クロアシネコ

クロアシネコ©2011 Jonathan Kriz: clipped from the original
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クロアシネコの基本情報

クロアシネコ

英名:Black-footed Cat
学名:Felis nigripes
分類:ネコ科 ネコ属
生息地:ボツワナ、ナミビア、南アフリカ
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

クロアシネコ@Photo credit: Charles Barilleaux

Photo credit: Charles Barilleaux

小さくてもたくましいネコ

最も大きいオスでも体長50㎝、体重2.5㎏しかないクロアシネコは、アフリカでは最も小さいネコ科動物です。

アフリカのネコ科動物と言えばライオンですが、彼らと比べるとその大きさはまるで親と赤ちゃんです。

 

そんな小さなクロアシネコですが、小さくても彼らなりにたくましく生きています。

彼らは、年間降水量が100~500㎜しかない、しかも気温の幅が₋10℃~35℃という厳しい環境で暮らしています。

この小さな体でこのような環境に生きているとは、尊敬に値します。

 

クロアシネコは、大きな肉食動物とは全く異なる生き方をしています。

彼らは、その小ささのためにライオンが狩るような大きな有蹄類などは襲えません。

その代わり、小さな哺乳類や鳥類を食べます。

獲物の半分は40g以下ですが、時に自分よりも重たいウサギなどを捕らえることもあります。

しかも、彼らは大食漢です。

総重量にすると自分の重さの2割にもなる、10頭以上の哺乳類や鳥類を一晩で捕らえ、食べます。

これは50分に一度、獲物を捕らえている計算です。

 

その狩りの仕方は独特で、ライオンのように獲物を走って追いかけることもありますが、穴の前で最長2時間、獲物が出てくるのを待ち伏せすることもあります

ある調査によると狩りの成功率は60%にもなるといいます。

一般的に、小さい動物ほど体重の割にエネルギーを消費するので、たくさん食べなければなりません。

彼らはその厳しい制約を毎日乗り越えているのです。

ちなみに、クロアシネコは水があれば飲むものの、水がなくても生きていけます。

たくましいですね。

クロアシネコの生態

生息地

クロアシネコは、ボツワナナミビア南アフリカサバンナ半砂漠などに生息します。

ヤマアラシなど他の動物が掘った穴や、捨てられたシロアリの巣を、育児の場や普段の住処として使います。

 

生息地

主食は齧歯類などの小型哺乳類で、キイロマングースなど小さな肉食動物を食べることもあります。

その次に地上で採食する鳥類が続き、両生類爬虫類昆虫などもわずかですが食べます。

鳥類を捕らえるときは1m以上ジャンプすることもあります。

下の動画ではその様子を見ることができるので是非ご覧下さい。

生き物.com
キイロマングース web肉食動物図鑑 | 生き物.com 群れで、巣穴で生活するキイロマングース。彼らは他の動物たちと同じ巣穴で暮らすことがあります。

 

形態

体長は30~50㎝、肩高は17~25㎝、体重はオスが平均1.9㎏、メスが平均1.3㎏、重くても1.65㎏、しっぽの長さは15~20㎝で、オスの方が大きくなります

クロアシネコの足の裏は黒く、これが名前の由来になっています。

乳首は6つあります。

 

行動

クロアシネコは、夜行性の肉食動物です。

夜行性の動物にみられるタペータムという組織が目にあるおかげで、暗い中でも活動することができます。

彼らは単独性で、一晩で10㎞前後も移動します。

行動圏は10~20㎢で、オスの方が広くなります。

また、オスの行動圏は最大4頭のメスと重複しています。

オス同士の重複はほとんどありませんが、メス同士では恐らく血縁者同士の重複が見られます。

主なコミュニケーション手段は尿で、1時間に10回ほど尿でマーキングします。

この回数はオスの方が多く、特に交尾前になると一晩で600回近くものマーキングをすることもあります。

 

繁殖

繁殖には季節性が見られ、雨季の前後に多くの出産が見られます。

メスは発情すると尿をする回数が増え、オスにアピールします。

オスと共にいる時間はせいぜい5~10時間ほどで、メスは場合によっては年に2度出産します。

妊娠期間は60~68日で、通常2頭の赤ちゃんが産まれます。

生まれたばかりの赤ちゃんの体重は60~90gです。

赤ちゃんは生後3週ほどで巣から出るようになり、この時母親がえさを巣に持って帰ってくるようになります。

生後6週には離乳し、飼育個体では早ければ7~9カ月齢で性成熟に達します。

寿命は野生で約8年、飼育下では15年以上になることもあります。

キイロマングース@Phoro credit: Ltshears

Phoro credit: Ltshears

クロアシネコに会える動物園

クロアシネコは、様々な脅威により個体数を減少させています。

農業や放牧などによる生息地の減少、分断、それに伴う獲物や巣穴を作る動物の減少、他の動物を標的とした罠や毒による被害、交通事故、病気、災害による被害は、クロアシネコがいくらたくましいと言っても大きな脅威です。

彼らの小ささや、あまり人前に姿を現さないことなどから、その実態を把握することは困難であるものの、成熟個体数は1万をきると推測されており、IUCNレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 

そんなクロアシネコですが、残念ながら日本では見ることができません

いつの日か動物園でも彼らのたくましい姿を見ることができるようになるといいですね。

キイロマングース@Photo credit: Patrick Ch. Apfeld

Photo credit: Patrick Ch. Apfeld

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