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『新しいチンパンジー学 私たちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』

2026 3/24
参考書籍
2026年3月24日
新しいチンパンジー学 わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか? /青土社/クレイグ・スタンフォード
目次

書籍情報

書名:新しいチンパンジー学 私たちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?
著者:クレイグ・スタンフォード
訳者:的場知之
発行年:2019年
価格:2,600円(+税)
ページ数:390ページ

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豊富な研究結果

著者は、アフリカやアジアで20年以上フィールド研究を行ってきた、霊長類学、自然人類学を専門とする、クレイグ・スタンフォード南カリフォルニア大学教授。

そんな霊長類の専門家がここ20年のチンパンジーに関する新しい研究を紹介しているのが本書です。

副題にあるように、私たちの「隣人」であるチンパンジーについて今どれほどのことが分かっているのか、チンパンジーの社会構造、暴力性、繁殖、文化、狩りなど、様々な興味深い項目を通して、それが分かる本になっていると思います。

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チンパンジー https://youtu.be/U6u3DCC-szA チンパンジーの基本情報 英名:Chimpanzee学名:Pan troglodytes分類:ヒト科 チンパンジー属生息地:アンゴラ, ブルンジ, カメルーン, ...

チンパンジーのフィールド研究は約60年という長い歴史を持っています。

しかし、当初ありえないと考えられていたことが研究技術・方法の発展により証明されたり、それまで信じられていたことが覆されたりと、その歴史はダイナミックです。

本書は、最新の研究結果を紹介するだけでなく過去の研究にも適宜触れることで、その歴史のダイナミズムを知る一助となるものでもあると思います。

本書の狙いについて、著者はこう語っています。

わたしの願いは、本書を通じて、読者のみなさんにチンパンジーの本当の姿を理解していただくことだ。……。チンパンジーは、わたしたちに自分自身を見つめるユニークな視点を授けてくれる。けれども、チンパンジーの野生生息地が破壊され、絶滅に向かうなかで、その贈り物も失われかねない危機にある。……。チンパンジーがもし野生生息地からいなくなったら、わたしたちはどれだけのものを失うのか。それは本書を読んでいただければ分かるはずだ。(頁15)

本書は、単なる研究結果の寄せ集めではなく、それらを通してチンパンジーが私たちにとってどのような存在であるのかを考えさせる、そんな本だと言えるでしょう。

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いまだ謎の存在

本書を読んでいると、様々な研究がなされているのにもかかわらず、チンパンジーはいまだに謎の多い生き物であることが分かります。

この場合の謎の多いとは、チンパンジー一般に言えることが少ないという意味です。

その理由について、著者はこう述べます。

チンパンジーは、おそらくどんなヒト以外の動物よりも、個性が強い。生涯にわたり支配の確立のために闘う政治的なオスもいれば、地位に無関心なオスもいる。愛情深く甲斐甲斐しい母親もいれば、のんきで適性の欠けた母親もいる。こうした個性の違いが、個体群レベルの差異につながることもある。だからこそチンパンジーは途方もなく面白いのだが、同時に一般化が難しい。(頁234)

つまり、チンパンジーは人間のように多様な個性を持ち合わせているために、彼らに共通するものを見つけ出す、言い表すことは難しいというのです。

その一方で、著者はそうであるからこそチンパンジーは面白いと言います。

確かに、みんながみんな法則に従って動く生き物より、人間やチンパンジーのようにそれぞれが個性を持ち、時に法則や想像から外れた行動をする生き物の方が興味深いです。

この集団はこんなことをするのに、なぜこっちの集団はしないのか、このような謎が尽きないのがチンパンジーの面白い所なのでしょう。

本書には、著者の言うようなチンパンジーの面白さがたくさん詰まっています。

本書を読むことで、彼がなぜチンパンジーは面白いと言っているのかきっと分かることでしょう。

チンパンジーの何が面白いのだろう、そう思っている皆さん。

是非手に取って読んでみて下さい。

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