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ミナミアフリカオットセイ

ミナミアフリカオットセイ
©2006 Tim Sheerman-Chase : clipped from the original
目次

ミナミアフリカオットセイの基本情報

英名:Afro-Australian Fur Seal
学名:Arctocephalus pusillus
分類:食肉目 アシカ科 ミナミオットセイ属
生息地:アンゴラ、オーストラリア、ナミビア、南アフリカ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ミナミアフリカオットセイ
Photo credit: flowcomm

参考文献

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最も大きいオットセイ

沿岸性で大陸棚を超えて移動することのないミナミアフリカオットセイは、その名の通りアンゴラから南アフリカまでの海岸2,800㎞にわたって生息します。

一方、彼らがいるのはアフリカだけではありません。

タスマニア島などを含むオーストラリア東南部にも、アフリカの個体群とは別個に生息しています。

これらは前者をミナミアフリカオットセイ(Arctocephalus pusillus pusillus)、後者をオーストラリアオットセイ(A. p. doriferus)と亜種として認められています。


ミナミアフリカオットセイ(亜種)は、オーストラリアオットセイよりやや大きくなり、繁殖期には時に3,000頭を超えるより大きなコロニーを作ります。

一方、オーストラリアオットセイはより底生生物を好み、オットセイよりはむしろアシカのような食性を示します。

また、両者には育児メスの採食トリップの長さ(オーストラリアオットセイの方が若干長い。

おそらく餌生物の豊富さに起因する)などにも違いがあります。


それぞれ遠く離れたところに住んでいる2亜種は、このように形態上および行動上の違いがありますが、遺伝的にはそう遠くありません。

これは彼らが分岐したのが比較的最近だからであるようです。

オーストラリアの個体群は、更新世と完新世(約1万年前ごろ)の過渡期に、西風海流にのってアフリカからやってきたとされています。


そんな彼らの学名に注目してみましょう。

属名の“Arctocephalus”は、ギリシャ語で「クマの頭」を意味します。

実際、ミナミアフリカオットセイを含めたミナミオットセイ属の頭骨内の神経管や内耳の構造などはクマに似ており、1980年代まではアシカ科とセイウチ科はクマ科から、アザラシ科はイタチ上科(イタチ科、アライグマ科、レッサーパンダ科、スカンク科)から独立に進化したとする鰭脚類二系統仮説が支配的でした。

しかし今では、鰭脚類はイタチ上科に近縁な系統から進化したとする鰭脚類単系統仮説が支持されています。

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一方、種小名の“pusillus”はラテン語で「非常に小さい」を意味します。

しかしこちらはあまり現実を反映している名前とは言えません。

なぜなら、アシカ科の仲間は大きくアシカとオットセイに分けられますが、ミナミアフリカオットセイはオットセイの中では最大だからです

特にオスは体重350㎏を超え、ペンギンや海鳥すら捕食します(ちなみにアシカ科最大はトド)。

彼らにこのような名前が付けられたのは、最初に彼らを種として記載する際に参照された標本が子供のものだったからのようです。

オーストラリアにも住んでいるのにその和名はミナミアフリカオットセイ。

大きいのに小さいという意味の学名を持つミナミアフリカオットセイ。

名は体をすべて表すわけではない良い例でしょう。

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ミナミアフリカオットセイの生態

生息地

アフリカ南部およびオーストラリア東南部の沿岸域に生息します。

約60の繁殖場が知られており、うち約40はアフリカに存在します。

さらにそのうち大陸にあるものは8つ、残りは島に存在します。

ナミビアにはアフリカ亜種の半分以上が生息しており、特にケープ・クロス・オットセイ保護区には20万頭のミナミアフリカオットセイが生息しています。

形態

体長はオスが2~2.3m、メスが1.3~1.7m、体重はオスが218~360㎏、メスが41~113㎏で性的二型が顕著です

ヒレには他のアシカ科動物と同様に毛が生えていません。

他のオットセイ同様、被毛は粗い保護毛と密な下毛の2層からなります。

オスはタテガミが特徴的です。

ミナミアフリカオットセイ
Photo credit: South African Tourism

食性

オーストラリアの亜種は底生の魚類や頭足類、甲殻類を食べますが、アフリカの亜種は底生生物だけでなく、イワシやアジ、アンチョビなどの群集性の魚も食べます。

また、ケープペンギンや海鳥を食べることでも知られています。

捕食者にはホホジロザメやシャチがいます。

アフリカでは繁殖場でセグロジャッカルカッショクハイエナが子供を捕食することがあります。

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行動・社会

餌生物の違いに基づき、アフリカ亜種では50m以内の浅い潜水が多いですが、オーストラリア亜種では120mまでの潜水が見られます。

彼らは最も深くて200mぐらいまで潜水でき、7分以上も息を止めて泳ぐことができます。

特にオスは繁殖期以外では海で多く見られ、採食は集団で行われることもあります。

どちらの亜種もオスは10月の終わりごろ繁殖場に上陸し、絶食してなわばりを争います。

なわばりを築けたオスは10~30頭、最大50頭近くのメスと交尾することができます。

メスは11月の終わりから12月にかけて上陸し、その1~2日後に出産します。

メスは出産後6日ほど育児したのち、オスと交尾、その後は採餌のために海に出かけます。

オーストラリアの亜種の場合、繁殖コロニーのサイズは500~1,500頭が一般的です。

繁殖

大人のメスがその年に妊娠している確率は約70%。

メスは3~4ヵ月の着床遅延を含む約1年の妊娠期間の後、60~80㎝、5~12㎏の赤ちゃんを一頭産みます。

その後は育児と採餌の繰り返し。

採餌は5~6日、その後の授乳は2~3日続きます。

採餌期間は子の成長とともに長くなります。

子供は生後4~5ヵ月で換毛し、生後10ヵ月頃に離乳します。

稀に2~3歳まで母乳を飲む個体がいます。

性成熟にはオスが9~12歳(社会的成熟)、メスが3~6歳で達します。

最大寿命はオスが20年を超えない一方、メスは20年以上生きることがあります。

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ミナミアフリカオットセイ
Photo credit: Tom Skrinar

人間とミナミアフリカオットセイ

絶滅リスク・保全

17~19世紀にかけて行われた狩猟により、ミナミアフリカオットセイはアフリカでもオーストラリアでも数を減らしました。

ただ、他のオットセイよりはその程度は小さかったようで、遺伝的多様性は高いままです。

20世紀になり狩りが禁止、制限され保全が行われた結果、個体数は増加し、今でも回復の途中にあります。

現在の個体数は、アフリカ亜種で200万頭、オーストラリア亜種で20万頭と推測されており、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。


オーストラリアでは期間中、少なくとも20万頭が捕獲されましたが、1970年代に狩猟が禁止されて以降、彼らは今でも法により保護されています。

しかし、漁業への被害などが甚大な場合、政府の許可のもと一部個体の捕殺が認められることがあります。

南アフリカでは1990年代に狩猟が禁止されていますが、ナミビアでは今でも狩猟が行われています

政府により捕獲個体数が決められており、ここ最近の捕獲枠は子供で6万頭、大人のオスが8,000頭です。

捕獲されたオットセイは革製品や油、食肉などに使われます。

また、オスの陰部は媚薬として販売、利用されます。

ただ、大人が銃で捕殺される一方、子供は殴打により捕殺されるため、その方法には批判があります。


脅威としては、餌生物の減少、熱に弱い子供の死亡率増加を引き起こす可能性がある地球温暖化の他、漁具や海洋ゴミへの絡まり、混獲、原油の流出、病気の蔓延などがあります。

また、彼らの生息地は漁業がおこなわれるエリアでもあり、漁業従事者と軋轢が生じる可能性があります。

ただ、アフリカでは漁獲される魚はオットセイの餌生物の15%ほどとされており、それほど懸念されていないようです。

ミナミアフリカオットセイはワシントン条約(CITES)では附属書Ⅱに記載されています。

ミナミアフリカオットセイ
Photo credit: David Su
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