ブラシウサギの基本情報
英名:Brush Rabbit
学名:Sylvilagus bachmani
分類:兎形目 ウサギ科 ワタオウサギ属
生息地:アメリカ合衆国、メキシコ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
参考文献
ブラシに住むウサギ
ウサギ科の動物は、大きく分けてノウサギ(英語ではHare)とアナウサギ(Rabbit)に分けられます。
ノウサギはアナウサギよりも大きく、草原など開けた環境に生息する一方、アナウサギは身を隠せる植生がある環境に生息します。
ノウサギはアナウサギから派生したグループとされており、その敏捷性は捕食者から逃げることだけでなく、生息範囲の拡大も可能にしました。
アナウサギがアメリカ大陸を主な生息地としている一方、ノウサギは北アメリカ、ユーラシア、アフリカに広く生息しています。
一方のアナウサギは、穴や生い茂った植生に隠れることで捕食者から逃げてきたウサギです。
そのため、その生活は森林に依存しており、捕食者から逃れるためにそうした環境から遠くはなれることはできません。
ブラシウサギが属するワタオウサギ属はアナウサギのなかまです。
その生態は一般的なアナウサギの例にもれません。
ブラシウサギのブラシとは、英語で藪や雑木林のことを意味します。
その意味の通り、ブラシウサギは濃い藪や雑木林で暮らしています。
行動圏は50m四方よりも狭く、時速30㎞ほどで走ることはできるものの、捕食者に対応するために身を隠せる植生から数mと離れません。
ブラシに依存するブラシウサギは、その勢力を拡大することなく、北アメリカの太平洋沿岸域に今日もひっそりと暮らしています。
ブラシウサギの生態
生息地
北はワシントン州とオレゴン州の境界となるコロンビア川から、南はメキシコのバハカリフォルニアの南端まで、標高2,070mまでの太平洋沿岸域の茂みや雑木林に生息します。
形態
体長は25~35㎝、体重は0.5~1㎏で、メスの方がやや大きくなります。
食性
草を主食としますが、季節によってエサは変動します。
葉っぱや花、ベリー類なども食べます。
行動・社会
薄明薄暮性で、夕暮れ後から朝方にかけて最も活発になります。
餌が豊富な場所では複数みられますが、基本的に単独性です。
繁殖
カリフォルニアでは12~6月にかけて、オレゴンでは2~8月にかけて繁殖します。
メスは約27日の妊娠期間ののち、2~4匹の赤ちゃんを植物や毛で覆われた巣に産みます。
ブラシウサギは年に通常3回出産しますが、年間の産仔数はワタオウサギ属の中では比較的少なく15匹ほどです。
未熟で生まれた赤ちゃんは、生後10日ほどで目を開き、生後2週ごろまでは巣から離れることはありません。
性成熟は4~5ヵ月齢ごろで、通常翌年初めての繁殖を経験します。
人間とブラシウサギ
絶滅リスク・保全
ブラシウサギには約10の亜種が知られていますが、中には生息地の減少や火事や洪水などの自然災害、イエイヌ、イエネコによる被害、肉目的の狩猟、感染症等々を理由に個体数を減らしている亜種もいます。
しかし、全体的にみると絶滅が懸念されるほどではなく、IUCNのレッドリストでは軽度懸念の評価です。
動物園
ブラシウサギを日本で見ることはできません。