バナナリスの基本情報
英名:Plantain Squirrel
学名:Callosciurus notatus
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 タイワンリス属
生息地:ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
バナナだけじゃない
体の側面の模様が特徴的なバナナリス。
彼らの英名は“Plantain Squirrel”。Plantainとは調理用のバナナのことで、我々が食べているバナナよりも硬く、甘くもありません。
そのため、焼いたり揚げたり蒸したりして食べます。
この英名を和訳してバナナリスということになるわけですが、彼らはなぜバナナリスと呼ばれるのでしょうか。
バナナリスがそう呼ばれるのは、バナナのプランテーションに生息したり、バナナを食べたりするからです。
ただ、彼らは特別バナナにこだわるわけではありません。
バナナリスは非常に適応力のある樹上性リスで、バナナのプランテーションだけでなく、熱帯雨林やマングローブ林、一次林、二次林、オイルパームのプランテーションなどの他、人里や公園にすら生息することができます。
食べるものも多様で、果実や樹皮、花、種子といったリスのイメージに沿うエサの他、昆虫やゴムの樹液も食べます。
これほど多様な環境に生息し、多様な食べ物を食べるのに、なぜバナナだけがピックアップされたのかは謎です。
ポンデローサマツという松の木にほとんど依存するアーベルトリスがポンデローサリスと呼ばれていないように、リス科にはなぜその名前なのかわからないものがバナナリスの他にもいます。

さて、これだけ多様な環境に生息するので、バナナリスにはさまざまな捕食者がいます。
地上には哺乳類、樹上にはヘビ類、空からは猛禽類が彼らを狙います。
このような状況に対し、バナナリスは対抗手段を持ちます。
カギとなるのが音声です。
見通しの悪い樹上では、障害物の影響を受けにくい音声が役立ちます。
例えば、地上に捕食者がいた場合、彼らは鳴きながらしっぽを振り、それを聞いた他のリスは静かに木を駆け上がります。
空に捕食者を見つけた場合は、柔らかに鳴き、相手が接近してきたら激しく鳴きます。
これを聞いた他のリスはまずは静かに、そして捕食者の接近に同じく激しく鳴きます。
ヘビ類の場合もやはり鳴きますが、この音声を聞いた他のリスはヘビがいる場に集まり、複数でヘビを攻撃するような行動を見せます。
これはモビングと呼ばれ、その理由はよくわかっていません。
音声は対捕食者にだけ使われるわけではありません。
例えば繁殖では、オスが発情メスに言い寄るときにも音声が使われますし、交尾が終わった後、オスは数分間鳴き続けることが知られています。
バナナリスは主に単独で生活しますが、音声によるコミュニケーションを発達させてきました。
喋らない方が生存において不利ということなのでしょうか。

バナナリスの生態
生息地
標高1,500mまでの一次林や二次林から沼沢林やマングローブ林、プランテーション、公園などに生息します。
スラウェシ島南部のスラヤール島の個体群はおそらく導入個体群と考えられています。
形態
体長は15~23㎝、体重は160~260g、尾長は14~22㎝で体サイズに性差はありません。
他のリス同様、門歯は一生生え続け、犬歯は存在しません。
食性
果実や種子、花、根、樹皮、樹液、昆虫など様々なものを食べます。
行動・社会
昼行性で樹上性の彼らは、樹高6~10mのところでよく見られます。
主に単独性ですが、エサが豊富なところでは複数で見られることもあります。
行動圏についてオスはオスやメスと重複しますが、メス同士では重複が見られません。
繁殖期になるとオスはメスの行動圏に侵入します。
5~7匹のオスが1匹の発情メスに言い寄り、通常2~4匹のオスがメスと交尾できるようです。
繁殖
繁殖は年中見られますが、妊娠メスがよく見られるのは4月から6月にかけて、あまり見られないのは10月から12月の間です。
メスは約40日の妊娠期間の後、1~4匹の赤ちゃんを枝や葉で作った樹上の巣に産みます。
赤ちゃんは16gほどで、目は閉じ、無毛で生まれます。
生後6週ごろに離乳し、その後独立していきます。
寿命は飼育下で長いと10年ほどです。

人間とバナナリス
絶滅リスク・保全
分布域も広く、個体数は増加傾向にあるとされるバナナリスの絶滅は心配されておらず、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
特にスマトラ島のサバやサラワク、マレー半島南部では、プランテーションの作物を食べるということで害獣扱いされることもあります。
Plantain Squirrel | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でバナナリスを見ることはできません。


