トーマスリーフモンキーの基本情報
英名:Thomas’s Langur
学名:Presbytis thomasi
分類:オナガザル科 リーフモンキー属
生息地:インドネシア
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉
おしゃれなルックス
長い手足に小さい顔。顔は白と黒の毛で覆われており、髪型がキマってます。
背中側は灰色をしており、おなか側は滑らかなクリーム色。
サルの中でもかなりおしゃれです。
おまけに名前は、トーマス。
こじゃれています。
このトーマスという名前は、動物学者の名前が由来だそうです。
こんなおしゃれなルックスをもつトーマスリーフモンキーですが、実は「子殺し」が確認されています。
子殺しとは、その名の通り、大人が子どもを殺すこと。
トーマスリーフモンキーは単雄複雌の群れを作るのですが、オスは成熟すると群れから出ていきます。
そうして、一人になったオスが、別の群れを乗っ取った時、そのオスがその群れの子どもを殺してしまうのです。
この行動は、メスの発情を促すためと考えられています。
とはいえ、なんと残虐なことでしょう。
ところで、リーフモンキーのなかまは、通常オスが群れを出ていきますが、トーマスリーフモンキーはメスも群れを出ていく珍しいサルです。
メスは、この子殺しを避けたり、近親相関を避けたり、よりよい食料、よりよい保護者(自分や子どもを、他のオスやトラなどの捕食者から守ってくれる強いオス)を手に入れたりするために、他の群れに移籍するのです。
したたかな戦略です。
トーマスリーフモンキーの生態
生息地
トーマスリーフモンキーはインドネシアのスマトラ島北部に生息します。
食性
熱帯雨林などに棲み、主に若葉や果実、種子を食べます。
他に、キノコや小動物をたべることもあります。
トーマスリーフモンキー含め、コロブス亜科のサルの胃は、菜食にとても適しています。
胃は牛のように3つか4つにくびれており、微生物や細菌の助けをかりながら、繊維の多い葉っぱを消化します。
形態
体長は40~60㎝、体重は6.5㎏前後、しっぽの長さは50~85㎝で、体格において性差はあまりありません。
行動
トーマスリーフモンキーは10頭前後から成る単雄複雌の群れを作ります。
群れにはオスにもメスにも序列があります。
彼らは非常にゆったりとした生活を送っています。
1日の6割は休息に使われ、3割がえさの探索、1割がグルーミング(毛づくろい)などの社会的な活動に使われます。
コミュニケーションにはグルーミングの他、特に音声が多用されます。
繁殖
繁殖に明確な季節性はありませんが、子供の離乳時期と食料が豊富な時期は重なることが多いようです。
オスが最も優位なメスと交尾するか、それとも複数のメスと交尾するかは議論がありますが、いずれにしろメスは5~6カ月の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは主に母親によって育てられ、12~15カ月で離乳します。
性成熟には4~5歳で達し、メスの性的休止期間は1.5~2年です。
トーマスリーフモンキーの寿命は飼育下で20~30年です。
人間とトーマスリーフモンキー
絶滅リスク・保全
トーマスリーフモンキーは、森林伐採やパーム油のためのプランテーションなどにより住む場所を奪われ、個体数を減らし続けています。
レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、更なる個体数の減少が懸念されます。
動物園
そんなトーマスリーフモンキーですが、日本の動物園では会うことができません。
動物園にいたら絶対にモテそうなんですけどね。残念です。