キングコロブスの基本情報
英名:King Colobus
学名:Colobus polykomos
分類:オナガザル科 コロブス亜科
生息地:コートジボワール, ギニア, ギニアビサウ, リベリア, シエラレオネ
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉
コロブス
キングコロブスは、オナガザル科 コロブス亜科 コロブス属に分類されるサルです。
コロブスコロブスとうるさいですが、コロブスのなかまにはいろいろな特徴があります。
まずはその指です。
コロブスのなかまには親指がほとんどありません。
コロブスという名前は「欠落した」とか「切断された」という意味のギリシャ語に由来すると言われています。
これはコロブスのほとんどない親指を形容したものです。
なぜ彼らに親指がないかというと、親指が邪魔だからです。
コロブスは樹上で生活し、枝などに指を引っ掛けて移動します。
その時、親指は邪魔でしかありません。
また、彼らはニホンザルなどのように地面のえさをつまんで食べたり、人間のように物を掴んだりということもしないので、親指は必要ありません。
もう一つの大きな特徴としては、彼らの胃がくびれていることが挙げられます。
彼らは葉を食べるサルですが、葉は消化しにくい食べ物です。
そこで、くびれた胃にバクテリアを共生させることで、彼らに葉を分解してもらっています。
他にも、赤ちゃんの色が親と全く違ったり、オナガザル科オナガザル亜科のサルのような頬袋がなかったりという特徴もあります。
分類されたグループごとの特徴を探すのも面白いですね。
キングコロブスの生態
生息地
キングコロブスは、西アフリカの海岸付近一帯の熱帯雨林に生息します。
食性
昼行性で、主に葉を食べます。他には、果実や花も食べます。
形態
体長は45~70㎝、体重はオスが約10㎏、メスが約8㎏で、しっぽの長さは1mに達することもあります。
しっぽは白く、アンゴラコロブスやアビシニアコロブスなどのような房毛(ふさげ)を持ちません。
行動
キングコロブスは、単雄複雌ないし複雄複雌の小さな群れを作ります。
メス同士の関係は深く、グルーミングなどがよく観察されます。
一方でオス同士が関わることはほとんどなく、明確な順位があるようです。
群れ同士は敵対的で、出会うと音声などを使った攻撃的なディスプレイが見られます。
繁殖
繁殖には季節性があるともないとも言われていますが、果実など食料の利用可能性が少なからず関わっているようです。
メスは、約半年の妊娠期間を終え、1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは全身まっ白で、大人とは全く違う容姿をしています。
性成熟には約2年で達し、メスの性的休止期間も約2年と言われています。
飼育下での寿命は25年前後です。
人間とキングコロブス
絶滅リスク・保全
キングコロブスは、生息地の破壊や肉、毛皮目的の狩猟などにより個体数を減らしています。
レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、今後の個体数の更なる減少が懸念されています。
動物園
そんなキングコロブスですが、残念ながら日本の動物園では会えません。
しかし、近縁で赤ちゃんの色も同じであるアンゴラコロブスやアビシニアコロブスには愛知県の日本モンキーセンターや北海道の旭山動物園、秋田県の大森山動物園、兵庫県の王子動物園、鹿児島県の平川動物公園などで見ることができます。
日本モンキーセンターではどちらも飼育されているので、ぜひ行ってみてください。