ケープギツネの基本情報
英名:Cape Fox
学名:Vulpes chama
分類:イヌ科 キツネ属
生息地:アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ
保全状況:LC〈軽度懸念〉
参考文献
南アフリカのキツネ
アフリカに生息するキツネ属のなかまには、ケープギツネの他、フェネックギツネやオジロスナギツネ、オグロスナギツネがいますが、アフリカの赤道以南に生息するキツネは、このケープギツネだけです。
ケープギツネはアフリカ南部の乾燥地帯に生息し、南アフリカでは最も小さいイヌ科動物です。
また、彼らの名前にある“ケープ”は、南アフリカのケープと名のつく州(西ケープ州、北ケープ州、東ケープ州)に多く生息していることからつけられました。
西ケープ州の州都、ケープタウンは聞いたことがある方も多いと思います。
そんなケープギツネの特徴と言えば、小さくてかわいいルックスの他に、大きな耳です。
彼らは、アフリカに棲むキツネの例に漏れず、体の割に大きな耳を持っています。
この耳は小さな音でも拾い、獲物のわずかな音を逃しません。
また、この耳は大きくなった結果として熱の放出にも役立っています。
彼らは、表面積の大きな耳から熱を逃がすことで、気温が高い環境でも体温を正常に保っているのです。
ケープギツネの生態
生息地
ケープギツネは、アフリカ南部の半砂漠地帯や開けた草原、サバンナに生息します。
食性
昆虫や小型哺乳類、爬虫類、死肉を食べ、時に家畜を襲うこともあります。
また、彼らは食料を隠すことで知られています。
採食は基本的に単独で行われます。
形態
体長は約55㎝、肩高は約35㎝、体重は2.5~3㎏、尾長は35㎝前後で、オスの方がわずかに重たくなります。
行動
ケープギツネは主に夜行性ですが、子供は日中に遊ぶことがあります。
下の動画はまさにその様子を見ることができるので是非ご覧下さい。
昼間は、ツチブタなどが掘った巣穴や、それを基に自分で掘った巣穴で過ごします。
行動圏は1~5㎢で、なわばり性は弱いとされています。
繁殖
繁殖には季節性が見られ、8月頃、オスとメスがつがいになり、交尾をします。
妊娠期間は51~53日で、9~11月にかけて、1~5頭の赤ちゃんが産まれます。
出産は一般的に年に1度ですが、2度以上の場合も報告されています。
初期には父親も育児に参加しますが、どれくらいの期間、子供たちと一緒にいるのかは分かっていません。
赤ちゃんは生後6~8週で離乳を開始し、4カ月には自分でえさを探しに行くようになります。
生後5カ月には独り立ちし、9カ月には性成熟に達します。
寿命は長くて10年です。
人間とケープギツネ
絶滅リスク・保全
ケープギツネにはこれといった脅威が存在しません。
生息地の縮小や農地への転換もそれほど影響しておらず、むしろ農地への転換は彼らにとって新たな住処を提供する場合もあります。
個体数は安定しており、絶滅に関してはレッドリストで軽度懸念とされています。
動物園
そんなケープギツネですが、残念ながら日本では見ることができません。
ただ、先ほども出てきた近縁のフェネックギツネは、日本の動物園で人気者として知られているので、興味のある方はぜひお近くの動物園を訪れてみてください。