フランクリンジリスの基本情報
英名:Franklin’s Ground Squirrel
学名:Poliocitellus franklinii
分類:齧歯目 リス型亜目 リス科 フランクリンジリス属
生息地:カナダ、アメリカ合衆国
保全状況:LC〈軽度懸念〉

参考文献
もはや地中の動物
イギリスの北極探検家、ジョン・フランクリンにちなんで名づけられたフランクリンジリスは、泳いだり木に登ったりできますが、地上で暮らす地上性リスの一種です。
地上性と言っても、地上にいるのは餌を探すときくらいで、その時間は全体のたった10%程度。
つまり、彼らは一生のほとんどを地中で過ごします。
フランクリンジリスは地中に自ら巣穴を掘ります。
そのため、彼らの生息環境は土を掘れるほど土壌が柔らかく、水はけがいい場所に限られます。
巣穴は地上から深さ2.5m程度のところに作られるため、外の気温よりもかなりマイルドになります。
地上には直径7~8㎝の1,2個のメインの出入り口があり、そこから巣穴にトンネルでつながります。
巣穴は草や葉っぱなどが敷き詰められており、彼らはここで休息や出産、育児などの生活を営みます。
巣穴はまさに家として機能します。
彼らはこの巣から100m以上離れることはほとんどありません。
また、フランクリンジリスは他のジリスに比べて、周囲の状況に関心をあまり持ちません。
2足で立って周囲の状況を確かめる行動も、他のジリスと比べると少ないです。
その代わり、彼らは危険を感じるなどすると、そそくさと巣の中に逃げます。
彼らの捕食者にはアカオノスリなどの猛禽類やキツネ、アナグマと言った肉食動物がいますが、彼らはその大きさ故、小さな出入り口しかないフランクリンジリスの巣に入ることはできません。


巣穴の最も重要な役割は、冬に見られます。
フランクリンジリスは真の冬眠をする生き物です。
彼らは9月末ごろから冬眠に入り、4月頃に冬眠から目覚めます。
この間、彼らの体温は巣穴の温度近くまで下がり、呼吸数や心拍数も激減します。
真の冬眠とはいえ、冬眠時もエネルギーは必要です。
この問題に対し、冬眠の間、時に目覚めながら貯めておいたエサで乗り切るシマリスのようなタイプもいますが、フランクリンジリスは冬眠までに貯めておいた脂肪を使って必要なエネルギーを補います。
こうして冬眠は、彼らの冬の生存率を飛躍的に高めています。
さて、この実に半年以上もの間、フランクリンジリスを厳しい寒さや捕食者など、外の脅威から守るのが巣穴なのです。
地中にエサさえあれば、彼らはもはや地上には出てこないでしょう。
フランクリンジリスはほとんど地中の動物と言っていいかもしれません。

Spermophilus franklinii – Vertebrate Collection | UWSP
Franklin’s Ground Squirrel | Missouri Department of Conservation

フランクリンジリスの生態
生息地
アメリカとカナダの内陸部に分布します。
4足歩行時だと隠れ、2足になると周囲を見渡せる程度の丈の草が生えたプレーリーに好んで暮らします。
林や草原の境界や線路や道路脇にも生息します。
形態
全長は35.5~41㎝で、そのうち12~15.8㎝をしっぽが占めます。
体重は冬眠に入る前の秋が最も重く、冬眠明けの春が最も軽くなります。
秋はオスが570~950g、メスが500~760g、春はオスが370~500g、メスが340~425gです。
肛門腺を持っており、そこからの分泌物は特に繁殖時に使われます。

食性
種子や果実、植物の緑の部分を食べます。
食べるものの25%程度は、昆虫や鳥類、鳥類の卵、小型哺乳類など動物質のものが占めます。
捕食者にはアカギツネやアメリカアナグマ、ミンク、スカンク、猛禽類などが知られています。


行動・社会
昼行性のフランクリンジリスは、10匹以上、時に100匹のコロニーを作りますが、個々の関係は希薄です。
4~6年サイクルで個体数が変動します。
鳥の鳴き声のような音声を持っており、よく鳴きますがその理由はあまりわかっていません。
オスの方がよく鳴き、行動圏もオスの方が広くなります。
冬眠には成熟個体の方が早く入り、オスの方が早く冬眠から目覚めます。
繁殖
冬眠から目覚めた4月頃に繁殖が行われます。
メスは年に1回だけ出産します。
妊娠期間は約28日で、5~11匹、平均7匹の赤ちゃんが生まれます。
赤ちゃんは目が閉じ、無毛で非力な状態で生まれます。
生後10日で毛が生え始め、その10日後に目が開きます。
生後1月で巣から出始め、生後40日には離乳し、その後独立していきます。
1歳までに性成熟に達します。
寿命は飼育下で7年程度です。

人間とフランクリンジリス
絶滅リスク・保全
フランクリンジリスは、農作物を食べたりアヒルの卵を食べたりする害獣として、駆除されてきました。
特に19世紀の終わりごろには、何百万匹もが殺されました。
ただ、特に農作物を彼らがそれほど食べたという科学的証拠はなかったようです。
こうした駆除は現在でも行われています。
これに加え、ホリネズミなど他の動物を対象とした毒餌や、生息地であるプレーリーの減少が彼らの脅威となっています。
分布域は広いですが、特にアメリカでは生息地が分断されており、州によっては絶滅が懸念されています。
全体として個体数は減少傾向にありますが、現在のところ、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
Poliocitellus franklinii | The IUCN Red List of Threatened Species
動物園
日本でフランクリンジリスを見ることはできません。


