カニクイザルの基本情報
英名:Long-tailed macaque
学名:Macaca fascicularis
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:バングラデシュ, ブルネイ, カンボジア, インド, インドネシア, ラオス, マレーシア, ミャンマー, フィリピン, シンガポール, タイ, 東ティモール, ベトナム
保全状況:LC〈軽度懸念〉
なんでも食べます
カニクイザル、その名の通り、このサルはカニを強い歯と顎を使ってぼりぼり食べます。
下の動画でもカニを食べる様子を見ることがで切るのでご覧ください。
牙がすごいですね。
しかし、このサルはカニ以外にもいろいろなものを食べます。
果実をもっとも好み、採餌の時間の約9割は果実を食べます。
そのほかにも葉っぱや貝、魚、昆虫など何でも食べます。
いろいろなものを食べることができるということは、いろいろな環境で生きていけるということ。
このサルは、適応力が非常に高く、人が住むところにもわがもの顔で住みつきます。
適応力が高いだけでなく、彼らはどうやら学習能力も高いようです。
下のもう1つの動画では、インドネシア・バリ島の寺院に住みついたサルが観光客のものを奪い取り、それと引き換えにえさをもらう様子を観察できます。
ずる賢いというほかありません。
ちなみに、動画のバリ島にあるパダン・テガル村には、モンキー・フォレストという自然保護区があり、ここでカニクイザルは現地の人々に崇られています。
人々は、サルが悪霊から寺院を守ってくれると信じているため、カニクイザルはヒンドゥー教の聖なる寺院をうろつくことができるし、人に咬みついたり食べ物を奪ったりしてもあのようなふてぶてしい態度をとっていられるのです。
このサルの知能の高さは他にも見ることができます。
例えばカニクイザルは硬い貝殻や種子を石などでたたき割るなどの道具使用が観察されています。
また、食物を川で洗うといった文化的行動も確認されています。
ちなみに、私たちに近い存在であるニホンザルにもイモ洗いなどの行動をすることが知られています。
カニクイザルの生態
生息地
カニクイザルは、東南アジアのマングローブ林や沼沢林などに広く生息しています。
マカク属の中では最も樹上性が高いカニクイザルですが、行動範囲は人が住むようなところや、海の近くなどにも及びます。
形態
体長は40~50㎝、体重はオスが5~7㎏、メスが3~4㎏でオスの方が大きくなります。
このサルは、英名に“long-tailed(長いしっぽ)”とあるように、50~60㎝の長いしっぽを持っています。
またカニクイザルは、他のヒヒ族のサル同様、ほっぺたにほお袋という袋を持ち、そこに一時的に食料を溜めておくことができます。
行動
カニクイザルは約30頭から成る複雄複雌の群れを作ります。
カニクイザルの社会は母系社会で、メスが生まれた群れに一生留まる一方、オスは成長すると群れを離れ、オスだけの群れや他の群れに移ります。
そのため、オス同士よりメス同士の繋がりの方が強く、グルーミングもより多く見られます。
群れの中の序列はしっかりしていて、オスの場合、年齢や体の大きさ、強さによって序列は決まります。
順位は繁殖や食料に関係し、最も順位の高いオス(αオス)は、最も多く繁殖の機会を持ち、一番にいい食料を口にします。
繁殖
繁殖に関して、メスは発情すると性皮を腫脹させ、オスもメスも乱交的に交尾します。
メスは約160日の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
多くの出産が5月~7月の雨季にかけて行われます。
赤ちゃんは主に母親によって育てられ、生後約420日で離乳します。
性成熟にはメスが4歳、オスが6歳で達します。
メスの出産間隔は約400日、寿命は飼育下で25~40年です。
人間とカニクイザル
保全状況
カニクイザルは、絶滅の危機に関しては軽度懸念と高くないものの、自然界での数は減少しています。
このサルは実験用の霊長類として使用されてもいるため、捕獲の対象になっています。
この他、肉目的の狩猟や生息地の縮小が個体数減少の原因となっています。
動物園
そんなカニクイザルですが、愛知県犬山市の日本モンキーセンターで見ることができます。
ここには、カニクイザル以外にも、約60種類ものサルが飼育されているので、サル好きの人は是非訪れてみてください!