サーバル

サーバル©2017 zoofanatic: clipped from the original
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サーバルの基本情報

サーバル


英名:Serval
学名:Leptailurus serval
分類:ネコ科 サーバル属
生息地:アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ジブチ、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、リベリア、マラウィ、マリ、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、スーダン、タンザニア、チュニジア、トーゴ、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

サーバル@Photo credit: Peter Taylor

Photo credit: Peter Taylor

特殊化したネコ

近年のDNA研究により、カラカルとアフリカゴールデンキャットと共に、カラカル系統のネコであることが分かったサーバル。

その容姿を見ると、小さい顔にすらりとした長い脚で、まるでモデルのようです。

この脚の体に対する長さはネコ科動物の中では一番で、肩の高さは60㎝にもなります。

もう一つの特徴であるサーバルの大きな耳は、これまた体の大きさに比べるとネコ科動物で最も大きく、高い位置で音を集め、主食である小型哺乳類の音を逃しません

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カラカル web肉食動物図鑑 | 生き物.com 高いジャンプ力を持つカラカルは、その能力のためにインド貴族の娯楽に利用されてきた歴史を持ちます。
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アジアゴールデンキャット web肉食動物図鑑 | 生き物.com 最近の科学の発展により、今まで闇に包まれてきた彼らの生態も徐々に分かってきています。

 

このような特徴的な容姿のサーバルですが、その習性も他のネコ科動物にはないユニークさを発揮しています。

彼らの狩りに注目してみましょう。

サーバルは、耳を動かしながら音を集め、獲物を探します。

獲物を見つけると慎重に獲物に近づき、次の瞬間、後肢でジャンプして空中に飛びあがります

そして体をアーチ形に曲げて、前肢で獲物を捕らえます。

まるでキツネのようです。

彼らは、高さ2m以上、距離3m以上もジャンプすることができるので、ジャンプの瞬間は丈の高い草の上に姿を現すことになります。

このジャンプ力のおかげで、彼らは飛び立つ鳥類を捕らえることもできます。

 

さらに、サーバルはネコ科動物では珍しく、獲物を掘って捕らえることもあります

大きな耳で地中の獲物の存在を捕らえ、前肢で穴を掘り引きずりだすのです。

狩りの仕方だけでいえば、サーバルはイヌ科動物のようです。

 

一方、サーバルはネコっぽさがある狩りをすることもあります。

例えば、彼らがよく食べるヘビを狩る時、サーバルはいわゆる猫パンチを使います

彼らの長い前肢から繰り出されるパンチはさぞ強力であることでしょう。

ヒットすればヘビは数発でKOされるようです。

 

このように独特な狩りをするサーバルですが、その成功率は50%を超えることもあります。

彼らの特殊さは、彼らの繁栄を支えているのです。

サーバル@Photo credit: Martinus Scriblerus

Photo credit: Martinus Scriblerus

サーバルの生態

生息地

サーバルは、サハラ砂漠以南からアフリカ南部にかけて、標高3,800mまでの水場の豊富なサバンナ草原に生息します。

熱帯雨林や砂漠には生息しておらず、また、かつての生息地の北部、西部、南部では一部で姿を消しています。

 

生息地

サーバルは、齧歯類など、体重200gまでの小型哺乳類を主食としています。

その他には、鳥類や小型の有蹄類(ゆうているい)、昆虫カエルトカゲヘビなども食べます。

サーバルは年間に4,000頭の齧歯類、260匹のヘビ、130羽の鳥類を食べていると言われています。

一方、サーバルの天敵にはヒョウライオンワニがいます。

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ヒョウ web肉食動物図鑑 | 生き物.com 最も繁栄しているネコ科動物であるヒョウですら、人間によりその繁栄を阻まれています。

 

形態

体長は60~100㎝、体重はオスが8~18㎏、メスが6~13㎏、尾長は20~40㎝で、オスの方が大きくなります

黄褐色に映える黒い斑点が特徴的ですが、斑点が非常に小さいものや、淡い地色のもの、メラニズムなど、形態にはバリエーションが見られます。

 

行動

サーバルは単独性で、早朝と夕暮れに狩りを行います。

夜にも活動することがあり、特に人からの迫害がある地域では、サーバルは夜行性になります。

10~30㎢の行動圏を持ち、これは異性間で重複しています。

サーバルは縄張り意識は強いものの、攻撃的な対立はあまり見られないようです。

糞や尿をしたり、臭腺のある顔を地面や木にこすりつけたり、地面をひっかいたりすることでなわばりをアピールします。

 

繁殖

サーバルは年中繁殖しますが、出産のピークは齧歯類が豊富な雨季前後に見られます。

メスは年に1~2回発情し、その期間はにおいづけの頻度が増えます。

発情は1~4日間続き、この時オスと共にいる時間ができることになります。

妊娠期間は65~75日で、250gの赤ちゃんが一度に2~3頭生まれます。

育児はもっぱら母親の役割で、赤ちゃんは茂みや岩陰に作られた巣や、他の動物が掘った巣穴で育てられます。

赤ちゃんは生後9~13日で目を開き、1か月で離乳が始まります。

それ以降、母親は巣に獲物を持ち帰るようになります。

生後5カ月までには完全に離乳し、永久歯が生えそろう生後6カ月ごろから自ら狩りをするようになります。

約1歳で母親の下を離れて自分のなわばりを持ち始め、生後18~24カ月で性成熟に達します。

寿命は野生下で約10年、飼育下では約20年になります。

サーバルに会える動物園

サーバルは、100㎢に6~10頭いるのが一般的で、生息密度は小さくありません。

それに加え、生息範囲が広いことからも、レッドリストでは絶滅に関して軽度懸念とされています。

しかし、彼らはいくつかの潜在的な脅威に直面しています。

例えば、野焼きや過放牧は彼らの生息地を奪います

また、毛皮、薬や呪物、食物としての肉を目的とした狩猟は、今でも続いています

また、家禽を襲うことはほとんどないにもかかわらず、害獣として迫害の対象となることもあります。

現在、サーバルの個体数は安定しているものの、今後の動向次第では絶滅を懸念する事態になることもあるかもしれません。

 

そんなサーバルですが、日本の動物園でも見ることができます

北海道の円山動物園、東京の多摩動物公園、愛知県の東山動物園、和歌山県のアドベンチャーワールド、広島県の福山市立動物園、愛媛県のとべ動物園などが、サーバルを飼育しています。

もしかしたら彼らのユニークな習性を見ることができるかもしれないので、是非これらの動物園に足を運んでみてください。






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