オオミミカコミスル

オオミミカコミスル
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オオミミカコミスルの基本情報

オオミミカコミスル


英名:Ringtail
学名:Bassariscus astutus
分類:アライグマ科 カコミスル属
生息地:アメリカ合衆国, メキシコ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

オオミミカコミスル

Photo credit: Jerry Kirkhart

リングテイル

オオミミカコミスルの学名“Bassariscus astutus”は、「ずるがしこい小さなキツネ」を意味します。

また、オオミミカコミスルは、アメリカの西部開拓期に、探鉱者のキャンプでネズミ捕りとして飼われており、それゆえ“miner’s cat(探鉱者のネコ)”と呼ばれていました

 

さて、ここで彼らの顔をよく見てみると、確かにピンと立った耳はキツネにも似ているし、ネコにも似ています。

しかし実は、オオミミカコミスルはアライグマのなかまです。

オオミミカコミスルはアライグマ科 カコミスル属に分類される肉食獣。

現在カコミスル属には本種とクロアシカコミスルの2種が分類されています。

なお、カコミスルという言葉は現在のメキシコの位置にあったアステカの言語に由来しているようです。

 

オオミミカコミスルの特徴と言ったら何と言っても縞模様のしっぽです。

体の大きさほどもあるしっぽには黒い輪っかが14~16あり、名前のオオミミ(大耳)よりも明らかに目立っています。

ワオカコミスルの方が適当です。

実際、英名の“Ringtail”はまさしくこのしっぽを言い表しています。

 

ところで、ワオと聞くとあのおサルさんを思い出してしまいます。

そう、動物園によくいるワオキツネザルです。

彼らもオオミミカコミスルと同じような輪っかのあるしっぽを持っています。

ワオキツネザルはマダガスカルに生息しており、オオミミカコミスルの生息地とは遠く離れています。

にもかかわらず、両者は同じようなしっぽを持っています。

系統的にも離れた彼らがなぜ似たようなしっぽを持っているのか。

非常に興味深いですね。

オオミミカコミスル

Photo credit: Robertbody

オオミミカコミスルの生態

オオミミカコミスルは、アメリカ合衆国メキシコに広く分布します。

人が住むところなど標高2900mまでの様々な環境に生息しますが、特に乾燥林を好みます。

 

雑食性で、リスやネズミ、ウサギなどの小型哺乳類鳥類爬虫類昆虫類果実などを食べます。

一方、彼らを食べる捕食者にはキツネコヨーテボブキャット猛禽類などがいます。

 

体長は30~42㎝、肩高は約16㎝、体重は0.7~1.5㎏、しっぽの長さは31~44㎝です。

他のアライグマ科の動物同じく、彼らは蹠行性(ショコウセイ)で、足の裏を完全に付けて歩きます。

木や崖を登るのが得意で、後足は180度左右に動かすことができます。

また、アライグマのなかまでは例外的に爪を出し入れすることができます(完全ではない)

 

オオミミカコミスルは主に夜行性で、単独性です。

行動圏は最大140haで、オスの方がメスよりも大きく、オスの行動圏は複数のメスと重複することもあります。

境界は糞尿でマーキングされます。

コミュニケーションは糞尿のにおいによるものの他、音声やペア間、親子間のグルーミングによるものが見られます。

 

繁殖には季節性があり、交尾は2月~5月にかけて行われます。

妊娠期間は51~54日で、一度の出産で1~5頭、通常3頭の赤ちゃんが産まれます。

生まれたばかりの赤ちゃんは25gで、目は見えていません。

生後1カ月で目は開き、固形物を食べ始めるようになります。

生後10週で離乳し、それまでに母親についてエサを探し始めます。

性成熟には生後10カ月で達します。

育児は主に母親の役割ですが、父親もこどもと遊ぶことがあるようです。

寿命は野生下で約7年、飼育下で16年の記録があります。

オオミミカコミスルに会える動物園

オオミミカコミスルは、これまで毛皮目的の狩猟の対象となってきました。

例えばテキサス州では、1979年~1985年にかけて、毎年4.5万~5万頭が捕獲されていました。

ただ、オオミミカコミスルの毛皮は質が低く、5ドル以下でしか売れないようで、1979年に13万5千の毛皮が取引されて以降、捕獲数、取引数は減少しているようです。

この他、道路での交通事故などが彼らの脅威となっていますが、具体的な個体数や増減は分かっていません。

レッドリストでは、その分布域の広さから、絶滅に関して軽度懸念の種とされています。

 

そんなオオミミカコミスルですが、残念ながら日本では会うことができません

ワオキツネザルのしっぽで我慢しするしかなさそうです。

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