タイワンザルの基本情報
外来種
台湾に生息するからタイワンザルという単純すぎる名前の付けられ方をしたこのサルですが、実は日本の野生下でも生息しています。
1940~1970年代にかけて、動物園から逃げ出すなどの理由で、和歌山県や静岡県の伊豆大島などでタイワンザルが野生化してしまいました。
そのため、日本の固有種であるニホンザルと交雑したり、ミカン、タケノコ、サツマイモなどの農作物を食い荒らしたりなどの被害が見られるようになりました。
ある調査では、調査したタイワンザルの9割がニホンザルとの雑種であることが判明し、大きな問題と認識されるようになります。
このような経緯で、2005年に環境省がタイワンザルを特定外来生物に指定し、根絶が目指されてきました。
現在、和歌山県では専門家も交えた2003年からの駆除活動のおかげで、タイワンザルはいなくなったようです。
しかしその一方で、伊豆大島では依然として数千匹のタイワンザルが生息しています。
約80年前、動物園から逃げた20匹が今ではこの数となっているので、タイワンザルの繁殖力の強さがうかがわれます。
このように、伊豆大島ではタイワンザルの駆除が未だ大きな課題として残っていますが、和歌山県の例がモデルケースとなり、根絶が可能なのではとの期待もあります。
いずれにせよ、彼らがここまで増えたのも人間の責任です。
タイワンザルは悪くありません。

タイワンザルの生態
タイワンザルは、台湾の常緑樹などに生息します。
昼行性で地上性が強いです。
果実、葉、種子、昆虫、小動物など何でも食べ、これらの食物はほお袋に一時的に溜められます。
体長はオスが40~55㎝、メスが35~45㎝、体重は6~18㎏とオスの方が大きくなります。
また、しっぽは25~35㎝と長く、ここが一見よく似たニホンザルと大きく違う所です。
タイワンザルは、多くて100匹から成る複雄複雌の群れを作ります。
しかし近年は、人的影響により、群れの規模は2~10匹と小さくなっており、単雄複雌の群れも見られるようです。
群れにはニホンザルのように序列があります。
劣位のサルは、歯を見せるグリマスを行うことで、優位のサルへの従順を示します。
繁殖には季節性があります。
交尾は11月~1月にかけて行われ、メスは2年に1度、1度に1匹の赤ちゃんを産みます。
妊娠期間は約5ヶ月で、生まれた赤ちゃんは約1年で離乳します。
そしてその後、メスは4~5年で、オスは5-6年で性成熟に達します。
寿命は、飼育下では30年と言われています。
タイワンザルに会える動物園
タイワンザルは、生息地の縮小や狩猟などによる影響はあるものの、個体数は安定しており、レッドリストでも絶滅の危機に関しては軽度懸念とされています。
そんなタイワンザルですが、日本でも数か所で会うことができます。
愛知県犬山市の日本モンキーセンター、豊田市の鞍ヶ池公園、愛媛県のとべ動物園がタイワンザルを飼育しています。
静岡県では未だに野生下で見られるタイワンザルですが、危険なので観察したい場合は是非上記の動物園まで行ってみてください。