アカハラキツネザルの基本情報
英名:Red-bellied Lemur
学名:Eulemur rubriventer
分類:キツネザル科 キツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉
メス蔑視
今回は名前に注目してみましょう。
アカハラキツネザルの名前の由来は、まさに赤い毛が生えたおなかです。
しかしよく見ると、確かにオスは名前の通り赤い毛が生えたおなかをしているのですが、メスを見てみるとなんと白い毛のおなかをしています。
つまりメスは自分の名前の意味するものから漏れてしまっているのです。
人間はなんと非情なのでしょう。
しかし、そんなことをされてもアカハラキツネザルのメスはお構いありません。
群れの中ではオスより優位に立ち、リーダーとしてオスや家族をえさ場に連れていきます。
アカハラキツネザルは、複数のオスとメスから成る群れを作る他のキツネザル属のサルとは違い、オスメス1匹ずつの小さな家族群を形成しますが、群れの様相はかかあ天下、そしてメスは肝っ玉母ちゃんです。
アカハラキツネザルに名前を付けた人は注目する性別を間違えたようですね。
アカハラキツネザルの生態
生息地
アカハラキツネザルは、マダガスカル東部の熱帯雨林に生息します。
食性
昼行性で、果実や花、樹脂、昆虫などを食べます。
形態
アカハラキツネザルは、体長は35~40㎝、体重は2~3㎏、しっぽの長さは45~55㎝と、ネコほどの比較的小さいキツネザルです。
先ほどオスとメスの違いに、おなかの毛の色があることを説明しましたが、もうひとつわかりやすい違いがあります。
それが、目頭あたりの色です。
ここのあたりが白いのがオスで、あまり白くないのがメスです。
アカハラキツネザルを見る機会がある時は、是非自分でオスメスの区別をつけてみてください。
ちなみにすぐ上の写真がオスで下の写真がメスになります。
行動
アカハラキツネザルは、群れが小さく家族が視界の悪い森の中で離れ離れになることがないゆえに、音声によるコミュニケーションはそこまで日常的ではないようです。
その代わりに、くし歯を使ったグルーミング、ボディータッチや表情によるコミュニケーションをよく行います。
また、他のキツネザルと同様に匂いも重要で、臭腺から出る臭いを使ってなわばりをアピールするなどします。
繁殖
アカハラキツネザルの繁殖には季節性が見られ、交尾は5月~6月にかけて行われます。
メスは約130日の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんが生後2週間を過ぎると母親だけでなく父親も育児に参加するようになります。
赤ちゃんは生後約6ヶ月で離乳し、約2年で性成熟に達します。
出産間隔は約1年、寿命は20~25年です。
人間とアカハラキツネザル
絶滅リスク・保全
アカハラキツネザルは、住みかである森林の破壊や狩猟により個体数を減少させており、レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
マダガスカルに生息するサルの内、なんと9割近くが絶滅の危機に瀕しています。
このサルもその中の一種であり、守っていかなければならないサルです。
動物園
そんなアカハラキツネザルですが、日本で会うことができません。
せっかくオスとメスの違いがよく分かり、観察しがいがあるサルなのですが、残念です。