しています。
また、その体色の多様さから、英語では“Variable Squirrel”とも呼ばれます。
“variable”とは「変わりやすい」などと言った意味で「変異種」という意味の“a variable species”という言葉にも使われています。
ところで、彼ら自身は同じ種の多様な体色を区別できるのでしょうか。
目には視覚を構成する視細胞が存在し、明暗を知覚する桿体細胞と色を知覚する錐体細胞に大別できます。
多くの脊椎動物の錐体細胞には3か4種類あり、それにより三色型色覚ないし四色型色覚となっています。
しかし、夜行性の小さい動物として始まった哺乳類は、色を見分ける必要がないため進化の中で錐体細胞を失い、二色型色覚となってしまいました。
その子孫であるフィンレイソンリスもやはり緑と赤が見分けられない二色型色覚とされています。
そのため、カラフルな体色のわりに、彼らはその体色を我々が思うほど見分けられていない可能性があります。
体色は体温調節や別種との区別など個体識別ではない他の理由によって変異があるのかもしれません。
ほとんどが二色型色覚の哺乳類ですが、例外もいます。
それが霊長類です。
特に夜行性から昼行性に移行していった類人猿やマカク類など霊長類の一部は、森になる鮮やかな色をした果実を主食とするため、それを見つけ出せる三色型色覚を手に入れました。
ここでリスの話に戻りますが、同じく昼行性で果実を食べることもあるリスはなぜ霊長類のような三色型色覚を持っていないのでしょうか。
どうやらリスは鮮やかな果実はそこまで食べていないようで、黒や茶色、紫など暗い色の果実や種子が食べるものの大半を占めます。
つまり、三色型色覚を手に入れる必要性があまりないのです。
動物が見る世界と、なぜそう見えることが必要だったのか。
興味が尽きないテーマですね。




フィンレイソンリスの生態
生息地
開けた疎林や密な森林、ココナッツなどのプランテーションや公園など様々な環境に生息します。
シンガポールには導入個体群があり、イタリアや日本では外来種として知られています。
形態
体長は19~22㎝、体重は200~300g、尾長は17~24㎝で、体サイズに性差はありません。
雌雄は性器や乳頭の有無で見分けられます。
メスには4つの乳頭があります。

食性
種子や果実、花、蕾、樹皮、樹液などを食べます。
一部地域では、人間からもらったエサを巣や地面に隠す貯食行動が見られます。
捕食者にはカササギやカラスといった鳥類、ネコなどの哺乳類、ヘビ類が知られています。
行動・社会
単独性で昼行性のフィンレイソンリスは、ほとんどの時間を樹上で過ごします。
枝の上などに巣を作り、出産もそこでします。
繁殖期になると、1匹の発情メスを複数のオスが泣きながら追いかける様子が見られます。
繁殖
繁殖は4月、7~8月、11~12月に行われることが多く、雌雄とも複数の異性と交尾します。
一度に1~2匹の未熟な赤ちゃんが生まれます。
寿命は飼育下で10年程度です。

人間とフィンレイソンリス
絶滅リスク・保全
一部地域では狩猟が個体数や密度に影響を与えている可能性がありますが、全体として大きな脅威はありません。
分布域も広く個体数も安定していると考えられており、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Variable Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本の動物園などの施設でフィンレイソンリスを見ることはできません。


