レスラの基本情報
英名:Lesula
学名:Cercopithecus lomamiensis
分類:オナガザル科 オナガザル属
生息地:コンゴ民主共和国
保全状況:未評価
新種のアフリカンモンキー
2007年、コンゴ民主共和国の森を調査していた研究チームが、近隣のオパラという町でどの論文にも記載がないメスの子ザルを発見します。
そのサルは現地でレスラと呼ばれており、狩猟の対象となるなどそこでは珍しいサルではありませんでした。
レスラは鼻に沿うようにして生えた白い毛が特徴的で、フクロウグエノンに似ています。
大人オスの青い陰部もそっくりです。
しかし、毛色が全く違います。
レスラの発見後、彼らについての詳しい研究が行われた結果、2012年、新種のサルとして新たに認定されることになりました。
遺伝子解析の結果、フクロウグエノンとは近縁で、280万~170万年前に共通祖先から分岐したと考えられています。
ちなみに、レスラの種小名“lomamiensis”は、彼らの生息地であるロマミ盆地に由来しています。
アフリカで新種のサルが見つかるのは珍しく、2012年までの28年間で、レスラをふくめてたったの2種だけです。
レスラの住む森林はこれまでほとんど調査の対象となってこなかったようなので、いまだ研究が行われていない森には彼らの他にも新種のサルがいるかもしれませんね。
ところで、下のリンク先の論文はまさにそのレスラを調査した人たちの論文です。
論文の中にはフクロウグエノンとの比較写真や赤ちゃんの写真などが載っているので、是非ご覧になってください。
レスラの生態
生息地
レスラは、コンゴ民主共和国の常緑林などに生息します。
地上性が強く、地上で食べ物を探すこともあります。
食性
レスラは昼行性で、果実や葉などを食べます。
形態
体長は40~65㎝、体重は3.5~7㎏でオスがずっと大きくなります。
行動
群れの形態に関してはよく分かっていませんが、単独、もしくは5匹以内の群れで行動する様子が観察されています。
また、ウォルフグエノンやアカオザルなどと混群を形成しているところも観察されています。
ちなみに、フクロウグエノンは5~10頭から成る単雄複雌の群れを作ります。
レスラもフクロウグエノンも音声によるコミュニケーションが特徴的です。
音声は危険を仲間に伝えたりするのに使われていると考えられています。
繁殖
繁殖に関しても分かっていなことが多いですが、フクロウグエノンから推測が可能です。
フクロウグエノンは雨季に合わせて繁殖を行います。
メスは5~6カ月の妊娠期間を終えて、1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは約半年で離乳します。
また、赤ちゃんは大人のような鼻の模様がありません。
これはレスラも同じです。
フクロウグエノンは、飼育下では平均27年生きます。
人間とレスラ
絶滅リスク・保全
レスラは、人間による森林破壊などの影響はあまり受けていないと言われていますが、肉目的の狩猟の影響は強く受けているようです。
個体数も減っているようで、研究者たちはレスラの状況は絶滅危惧Ⅱ類のそれに匹敵していることを示唆していますが、IUCNのレッドリストには未だに記載がありません。
動物園
そんなレスラですが、日本では見ることができません。
新たに見つかったレスラ。
いつの日か日本でも見ることができるようになるといいですね。