ハイイロジェントルキツネザル

ハイイロジェントルキツネザル
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ハイイロジェントルキツネザルの基本情報

英名:Grey Bamboo Lemur
学名:Hapalemur griseus
分類:キツネザル科 ジェントルキツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

ハイイロジェントルキツネザル

Photo credit: NH53

パンダモンキー

ハイイロジェントルキツネザルの姿を見た方は、どこをどう見たらパンダモンキーなんて言えるんだと思われるかもしれませんが、英名に注目してみてください。

bamboo”という単語がありますよね。

これは、日本語で「」を意味する単語です。

 

そう、このサルは、パンダのように竹を主食とする珍しいサルなのです

 

ジェントルキツネザル属に分類されるサルは、みなこの竹を主食とします。

ハイイロジェントルキツネザルは、食べるものの4分の3を竹(竹の葉やたけのこ)が占めます

竹の中には毒を含むものもありますが、そんなのお構いなしに食べてしまいます。

なぜ竹の毒が効かないのかは、未だに解明されていないようです。

ちなみに、竹以外には果実やキノコ類などを食べます。

きっとたまには別の味も欲しいんでしょうね。

 

マダガスカルには、このハイイロジェントルキツネザル、ヒロバナジェントルキツネザルキンイロジェントルキツネザルが同居している森があります。

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彼らは全員竹を食べますが、それぞれ竹の違う部分を食べることで共存しています。

一番小さなハイイロジェントルキツネザルは、栄養価の高い竹の葉の先端の芽の部分、一番大きなヒロバナジェントルキツネザルは竹の幹、キンイロジェントルキツネザルは竹の葉の付け根部分やタケノコを食べます。

このうち、葉の付け根の葉柄(ようへい)とタケノコにはとんでもない毒が含まれています。

これについて知りたい方はキンイロジェントルキツネザルを参照してください。

ハイイロジェントルキツネザル

Photo credit: OpenCage

ハイイロジェントルキツネザルの生態

生息地

ハイイロジェントルキツネザルは、マダガスカル中東部、中西部の、平均気温約20℃の熱帯湿潤林に生息します。

 

形態

体長は65㎝前後で、体重は1㎏に満たないほど。

オスの方がメスよりもやや大きいですが、ジェントルキツネザル属の中では最小になります。

 

行動

ハイイロジェントルキツネザルは、単雄単雌単雄複雌複雄単雌複雄複雌と様々な形態の群れを作りますが、ペア型の群れが一番多く、5匹程度の小さな群れで暮らします。

群れはなわばりを持ち、オスが音声や前肢の臭腺から出るにおいでマーキングします。

コミュニケーションにはこれら音声やにおいの他、グルーミングも使われます。

彼らの社会は母系で、オスは3歳ごろに群れを離れ、メスは群れに留まりますが、メスの中にも群れを離れるものもいるようです

 

繁殖

ハイイロジェントルキツネザルの繁殖は乾季にかけて行われます。

メスの妊娠期間は約140日で、1~2匹の赤ちゃんが雨季に生まれます。

赤ちゃんの重さは50グラムに満たないほどの軽さです。

赤ちゃんの運搬には父親や兄弟が参加することもありますが、育児は主に母親によって行われます。

赤ちゃんは生後約20週で離乳し、メスは約2年、オスは約3年で性成熟に達します。

出産間隔は約1年で、飼育下の最大寿命は23年です。

人間とハイイロジェントルキツネザル

保全状況

ハイイロジェントルキツネザルは、狩猟や人間による生息地の破壊の影響で個体数を減らし続けています

レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、複数のジェントルキツネザルが生息するラヌマファナの森では、その数1000頭に満たないと推測されています。

 

動物園

そんなハイイロジェントルキツネザルですが、日本では唯一、東京の上野動物園だけで見ることができます。

上野動物園はパンダで有名ですが、陰にパンダモンキーがいることも忘れないでください!

運が良ければパンダのように竹を食べる姿が見られるかもしれないので、お近くにお住まいの方はぜひ行ってみてください!

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