フィリピンメガネザルの基本情報
英名:Philippine Tarsier
学名:Carlito syrichta
分類:メガネザル科 フィリピンメガネザル属
生息地:フィリピン
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉
特異なサル
メガネザルはサルの中でも特異です。
なぜなら、彼らはキツネザルやロリスなどの原猿類であり、我々人間と同じ直鼻類であるからです。
分類学では彼らはどのように分類するべきか議論が続いていますが、近年では真猿により近いということで、原猿亜目、真猿亜目と分けメガネザルを原猿亜目に分類するのではなく、曲鼻亜目、直鼻亜目と分け直鼻亜目をキツネザル下目と真猿下目に分類するというのが主流になっているようです。
よく分からない方はこのサイトの分類表を見てみてください。
参考になるかと思います。
メガネザルが特異であることは、見た目の上でも明らかです。
特に大きな目は彼らの一番の特徴です。
体に対する目の割合は、このメガネザルがサル界一です。
ほかにも、大きな耳やパッド上の指、毛づくろいのためのかぎ爪など、メガネザルには特徴がいくつもあります。
また、彼らは直鼻類の中では珍しい夜行性です。
しかし、原猿類のように目にタペータムを持たず、人間も持つ中心窩(ちゅうしんか)を発達させることで暗闇の中でも行動できます。
さらに、原猿ほど嗅覚は発達していませんが、尿などのにおいによるコミュニケーションを行うことで知られています。
メガネザルは個性が非常に強いサルなんですね。
フィリピンメガネザルの生態
生息地
フィリピンメガネザルは、フィリピン南東部の島嶼の沿岸林や低地林に生息します。
樹上性が強く、地上から2m以下の高さを好んでいるようです。
食性
夜行性で、昆虫やカエル、トカゲ、魚、エビなどを食べる肉食です。
形態
体長は8~16㎝、体重は85~165g、しっぽの長さは25㎝になります。
他のメガネザルはしっぽに房毛が生えていますが、フィリピンメガネザルのしっぽにはほとんど毛が生えていません。
行動
フィリピンメガネザルはつがいで観察されることが多く、4匹程度で行動することもあるようです。
繁殖
フィリピンメガネザルの繁殖に季節性は見られず、メスは年に2度繁殖することができます。
約半年もの長い間、母親のおなかで過ごした赤ちゃんは、生後2日で物につかまることができ、生後4日ではジャンプできるようになるそうです。
生後45日には離乳し、自分で虫を捕まえるようになると言われています。
寿命は飼育下では約15年です。
人間とフィリピンメガネザル
絶滅リスク・保全
フィリピンメガネザルは、高い幼児死亡率、肉食、比較的限られた生息地、人間による森林の破壊などの要素が影響し合い、個体数を減らし続けています。
その結果、レッドリストでは準絶滅危惧に指定されています。
動物園
そんなフィリピンメガネザルですが、残念ながら日本の動物園では会ことができません。
しかし近縁のスラウェシメガネザルには、日本では上野動物園でのみ会うことができるので、お近くにお住まいの方や東京観光に来られた方は、是非訪れてみてください。