書籍情報
書名:世界で一番美しいサルの図鑑
編者:京都大学霊長類研究所
発行年:2017年
価格:2,800円(+税)
ページ数:223ページ
京都大学霊長類研究所
京都大学霊長類研究所は、世界でも超有名な霊長類の研究所です。
1967年に創設され、研究所は愛知県犬山市にあり、日本モンキーセンターに隣接しています。
所内では13種約1200個体ものサルが飼育されており、研究に用いられています。
では、ここで行われている霊長類の研究とは何か。
この図鑑の223頁を引用します。
現在、霊長類研究所は「ヒトとは何か」あるいは「ヒトはどこから来て、どこに向かうのか」という、われわれ人類にとって不滅の課題を総合的に研究する国内唯一の研究所として、「くらし・からだ・こころ・ゲノム」のさまざまな専門領域からアプローチする独自の体制で研究教育活動を展開している。
ようするに、この図鑑はサルのプロフェッショナルによって作られたものであるということです。はい。
世界一美しいビジュアル
『世界で一番美しいサルの図鑑』は、名前にあるようにサルだけを紹介する図鑑です。
この図鑑ではおよそ130種ものサルが紹介されています。
現在、約450種サルがいると言われている中、この図鑑を読むだけでその4分の1以上を知ることができます。
さて、この図鑑に付けられた、「世界で一番美しい」という言葉は伊達ではありません。
サルたちは写真付きで紹介されるのですが、その写真がなんと1ページをほとんど占めてし
まいます。
1ページに何種類もの生き物が載せられている通常の図鑑と比べると、ページがとてつもなく贅沢に使われています。
そんなページの中のサルたちはどれも自然な表情をしています。
ひょっこり顔を覗かせるサル、えさをもぐもぐ食べているサル、赤ちゃんを抱っこしているサル、いろいろなサルがこれ以上はないほど美しく撮られています。
もちろん写真は非常に鮮明で、毛の一本一本、瞳に映る景色を捉えることができるほどです。
もはや写真だけでも十分に満足できそうです。
まさに「世界で一番美しい」図鑑です。
世界一詳しい解説
この図鑑が素晴らしいのは、ビジュアルだけではありません。
解説も非常に充実しており、図鑑をより優れたものにしています。
生息地や、どのような森林にすむかなどの生息環境、食性、保全状況はもちろんのこと、そのサルの特徴的な生態など、そのサルについてかなり詳しく知ることができます。
解説は1ページ割かれることもあり、文字数でいえば1,000字近くにまでなります。
これほどの解説がある図鑑はそうそうあるものではありません。
巻頭には、霊長類の進化や形態、社会生態、保全についての説明があり、サルがほかの動物と比べてどんな生き物なのかを大まかに理解することができます。
また、巻末には、霊長類研究所所長による『なぜ霊長類が問題なのか』という文章もあるので、こちらも必見です。
「世界で一番」と自分で言っているこの図鑑。
本当にそうなのか、是非ご自分の目で確かめてみてください。
『世界で一番美しいサルの図鑑』、オススメです。