ミルンエドワーズシファカの基本情報
英名:Milne-Edward’s Sifaka
学名:Propithecus edwardsi
分類:インドリ科 シファカ属
生息地:マダガスカル
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
フォッサ
マダガスカルに棲むサルたちの一番の脅威はフォッサという生き物です。
このフォッサとはどんな生き物なのか、名前からは全く分かりませんが、とりあえずその姿を見てみましょう。
あれ、ネコみたいでかわいい。
厳密に言うとフォッサはマダガスカルマングース科の動物で、ネコよりもミーアキャットやマングースにより近縁です。
かわいくてもおかしくありません。
大きさはイエネコほどではありませんが、70㎝前後で肉食動物にしては小さい方です。
しかし、その小さくも筋肉質の体は、樹上での素早い移動を可能にしています。
フォッサは樹上で生活するキツネザルを食べるために進化してきた動物です。
そんなフォッサは、小さいけれどもマダガスカルでは最大の捕食者としてキツネザルたちの大きな脅威となっています。
ミルンエドワーズシファカもその大きな脅威にさらされているサルの1種です。
彼らの死亡率は高く、その1番の要因はフォッサによる捕食です。
幼児の死亡率は特に高く、ミルンエドワーズシファカの子どもは1歳になるまでにその半数が死んでしまうようです。
もちろんこの原因はフォッサだけではありませんが、フォッサがミルンエドワーズシファカにとって大きな敵であることは間違いありません。
ミルンエドワーズシファカの生態
生息地
ミルンエドワーズシファカは、マダガスカル東南部の熱帯雨林に生息します。
食性
主に果実を食べ、その他にも葉や種子、花などを食べます。
形態
体長は42~52㎝、体重は5~6㎏、しっぽの長さは41~48㎝で、体格上の性差はほとんどありません。
行動
ミルンエドワーズシファカは、通常1匹ずつのオスとメスと彼らの子どもから構成される群れを作ります。
この群れはおよそ3~9頭から成りますが、生息地の減少によりその数以上の個体が集まることもあるようです。
繁殖
ミルンエドワーズシファカの繁殖では、匂いが重要なポイントとなります。
オスが持つ臭腺から出される匂いはメスの発情を促すようです。
この匂いは、木の枝や自分の体、メスの体に塗り付けられます。
また、オスはメスの陰部をにおうことで、繁殖の準備ができているか確認します。
こうして見事繁殖が成功すれば、6カ月の妊娠期間ののち、6~7月の間に1~2匹の赤ちゃんが生まれます。
メスは1年に1度出産し、死ぬまで繁殖することができるようです。
ミルンエドワーズシファカは非常に長生きで、30年以上生きるものもいます。
通算で一体どれだけの赤ちゃんを産むのでしょうかね。
人間とミルンエドワーズシファカ
絶滅リスク・保全
ミルンエドワーズシファカは、焼畑農業や森林伐採により住みかを奪われ個体数を減らしています。
人間による狩猟も個体数減少に影響しているようで、レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。
具体的な数は分かりませんが、もしかしたら彼らにとって、フォッサよりも我々人間の方が大きな敵なのかもしれません。
動物園
そんなミルンエドワーズシファカですが、残念ながら日本の動物園で会うことができません。
ちなみに、フォッサには上野動物園でのみ見ることができます。
ミルンエドワーズシファカの捕食者の顔を実際に拝みたい方は是非赴いてみてください。