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スナネコ

スナネコ
©2014 zoofanatic: clipped from the original
目次

スナネコの基本情報

英名:Sand Cat
学名:Felis margarita
分類:ネコ科 ネコ属
生息地:アルジェリア, チャド, エジプト, イラン, イラク, ヨルダン, カザフスタン, クウェート, マリ, モーリタニア, ニジェール, オマーン, サウジアラビア, スーダン, シリア, トルクメニスタン, アラブ首長国連邦, ウズベキスタン, 西サハラ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

スナネコ
Photo credit: Becker1999

砂漠のスペシャリスト

スナネコは、名前からも分かるように、ネコ科動物の中では最も砂漠での生活に適した体をしています

砂漠に棲む他のネコ科動物、マヌルネコクロアシネコよりも、です。

まずは足。

足の裏には指の間から長い毛がびっしりと生えています。

これは肉球に砂がめり込むのを防ぎ、クッションの役割を果たしています。

そのため、ネコのあの足跡はほとんど残りません。

長い毛はそれと同時に、熱い砂から足を守ってもいます。

次に体をびっしり覆った毛。

砂漠は、日中は非常に暑いですが、夜は主に放射冷却により急激に温度が下がります。

体を覆う密な毛は、夜に活動するスナネコを砂漠の寒さから守ります。

また、毛色は砂漠で保護色となり、日中ヘビやジャッカルなどの捕食者から身を隠します。

最後に耳。

まず、耳の穴は長い毛によってふさがれ、砂が入り込むのを防止しています

そして離れて付いたその耳はとても大きいです。

大きいのは耳だけでなく、この奥の中耳腔(鼓膜の奥の空洞部分)も大きく、イエネコの2倍ほどもあります。

これらの特徴により、スナネコの聴覚は極めて精確なものとなっており、500m以上も離れたところの音をよく聞き取ることができるようです。

想像の通り、砂漠にはえさとなる生物が非常に少ないです。

その少ないえさを求めてスナネコは夜通し歩き回りますが、敏感な聴覚はこの時非常に有用です。

砂漠には音を遮るものがないというのも、スナネコが聴覚を発達させた理由でしょう。

このように、砂漠生活に非常に適した体を持つ、スナネコですが、その生態も当然砂漠に適応しています。

次章で見ていきましょう。

スナネコ
Photo credit: kellinahandbasket

スナネコの生態

生息地

スナネコは、北アフリカから中央アジアにかけて、砂砂漠岩石砂漠などに生息しています。

食性

スナネコは肉食で、げっ歯類鳥類爬虫類昆虫を食べます。

鋭敏な聴覚で獲物を察知し、砂の中にいれば掘って採食します。

また、彼らはこれらの食物から水分を摂取するので、水を飲まなくても生きていけます。

ちなみに、穴を掘ってえさを捕らえたり、巣穴を作ったりする様子から、スナネコはサハラの遊牧民に「穴掘りネコ」と呼ばれているそうです。

形態

体長は45~57㎝、体重はオスが2.1~3.4㎏、メスが1.4~3.1㎏、しっぽの長さは25~35㎝と、オスの方がやや大きくなります

行動

スナネコは夜行性で、単独で行動します

日中は岩陰や巣穴の中で過ごし、夜になり気温が下がるとえさを求めて歩き回ります。

行動域は生息環境によりますが、おおよそ20㎢で、一晩に5~10㎞もの距離を歩きます。

オスとメスの行動域は大幅に重複しており、オス同士は大きくて低い声で互いを牽制します。

スナネコの移動は独特で、腹を地面すれすれの所に保ちながら素早く走ります(下の動画をご覧ください)。

短距離では時速30km~40kmものスピードで走ることもできるようです。

一方、木登りやジャンプは得意ではありません。

繁殖

スナネコの繁殖には、地域にはよるものの季節性があるようです。

例えば、トルクメニスタンでは4月、パキスタンでは9月~10月にかけて繁殖が行われます。

交尾期には、オスもメスも低周波の吠え声で互いを探します。

スナネコの敏感な耳はここでも役に立ちます。出産は年に1~2度行われます。

メスの妊娠期間は59~63日で、2~8頭の赤ちゃん(通常は4頭)を産みます。

赤ちゃんはわずか40gで、生後約2週で目を開きます。

彼らが独立するのは生後半年ほどで、約1歳になるころには性成熟に達します。

寿命は飼育下で13~14年です。

人間とスナネコ

絶滅リスク・保全

スナネコは、人間活動による(戦争、核実験なども含む)生息地の破壊や、イエネコ、イエイヌとの食料における競合、ペット目的の捕獲など様々な脅威に面しています。

これらのことから、レッドリストではかつて準絶滅危惧種(NT)に指定されていましたが、その評価に実質的に必要な3世代に渡る個体数の大きな減少を示す説得力のあるデータがないことから、今では軽度懸念(LC)に格下げされています。

スナネコは生息密度が小さく、見つけにくいので個体数の増減を調べるのは非常に難しいと思われます。

IUCN Red List of Threatened Spec...
The IUCN Red List of Threatened Species Established in 1964, the IUCN Red List of Threatened Species has evolved to become the world’s most comprehensive information source on the global conservation ...

動物園

そんなスナネコは、飼育が非常に難しく、世界的に見ても彼らを飼育する場所は少ないです

そんな中、2020年3月20日、姉妹園である栃木県の那須どうぶつ王国と兵庫県の神戸どうぶつ王国が、このスナネコを同時公開しました。

そのかわいさから早くも園の人気者となっているようです。

もちろん、日本でスナネコを見られるのはこの2園だけです。

癒されたい方、是非訪れてみてください。

https://www.nasu-oukoku.com/news/2020/12/post-526.html
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