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イイズナ

イイズナ
©2015 big-ashb: clipped from the original
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イイズナの基本情報

英名:Least Weasel
学名:Mustela nivalis
分類:イタチ科 イタチ属
生息地:アフガニスタン, アルバニア, アンドラ, アルメニア, オーストリア, アゼルバイジャン, ベラルーシ, ベルギー, ボスニアヘルツェゴビナ, ブルガリア, カナダ, 中国, クロアチア, チェコ, デンマーク, エストニア, フィンランド, フランス, ジョージア, ドイツ, ギリシャ, ハンガリー, イラン, イタリア, 日本, カザフスタン, 韓国, キルギス, ラトビア, レバノン, リヒテンシュタイン, リトアニア, ルクセンブルク, モルドバ, モナコ, モンゴル, モンテネグロ, オランダ, 北マケドニア, ノルウェー, ポーランド, ポルトガル, ルーマニア, ロシア, サンマリノ, セルビア, スロバキア, スロベニア, スペイン, スウェーデン, スイス, シリア, 台湾, タジキスタン, トルコ, トルクメニスタン, ウクライナ, イギリス, アメリカ合衆国, ウズベキスタン
保全状況:LC〈軽度懸念〉

イイズナ
Photo credit: Isidora Kyriazi

世界最小の肉食獣

イイズナの英名にある“least”とは、「最も小さい」という意味です。

その名の通り、イイズナは、体重100gほどしかない世界最小の肉食動物です

彼らは小さいながらも、自分の何倍もあるウサギを捕らえることができ、獰猛なハンターとして知られています。

ただ、彼らの獲物は大半が齧歯類です

イイズナは、齧歯類が生息する所で、植物がある所ならどこでも生きていくことができ、その生息地は北半球に広く及びます。

イイズナは、その小さい体のおかげで、俊敏に動くことができ、瞬時に獲物をしとめることができます。

また、獲物である齧歯類が作る穴に入り込むこともできます。

これは単に獲物へのアクセスがしやすくなるだけでなく、捕食者から身を守るのにも役立っています。

このように、小さい体は、彼らが生きていくうえで非常に有利な特徴ですが、一方でそれは不利益をも彼らにもたらします

一般に、(標準)代謝量は体重の3/4乗に比例します。

これは、例えば体重が2倍になっても、代謝量、すなわち消費するエネルギーの量は1.68倍にしかならないということで、体重が100倍になっても代謝量は32倍にしかならないということです。

つまり、小さい動物ほど体重の割にエネルギーを消費し、大きい動物ほど体重の割にエネルギーを消費しないのです。

そのため、小さいイイズナはどんどん消費されるエネルギーをまかなうため、毎日自分の体重の半分にもなる食物を摂取しなければなりません。

これは、数日何も食べなくても生きてける大型肉食獣とは全く異なる生き方です。

イイズナは、起きている時間のほとんどを食料の探索に費やし、獲物を見つければどんな時でも捕らえます。

自分が食べられる以上の獲物を捕まえることも珍しくなく、その場合は巣穴の入り口付近で貯蔵します。

下の動画では、まさにその様子を見ることができるので、是非ご覧下さい。

エネルギーは必要だけれども体を小さくする戦略、体を大きくしてエネルギー消費を抑える戦略、イイズナは前者に最も大きく振った肉食動物と言えるでしょう。

イイズナの生態

生息地

イイズナは、ユーラシア北米の、牧草地農地森林湿地プレーリーなど、様々な環境に生息しています。

人為的に持ち込まれ、野生に棲みついた国には、南半球のニュージーランドや地中海のマルタがあります。

イイズナは昼も夜も活動し、優れた嗅覚、そして聴覚や視覚を用いて常にえさを探し求めています。

地上や地中にいることが多いですが、木に登ることも泳ぐこともできます。

食性

食物の大半はネズミやレミングなどの齧歯類で、その他にも鳥の卵トカゲなどを食べます。

イイズナは、狩りの際にジャンプしたり体をねじらせたりするダンス(weasel war dance)をすることがあります。

このダンスの理由は未だ分かっておらず、獲物を困惑させるためとか、寄生虫が影響しているなどと言われています。

彼らを食べる捕食者には、アカギツネやヘビ、猛禽類の他、近縁種のオコジョオナガオコジョがいます。

形態

体長は16~25㎝、体重は50~180g、で、オスの方が大きくなります

しっぽは約10㎝で、見た目がよく似たオコジョと異なり、先端に黒い模様はありません

かぎ爪は各足に5本生えており、ネコのように収納することはできません。

体毛は季節によって生え換わり(換毛)、夏には赤茶色、秋には明るい冬毛になります。

特に寒い地域では、冬毛はまっ白になり、雪の中でカモフラージュの役割を果たします。

行動

イイズナは、繁殖の時以外は単独で行動します

オスもメスもなわばりを持ち、なわばり内にいくつかの巣穴を持ちます。

巣穴は木の洞や、ネズミなどが掘った穴を利用し、自分で掘ることはありません。

巣穴の周辺は、肛門腺からの分泌物や糞尿でマーキングされます。

コミュニケーションにはにおいの他、4種類の音声が知られています。

繁殖

繁殖は、冬を除いた2月~10月にかけて行われ、交尾は特に3月~6月に集中します。

メスの発情は約4日続き、その間に複数のオスと1時間も続く交尾をします。

出産は、えさの豊富さによっては1年に1度以上行われることもあります。

妊娠期間は約35日で、えさの量により1~13頭の赤ちゃんが生まれます。

1.5~4.5gの赤ちゃんは、母親に育てられ、約1カ月は栄養を乳からのみ得ます。

出産間近から離乳までの間、母親は同性はもちろん異性に対しても、なわばりを激しく守ります。

子供は生後約7週から自分で獲物を狩るようになります。

狩りの能力は生得的であると思われ、経験がなくても獲物をしとめることができるようです。

生後9~10週で独り立ちし、メスは4カ月、オスは8カ月で性成熟に達します。

寿命は野生下で1~4年、飼育下では最長10年です。

イイズナ
Photo credit: Mike Prince

人間とイイズナ

絶滅リスク・保全

イイズナは、生息地の減少の影響を受けたり、ネズミや家禽を襲うオコジョなどの駆除のための罠にかかったりするなどしていますが、個体数は安定しており、絶滅も危惧されていません

レッドリストでは、軽度懸念の種として登録されています。

IUCN Red List of Threatened Spec...
The IUCN Red List of Threatened Species Established in 1964, the IUCN Red List of Threatened Species has evolved to become the world’s most comprehensive information source on the global conservation ...

動物園

そんなイイズナですが、日本では北海道のおびひろ動物園の一か所でしか見ることができません。

ですが、北海道や東北地方には野生のイイズナが生息しているので、彼らを見たい方は是非探しに行ってみてください。

ただ、彼らは小さく、素早く、人目のつかないところで暮らしているので、見つけるのは大変だと思います。

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