キタブタオザル

キタブタオザル
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キタブタオザルの基本情報

キタブタオザル


英名:Northern Pig-tailed Macaque
学名:Macaca leonina
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:バングラデシュ, カンボジア, 中国, ラオス, ミャンマー, タイ, ベトナム
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

キタブタオザル

Photo credit: Rushen

人間の敵?それとも味方?

その名の通り、豚のようなほとんど毛のないしっぽを持つキタブタオザル

このサルは地上性が非常に高く、行動域は300ha(3㎢)以上と広いです。

ここまで地上性が高く行動域も広いと、生息地が縮小すれば人間の農耕地を荒らすことがあるというのも当然のように感じられます。

現地では害獣視されることも少なくないようです。

 

これだけ聞くと、キタブタオザルは人間の敵のように思えてしまうかもしれませんが、あながちそうでもありません。

まず、キタブタオザルは、実験動物としてウイルス学などの医学生物学研究に貢献してきました

人類の発展には、キタブタオザルのような存在が沢山いることを忘れてはなりません。

 

また、害獣視される一方で、タイなどでは、キタブタオザルはヤシの実を取るサルとして活躍しているようです。

多い時には1日1,000個もの実を収穫し、人間よりも効率的だと言われています。

キタブタオザルを調教するために、学校もあるというので驚きです。

 

ブタオザルが人間の敵になるのも、そもそもは人間が彼らの住処を奪っているからです。

そうしなければ、私たちは仲良く共存できる関係にあるのではないでしょうか。

キタブタオザル

Photo credit: Swapnil Borah

キタブタオザルの生態

生息地

キタブタオザルは、インドシナ半島からインド北東部にかけて低地性の広葉樹林などに生息します。

 

先ほども説明したように、このサルは地上性が比較的強いです。

もちろん通常は樹上で生活し、眠る時も樹上です。

しかし敵から逃げるときは木を伝ってではなく、地上を走って逃げるようです

 

食性

昼行性で、主に果実を食べます。

その他には昆虫なども食べます。

 

形態

体長は50~60㎝、体重はオスが6~15㎏、メスが5~11㎏、しっぽの長さは15~25㎝、犬歯の長さはオスが1.2㎝、メスが7㎝と、性的二型が顕著です

このようにがっしりとした体格のおかげで何百個ものヤシの実を簡単に取れるのですね。

 

行動

キタブタオザルは、15~40頭から成る複雄複雌の群れを作ります。

オスメスそれぞれに順位があり、オスはメスよりも優位にあります。

しかし、特に採食時、メスが団結して順位の低いオスと食物を奪い合うことがあるようです。

群れに争いはつきものですが、仲直りの仕方はオスメスで違います。

メスでは優位のメスが劣位のメスにマウンティングするのに対し、オスはその逆で優位のオスは寛容さを見せるべく劣位のオスにマウンティングさせます。

 

繁殖

キタブタオザルは一年中繁殖を行います。

メスの月経周期は30~35日で、発情時には性皮がパンパンに膨れ上がります

妊娠期間は160~180日で、通常1匹の赤ちゃんが生まれます。

赤ちゃんは主に母親によって育てられ、約1年で離乳します。

性成熟にはメスが3~3.5歳、オスが4~4.5歳で達し、オスは5~6歳で群れを離れます

出産間隔は1~2年、寿命は約30年です。

キタブタオザルに会える動物園

キタブタオザルは、その生息地の広さにもかかわらず、ダムや道路の建設などのための森林破壊や、薬、肉、骨、ペット目的の狩猟などにより個体数を減らしています

レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、更なる個体数の減少が懸念されています。

 

そんなキタブタオザルですが、残念ながら日本で会うことはできないようです

しかし、かつて同じく「ブタオザル」とひとくくりにされていたミナミブタオザルには、日本モンキーセンターとべ動物園などで会うことができるようです。

ブタオザルならどっちでもいいやという方は、これらの動物園に行ってみてください。

 

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