ヒロバナジェントルキツネザルの基本情報
英名:Greater Bamboo Lemur
学名:Prolemur simus
分類:キツネザル科 ヒロバナジェントルキツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉
竹!竹!竹!
ヒロバナジェントルキツネザルは、竹が大好きです。
彼らが食べるものの内、竹は95%以上を占めているというとからも、彼らの竹好きっぷりはよく分かると思います。
竹を食べるサル。
あまりイメージできませんが、そんな方は下の動画をご覧ください。
動画の最初の方では筍をむしゃむしゃ食べていますが、後半は、地面から生えている若い竹を、ぼりぼりと貪っています。
それにしても強いアゴですね。
おいしそうにヒロバナジェントルキツネザルが食べているこの竹、実はシアン化合物などの毒を持ちます(シアン化合物についてはキンイロジェントルキツネザルをご覧ください)。
人間がこのサルと同じ量を食べれば死に至るほどの毒です。
そんな猛毒を含む竹をおいしそうに食べるヒロバナジェントルキツネザルですが、なぜ彼らが竹の毒を消化できているのかは未だに分かっていません。
果実や葉を食べるサルがほとんどである中、面白い進化をしたサルがいるのですね。
ヒロバナジェントルキツネザルの生態
生息地
ヒロバナジェントルキツネザルは、マダガスカル内陸部の、竹が生息する熱帯雨林で暮らしています。
明け方や夕暮れに特に活発に活動しますが、昼でも夜でも起きて地上や樹上で採食するなどします。
形態
体長は40~45㎝、体重は2~2.5㎏で、オスの方がメスよりもやや大きくなります。
また、しっぽは長く、43~48㎝にもなります。
他のジェントルキツネザルと比べると、耳の房毛が特徴的ですが、地域によってはこれがないものもいるようです。
行動
ヒロバナジェントルキツネザルは、4~7匹から成る様々な形態の群れを作ります。
他のキツネザルとは違い、オスの方が群れの中で優位にあると言われています。
個体間のコミュニケーションには、音声や匂いが用いられます。
このサルは、他のキツネザルと同様に臭腺を首の付け根とひじに持っています。
特にオスは強い匂いを発するようです。
どんなにおいか気になりますね。
繁殖
繁殖には季節性があり、5~6月にかけて行われます。
そして、メスは約5ヶ月の妊娠期間を終えて、1匹位の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは約8カ月で離乳し、3,4歳で生まれた群れを離れます。
人間とヒロバナジェントルキツネザル
絶滅リスク・保全
ヒロバナジェントルキツネザルは、違法な森林、竹林伐採や焼畑農業などによる生息地減少、そして肉目的の狩猟によって数を減らし続けています。
現在では、たったの500匹ほどしか生存していないと考えられており、レッドリストでは最も絶滅の危険度が高い絶滅危惧ⅠA類に指定されています。
動物園
そんなヒロバナジェントルキツネザルですが、日本の動物園では見ることができません。
残念!残念!残念!そんなことより、彼らの環境がよりよくなることを願ってやみません。