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ヒマラヤマーモット

ヒマラヤマーモット
©2013 Dhruvaraj : clipped from the original
目次

ヒマラヤマーモットの基本情報

英名:Himalayan Marmot
学名:Marmota himalayana
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 マーモット属
生息地:中国、インド、ネパール、パキスタン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ヒマラヤマーモット
Photo credit: Christpher J. Fynn

参考文献

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ゴールド・ディギング・アントの正体

マーモットとはリスの仲間で、特に地上で暮らす地上性リスに属します。

14種いるマーモットの中で、ヒマラヤ山脈やチベット高原など特に標高が高い地域に暮らすのがヒマラヤマーモットです。

マーモットは地中に自ら巣穴を掘り、そこで休息したり冬眠したりすることで知られていますが、ヒマラヤマーモットは特に深い穴を掘ることで知られています。

通常、巣穴の深さは2.5~3.5mほどですが、特に冬眠時の巣穴は10m近くの深さに位置することもあるようです。


ところで、紀元前に生きた古代ギリシャの歴史家で「歴史の父」と呼ばれるヘロドトスは、大著『歴史』を著し、そこでペルシア戦争を中心的主題としながらも、オリエント世界各地の歴史や伝説を記述しました。

その『歴史』の第三巻には「ゴールド・ディギング・アント」の話が出てきます。

ゴールドディギングとは「金を掘る」という意味で、アントとは「アリ」のことです。

今でいうインド周辺に、キツネくらいのサイズの大きなアリがいて、彼らが穴を掘って巣を作る過程で出てくる金の欠片をそこにすむ人々が集めているということを、ヘロドトスは『歴史』に書いたのです。


ヘロドトスは旅をしながら各地の伝承を集めてそれを『歴史』にまとめたとされ、ゴールド・ディギング・アントも旅人から聞いた話だとしているので、この話もまた伝説として後世に残されました。

しかしその後、これは単なる伝説ではないのではないかと言い始める人が現れます。

20世紀のフランス人民族学者で、ヒマラヤやチベットを生涯にわたり探検したミシェル・ペイセルは、このゴールド・ディギング・アントの正体が、パキスタンのデオサイ高原に生息するある生物ではないかと考えました。

それが、ヒマラヤマーモットです。

確かにヒマラヤマーモットはヘロドトスのゴールド・ディギング・アントに関する記述によく似ています。

キツネほどではないにしろ、彼らの体重は特に冬眠前、10㎏近くになりますし、営巣のために穴を掘ることもゴールド・ディギング・アントの特徴に合致しています。

さらに彼は、デオサイ高原の原住民であるミナロ族が何世代にもわたり、ヒマラヤマーモットが掘った穴から金の欠片を採取していたことを突き止めました。

ペイセルはまた、ペルシャ語からギリシャ語に訳された際、ペルシャ語を解さないヘロドトスが「マーモット」という言葉と「山のアリ」という言葉を混同したのではないかということも指摘しています。

今となってはヘロドトスの聞いたゴールド・ディギング・アントの正体が何なのか知る由もありませんが、ヒマラヤマーモットはその最有力候補ではないでしょうか。

Marmota himalayana (Hodgson, 1841) | GBIF

ヒマラヤマーモット
Photo credit: Peter Kason

ヒマラヤマーモットの生態

生息地

標高2,900~5,500mの、草地や草原、砂漠など、雨が少なく乾燥して開けた環境に生息します。

分布域の西部ではシラガマーモットと同所的に生息しますが、交雑は観察されていません。

形態

体長は47.5~67㎝、体重は4~9.2㎏、尾長は12.5~15㎝です。

冬眠前である夏に最も重くなり、冬眠明けの春先に最も軽くなります。

他のリス同様、前肢には4本、後肢には5本の指が生えており、かぎづめを持ち、これで穴を掘ります。

ヒマラヤマーモット
Photo credit: Webster899

食性

草や根、種子、花などを食べます。

彼らはユキヒョウの重要な餌生物とされます。

捕食者にはユキヒョウの他、チベットスナギツネアカギツネヒグマ(ヒマラヤヒグマ)、猛禽類などがいます。

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行動・社会

昼行性で薄明薄暮時に活発になります。

群れサイズは環境によりますが、通常大人のペアと亜成獣、若齢個体からなります。

6~8ヵ月間を巣穴で冬眠し、同じ巣穴を群れで共有し冬を越します。

個体同士で鼻を付け合うなどの挨拶や遊びが見られ、警戒音声などの音声もよく使います。

繁殖

繁殖は2~3月に見られます。

妊娠期間は約30日で、一度に2~11匹の赤ちゃんが生まれます。

赤ちゃんは生後2~3週で離乳し、地上でエサを食べるようになります。

性成熟には2歳ごろ達しますが、実際の繁殖はそれより遅れる場合があります。

寿命は野生で長いと15年ほどです。

ヒマラヤマーモット
Photo credit: Balachandran Chandrasekharan

人間とヒマラヤマーモット

絶滅リスク・保全

彼らの生存を脅かす大きな脅威は知られていませんが、肉や薬目的で狩猟されることがあります。

IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。

彼らはダニを媒介とする感染症の保有者であり、人間への感染を引き起こす場合もあります。

Marmota himalayana | The IUCN Red List of Threatened Species

動物園

日本の動物園でヒマラヤマーモットを見ることはできません。

ただ、同じマーモット属のボバクマーモットは、静岡県の伊豆シャボテン動物公園で見ることができます。

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