ニシアカコロブスの基本情報
英名:Upper Guinea Red Colobus
学名:Piliocolobus badius
分類:オナガザル科 アカコロブス属
生息地:コートジボワール、ギニア、リベリア、シエラレオネ
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉
敵は大きなサルたち
ニシアカコロブスは、アフリカ大陸の東西にかけて広く分布するアカコロブスの一種です。
アカコロブスはコロブスのなかまでもあるので、ニシアカコロブスも他のコロブス同様、親指はほとんどなく、主食である葉を消化できるような体を持っています。
そんなニシアカコロブスですが、彼らにとって大きな脅威となっている存在がいます。
そのひとつがチンパンジーです。
チンパンジーは他のサルを狩り、その肉を食らいます。
そして彼らはなぜかニシアカコロブスの肉を好みます。
チンパンジーの狩りの成功率は50~80%と非常に高いので、見つかればひとたまりもありません。
もう一つの脅威が、人間です。
人間は森林を破壊することで、ニシアカコロブスの間接的な脅威となっています。
またそれだけでなく、人間は直接的な脅威でもあります。
ニシアカコロブスの毛皮と肉のために狩猟をするのです。
チンパンジーはニシアカコロブス1匹1匹にとっては脅威かもしれませんが、種にとってはそうではありません。
チンパンジーが肉を好むと言っても、肉の採食時間は全体の1~3%しか占めませんし、そのすべてがニシアカコロブスというわけではありません。
そのため、チンパンジーはアカコロブスの集団に深刻な影響を与えうるとも言われていますが、それによりニシアカコロブスが絶滅するとは考えにくいです。
しかし、人間は違います。
人間は自然の摂理の制約を受けません。
ニシアカコロブスという種にとって、その生息地すら奪ってしまう人間は、絶滅に追いやりかねない大きな脅威となっています。
ニシアカコロブスの生態
生息地
ニシアカコロブスは、コートジボワールやギニア、リベリア、シエラレオネの湿潤林などに生息します。
食性
昼行性で、主に若葉を食べます。
その他、成熟した葉や種子、新芽、未熟の果実なども食べます。
形態
体長は45~67㎝、体重はオスが9~12㎏、メスが6~9㎏、しっぽの長さは50~80㎝でオスの方が大きくなります。
行動
ニシアカコロブスは、20頭以上から成る複雄複雌の群れを作ります。
この群れは、オスが生まれた群れに留まり、メスが群れを離れ集団間を移動する父系集団です。
群れのコミュニケーションには音声がよく使われ、ヒョウやチンパンジーなどの捕食者の危険も鳴き声で仲間に伝えられます。
繁殖
出産は一年中観察されますが、季節的なピークがあるようです。
メスは6~6.5カ月の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんがだれによってどのように世話されるかはあまりよく分かっていません。
人間とニシアカコロブス
絶滅リスク・保全
ニシアカコロブスは、先述した人間による狩猟や生息地の破壊の影響で、個体数を減らし続けています。
レッドリストでは、絶滅危惧ⅠB類にしてされており、さらなる個体数の減少が懸念されています。
動物園
そんなニシアカコロブスですが、残念ながら日本の動物園では見ることができません。
ニシアカコロブスに限らず、アカコロブスのなかまは日本ではお目にかかれませんが、同じコロブス亜科のアビシニアコロブスには、北海道の旭山動物園や秋田県の大森山動物園、上野動物園、愛知県の日本モンキーセンター、静岡市の日本平動物園、神戸市の王子動物園、高知県のわんぱーくこうちアニマルランド、岡山市の池田動物園、鹿児島市の平川動物公園など、日本各地で会うことができます。
似たような特徴を持っているので、興味がある方は観察しにこれらの動物園を訪れてみてください。